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Tezos(テゾス)のICOに内紛の危機 ICO応募者のおカネはどうなる? これが円満に解決を見なければ、「Tezosショック」が仮想通貨市場に走るリスクもある

今日、ウォールストリート・ジャーナルが「Tezos(テゾス)のホットなICOの後、創業者と、ICOを仕切る基金との間で内紛が勃発している」という記事を書きました。

テゾスは7月に2.32億ドルのICOを行いました。これは今年最大級のディールです。

テゾスを始めたのは巨大ヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツとアクセンチュアで働いた経歴を持つキャスリーン・ブライトマンと、彼女の旦那さんでゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーに勤めた経歴を持つアーサー・ブライトマンの夫婦です。

この夫婦が先週日曜日にテゾスのICOの応募のおカネを受け付ける基金に対し9ページのレターを送付し、正式に基金の責任者、ヨハン・ガーヴァースを解任せよと要求しました。

この要求が受け入れられない場合は、ブライトマン夫妻はテゾスのプロジェクトから降りるそうです。テゾスに絡む知的所有権は、全てブライトマン夫妻が所有していると、ブライトマン側は主張しています。

今回の公開状に先立ち、9月21日に基金とブライトマン夫妻がミーティングを持ちました。その際、基金側は「ブライトマン夫妻が基金の運営に口出しするのはスイスでのICOの慣習に背く行為だ」と主張したそうです。

ビットトレード

このゴタゴタで、テゾス・トークン(=略してテズィーと呼ばれます)は未だ取引を開始できない状態が続いています。正式な取引開始はテゾス・プラットフォームの完成バージョンのリリースの後、たぶん来年の2月頃になります。

ICO応募者から送られたおカネ(=ビットコインやイーサリアム)は現在、基金の口座にあり、いま仮想通貨からフィアット通貨に換金されている最中です。

今回のもめごとを理解するには、スイスのズーク郡の法律を説明する必要があるでしょう。

まずスイスのズーク郡は「クリプト・バレー」の愛称で知られています。ここは郡単位で独特の法律があり、それがICOを行いやすくしています。

実際、イーサリアムは現地の弁護士事務所、MMEのトム・リンダーが仕切りました。

ズーク郡でのICOは、いわゆるハイブリッド・オファーリング、別称「シュティッフトウング・モデル」という方式を使用します。

ズーク郡の法律では、基金(ファウンデーション)には運営の柔軟性がなく、当初基金が設定した目標に沿ったカタチのみで活動を行う必要があります。だから基金の規約のドラフティングが、とても重要になるわけです。

テゾスの場合のように一般投資家が基金へ送金した際、それは基金への「寄付」ということになります。その寄付は基金の設立目的を全うすることのためだけに使われます。テゾスの場合は「完成バージョンのテゾス・プラットフォーム」が、その目的になります。

しかし送金した時点では「製品」は未だ完成していないので、トークンは貰えません。

一方、基金はジェネシス・ステートメントと呼ばれる「創世規約」でトークン・アロケーション(分配)の仕方を規定します。これはある種のプロポーザル(提案)であり、暗示的(implied)です。

言い換えれば、出資したコミュニティが、そのアロケーション仕法を承諾しないリスクがあるわけです。実際、今回はそもそもプロジェクトの旗振り役だったブライトマン夫妻が異議を唱えたのです。

なおICOに応募した投資家には「確実にトークンを貰える」という法的請求権はありません。なぜなら、それを認めてしまうと「有価証券を販売した!」という疑いをかけられるからです。

この法的請求権が無いということを盾に、スイスの弁護士事務所は「そもそもトークンを売っていないので、これは有価証券の売り出しでは無い」という主張ができるというわけです。

また、基金は「非営利団体」なので、その活動から利益は発生しないし、したがって利益の山分けに対する覚書のようなものも、ありません。

ICOに応募した投資家としては、「トークンが完成したあかつきには、それを使用(usage)する権利を持つ」だけです。

また、基金は「自己の目的の最大化のためだけに行動し、寄付者の利害を優先してはいけない」ことになっています。言い換えれば基金はカストディアン(信託会社)ではないということです。

今回のごたごたは、スイス・ズーク郡の法律に基づいたICOの危うさを露見するテスト・ケースであり、これが円満に解決を見なければ、「Tezosショック」が仮想通貨市場に走るリスクもあると思います。

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アメリカン・エキスプレス 第3四半期決算 EPSは低税率に助けられ予想を上回った、売上高はOK、貸倒引当金は急増、CEO交代へ

アメリカン・エキスプレス(ティッカーシンボル:AXP)の第3四半期決算はEPSが予想$1.48に対し$1.50、売上高が予想83.1億ドルに対し84.4億ドル、売上高成長率は前年同期比+8.5%でした。

