Market Hack

大統領選挙の年の米国株の売り時は9月? 投資ストラテジーの再点検

去年の暮に「2016年の投資戦略」について語りました。ここに書くことは、その繰り返しです。

その際、今年は、米国株、南米などの新興国株はオーバーウエイト、日本株はアンダーウエイトと考えていると主張しました。その考えに変更はありません。

セクターではテクノロジー、バイオはアンダーウエイトを主張しました。いまでもそう考えています。

逆に工業、素材、エネルギー、穀物はオーバーウエイトを主張しました。これは今も変更ありません。

米国株式市場については年間+8%程度の上昇を見込んでいると言いました。いまのところ、そのペースで来ていると思います。

ドル/円はドル安になると主張しました。その根拠は、FRBが過去に利上げに転じた時、

1972年4月=302円→1年後は263円
1977年7月=264円→1年後195円
1982年1月=225円→1年後232円
1983年6月=240円→1年後231円
1987年4月=147円→1年後124円
1994年1月=110円→1年後100円
1999年2月=112円→1年後107円
2005年11月=116円→1年後117円

と、大体、ドル安になっていたからです。

3

「今年はドル安になる」という考えは、ベクトルとしては正しかったのですが、実際には自分が考えているよりもっとドラマチックな円高が来てしまいました。

ドル安局面では新興国経済は息を吹き返します。ドル安局面ではアメリカの投資家は新興国株式にも積極投資します。それが南米株に強気の理由です。

またドル建てで取引されているゴールドや石油はドル安になると反発しやすいです。これがゴールドや石油株に強気な理由です。これは、今も変更ありません。

日本株は円高になってしまうと苦しくなるので、今年は避けたいと主張しました。この考えに変更はありません。

テクノロジーをアンダーウエイトする理由は、利上げ局面ではPEマルチプル・コントラクションが起きやすいからです。今年は未だ利上げは無いけれど、そろそろ心配する必要があると思います。

バイオやヘルスケアは大統領選挙戦に絡めて薬価の問題が争点となるので嫌気されると思います。このへんのセクターは、避けています。

工業、素材、エネルギー株をオーバーウエイトする理由は、景気がしっかりしていて、金利が上昇しはじめている局面では経験則的にそれらのセクターのパフォーマンスが良くなることが知られているからです。

4

大統領選挙の年、S&P500はどう動いたか?ですが、下のグラフは過去の大統領選挙の年の起点を1として、その年の株価の動きを指数化したものです。それを1972年以降、全部足し上げ、11で割算した結果を示しました。

2

大体、1年を通じて、しっかりの展開であることがわかります。強いて言えば、8月から9月にかけてラリーが見られる点が目を引きます。例年みられる秋の株価の調整が、普通より後にずれている、言い換えれば9月が高値になっている点に注目してください。また10月・11月にかけての調整も浅いです。今年も大体、こういう展開になると思われます。

マネックス証券主催「米国株月次オンラインセミナー」開催のお知らせ

1

マネックス証券主催「米国株月次オンラインセミナー」は以下の要領で開催されます。

開催日:2016年7月25日(月曜日)
時間:夜8時半~10時
講師:広瀬隆雄
参加費用:無料
参加資格:マネックス証券に口座のあるお客様に限定させていただきます
口座開設:こちらのリンクからどうぞ

セミナー当日の参加方法:こちらのリンクからどうぞ!


米国人の暮らし向きは悪くなっている? 投資ストラテジストたちのオフ会から

最新の「ファーバー・レポート」では「本当に米国人の暮らし向きは良くなっているのか?」ということが検証されています。

そこではエド・ヤルデニの「概して米国人の暮らし向きが今ほど良いときはない」という主張に対し、マーク・ファーバーの反論が展開されています。

この論争は、ニューハンプシャー州ウィニペソーキー湖畔のボブ・バーレの別荘に毎年著名投資家やストラテジストが集まり、ブレイン・ストーミングをする集いの中から生まれました。