貸倒引当金は前年同期比+53%の7.69億ドルでした。これはクレジットカード融資残高の増加と、貸倒ならびに支払い遅延の予期せぬ増加が原因です。

今期の税率は26%でした。これは前年同期の34%から大幅に下がりました。その理由は海外のタックス・クレジットならびに売上ミックスの変化によります。

2017年のEPSは予想$5.74に対し、新ガイダンス$5.80~5.90が提示されました。

また2018年2月1日付で16年間CEOを務めたケネス・チェナルトがリタイアし、ステファン・スクエリに代わります。

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ビットコイン急落 米当局が管轄を明示したため リテラシーに欠ける暗号通貨クラスタのバカタレどもが、これを「すわ規制強化!」と勘違いし、総投げ

今日、ビットコインが500ドル(-8.7%)近く急落しています。

その理由は米商品先物取引委員会(CFTC)が「ビットコイン先物は商品取引法(CEA)で取り締まられるべき投資対象である」とし、そうなのであればそれを監視する当局はCFTCであると主張したからです。しかしキャッシュ(=現物)取引はCFTCの責任範囲内ではないと述べています。

A CFTC Primer on Virtual Currencies (特に9ページ以降を読むこと!)

つまりビットコインFX、ビットコイン先物などマージン、レバレッジ、ファイナンシングを援用したデリバティブはCFTCの管轄になるというわけです。

CFTCが許している仮想通貨先物市場として、レジャーX、北米デリバティブ取引所(NADEX)、テラエクスチェンジのスワップ・エクセキューション・ファシリティ(SEF)の三つが挙げられています。

また米国証券取引委員会(SEC)が「The DAOは証券だから、これを取り締まる権限はSECにある」と主張したことに対し、今日CFTCは「SECの意見とCFTCの解釈の間には矛盾(inconsistency)は無い」とした上で「CFTCは仮想通貨をコモディティと捉えており、トークンもコモディティないしはデリバティブ契約と見做すことができる」としています。

■ ■ ■

ここからは僕の意見ですが、今日、CFTCが「仮想通貨先物取引を監視する責任はCFTCにある」と主張したことは、すでに予想されていたことです。

ビットトレード

また今回のCFTCの発表は、好ましいことだと思います。

なぜなら連邦政府公認デリバティブ取引所にビットコイン先物が上場されることは、将来のビットコインETFの組成に絶対に必要なことだからです。

しかし暗号通貨クラスタはバカタレで溢れているので、これを「すわ規制強化!」と勘違いして仮想通貨が総投げになったというわけwww

仮想通貨の未来というものを考えた時、CFTCという米国大統領直轄の監督組織からお墨付きをもらうことは飛躍のきっかけであり、嬉しい展開です。

ただし、それはあなたがマネーロンダリング、テロリスト、税金逃れ……などに関与していないのならば、、、ですが。

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【ビットコインの基礎シリーズ】 第5回 リップルの歴史とビットコインとの大きな相違点について

今日、警視庁が仮想通貨関連会社「リップルトレードジャパン」代表を強制捜査したと日経が報じました。

まず断っておきたいのは、リップルトレードジャパンは「ここでリップルが買えます」という事以外、リップルとは何の関係もなく、勝手に容疑者がリップルを社号に使っただけという点です。

およそ仮想通貨の「取引所」は、ぜんぶ誰かが勝手に設立した営利企業であり、ニューヨーク証券取引所や東証のような公的性格を帯びていません。その中には「マウント・ゴックス」のように杜撰な経営で顧客から預かった資産を紛失したり、ハッカーの侵入に遭い、顧客資産を盗まれる、果ては今回の「リップルトレードジャパン」のように顧客からの送金を、着服するバカタレすら出る始末です。

僕自身、金融機関に勤めていたので、これら仮想通貨「取引所」に対する僕の目は冷ややかです。(おまいら、ヌルいこと、やってるな)と。

それは兎も角、リップルそのものの話に入って行きたいと思います。ここで重要なのはリップルはビットコインと「似ても似つかぬ代物だ」ということ。言い換えれば、僕のリップルに対する評価は低いです。

リップルは2004年にライアン・ファガーによって考案された仮想通貨です。(=ビットコインより歴史が古い点に注目!)

ライアンはカナダのバンクーバー出身のウェブ・デベロッパーです。ライアンはウェブでお金を送金する方法を、色々思案し、次のような方法を編み出しました。

A君はBさんを知っている。BさんはC君と友達だ。C君はD氏がたいへん信頼できる人物だと知っている……

この場合、A→B→C→Dと言う経路で、「波状」に、お金を渡して行けば、安心できる、信頼を基礎にしたつながりを通じて送金できるというわけです。このような信頼に根ざした送金のコンセプトをRipplePay.comと名付けました。

RipplePay.comは多くの支持を得ることができず、テイクオフしませんでしたが、そのプロトコルは2013年にオープンコイン(当時)というプロジェクトとして再試行され、著名VC、アンドリーセン・ホロウィッツからの資金注入を受けました。このプロジェクトは後にRipple Labsという名称に変わっています。

さて、リップルがビットコインと大きく違う点は、マイナーが居ないということです。ビットコインが「相手が誰であろうと=すなわち信頼できる、できないにかかわらず、取引だけはちゃんとできる仕組み」であるのに対し、リップルは「信頼の輪」というサブネットワークの上に分散型ネットワークを築くという方法を採用しています。

みんなのビットコイン

言い換えればビットコインが性悪説ならリップルは性善説に基づいているわけ。そして、そのぶん、リップルの価値提案は弱いです。

リップルはトラステッド・ゲートウェイという「終点」を設け、そこでお金の預け入れや引き出しを受け付けました。

リップルでの送金は、ちょうどインターネットで情報のパケットを送信するのとおなじようなラウティング(routing)を通じて相手に届くというわけです。

もしユーザーがトラステッド・ゲートウェイを利用したくない場合は、リップル自体の暗号通貨、リップルズ(XRP)を使うことも出来ます。

さて、XRPの問題点はマイニングというプロセスを経ない関係で、自然かつ徐々にXRPを放出してゆくメカニズムが無いと言う点です。

当初設定された1千億XRPは、Ripple Labsによって保有されています。これがどういう方法で放出されるのかがわからないので、投資家は常に「売り浴びせ」に対する不安を抱いています。

XRPのコア支持者たちが、今後の放出方法に関し「アンフェアだ!」と異議を唱える可能性もあるわけです。

リップルはこのような問題を抱えているため、苦肉の策として、個人投資家間の取引よりも、むしろ初めから「信頼されている者同士」であるメカバンク間の取引ツールとして活路を見出そうとしています。

これは既に1973年から存在する国際銀行間通信協会(SWIFT)の決済ネットワークと良く似ています。

有り体に言えば、SWIFTがやっていることより、もっと遙かに素晴らしいことをXRPが提案できなければ、XRPがSWIFTに取って代わられる可能性は低いのです。



【ビットコインの基礎シリーズ】 第1回 ビットコインが生まれた背景について
【ビットコインの基礎シリーズ】 第2回 人々が「この仮想通貨には価値がある!」と考える決め手について
【ビットコインの基礎シリーズ】 第3回 FANGとビットコインはどちらが優れた投資対象か?
【ビットコインの基礎シリーズ】 第4回 イーサリアムの素晴らしさとその「原罪」について


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『マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート』最新号が人種差別だ!と物議 ファーバーがカナダの運用会社の取締役を辞任 

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マーク・ファーバーは「The Gloom, Boom & Doom Report」というニュースレターを執筆しています。日本ではパンローリングから『マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート』という名前で出されています。

『マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート』

世の中に投資ニュースレターは数多くありますが、本当に購読する価値のあるものは片手で数えられるほどしかなく、その中でもこのニュースレターは必読と言ってよいと思います。(但し初心者には少々難しいので、くじけずにチャレンジする根性が要りますが)

その『マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート』最新号の中に「人種差別的なコメントがある!」ということがフィナンシャル・タイムズやブルームバーグで取り上げられ、彼のコメントが炎上しています。





これが原因で今日、マーク・ファーバーはカナダの運用会社、スプロットの取締役を退きました。またCNBCは「今後マーク・ファーバーをコメンテーターとして呼ばない」と発表しました。

ただファーバーがこのレポートの中で主張したことは「個人の財産を政府が気が向くままに強奪するような社会は、発展が望めない」ということであり、政府の介入でいちばん苦しむのは、実は弱者だということです。

その立場からベーシックインカムという考え方に対してもファーバーは警鐘を鳴らしています。

僕は今月号のファーバー・レポートは、かなり力作だと思いました。

ファーバーは日頃からアマノジャクでエキセントリックであり、彼独特の語り口のうち、人種差別的発言の部分(=これは確かに、「まずいだろ」という発言をしていますwww)だけが切り取られ、そこに非難が集中したというわけです。

しかし……そもそもファーバーの奥さんはタイ人ですし、彼はアジア大好き人間なのでファーバーが根っからの白人至上主義者であるとはどうしても考えられません。

「Political correctness」を監視し、ちょっとでも不適切発言があるとそれを告発する自警団から突き上げられたというわけです。


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