2

今年の主な出席者は、ゲーリー・シリング、フレッド・ヒッキー、ピーター・ブックバーなどです。

その時のエコノミストやストラテジストたちの論争については「ファーバー・レポート」を読むことで「追体験」することが出来ます。

ここでは「個人消費支出の対GDP比を計測する際、そこに医療費を含めるかどうかで、大きく結論が違ってくる」という点だけを指摘しておきたいと思います。

つまり薬価をはじめとするヘルスケア・コストが余りに急騰したため、それがその他の支出項目を押しのける効果を発揮してしまったということです。

ところで、この「発見」をしたのは、地場証券スタイフェル・ニコラスのストラテジスト、バリー・バニスターです。

私事で恐縮ですが、バリー・バニスターとは1990年頃、SGウォーバーグで一緒に仕事をしました。当時彼はキャタピラーなど資本財のアナリストでした。(あんまり儲けさせてもらった記憶はありません)

ま、いずれにせよ「ファーバー・レポート」は相変わらずトーマス・ペイン、ゲーテ、ジョン・アダムスなどの引用がてんこもりになったうえ、グローバル・マクロ投資家の「楽屋落ち」みたいなネタが挿入されており、面白い事この上ないですね。

marc_faber_596 (2)

『ファーバー・レポート』

「POKEMON GO」が広告市場の酸素を吸い尽くす? フェイスブック、LINE、ツイッターあたりは要注意!

僕はめったに他のブロガーの記事は紹介しないのだけれど、下の記事はたいへん興味深かったです。



ポケモンGOに殺されるアプリ市場と広告市場

さて、銘柄的に、どの企業が一番影響を受けるか? という問題ですが、フェイスブック(ティッカーシンボル:FB)、ツイッター(ティッカーシンボル:TWTR)、LINE(ティッカーシンボル:LN)あたりでしょうね。



フェイスブック(ティッカーシンボル:FB)は7月27日(水)引け後に決算発表する予定です。コンセンサス予想はEPSが81¢、売上高が60億ドルです。

ちなみに第1四半期決算ではEPSが予想62¢に対し77¢、売上高が予想52.6億ドルに対し53.8億ドル、売上高成長率は前年比+51.8%でした。

デイリー・アクティブ・ユーザー数は10.9億(前年比+16%)、モバイルDAUは9.89億(前年比+24%)、マンスリー・アクティブ・ユーザー数は16.5億(+15%)、モバイルMAUは15.1億(+21%)でした。

今回の決算発表ではWhatsAppなど、フェイスブック本体以外の課金戦略の進捗に注目が集まると思います。それと同時に「POKEMON GO」サービス開始以降にフェイスブックのユーザー・アクティビティにどのような影響が出たか決算カンファレンスコールで質問が出るでしょう。


ツイッター(ティッカーシンボル:TWTR)は7月26日(火)引け後に決算発表する予定です。コンセンサス予想はEPSが9¢、売上高が6.07億ドルです。

ちなみに第1四半期決算ではEPSが予想10¢に対し15¢、売上高は予想6.08億ドルに対し5.95億ドルでした。

また月次アクティブユーザー数は予想3.08億人に対し3.1億人でした。

今回の決算では手詰まり感のあるユーザー成長ならびに課金戦略に対し、同社がどのような手を打つのかが注目されます。同社の場合も、「POKEMON GO」からの悪影響が懸念されます。

LINE(ティッカーシンボル:LN)は、未だIPOして日が浅いです。決算発表日はセットされてないと思います。普通、ある企業が株式を新規公開した後の、最初の決算発表は、たいへん重要です。ここでズッコケると、立て直すのは困難です。IPO後初の決算をしくじったことが原因で、消えて行ったネット企業は、星の数ほどあります。

「POKEMON GO」は日本でのサービス開始が米国より遅かったので、LINEに対する影響は少ないかもしれません。しかし同社の場合、売上高に最も寄与しているのはオンライン・ゲームです。その部分は、「ポケモンGO」に「ぶっ殺される」リスクがあると思います。

【お知らせ】Market Hack Salonは新メンバーを募集中です

Market Hackの読者を中心とした親睦コミュニティ、Market Hack Salonは新メンバーを募集中です。

「Market Hack Salon 世界について広瀬隆雄と語ろう!」

これはシナプス株式会社の運営するオンラインサロン・プラットフォーム「Synapse」を利用したサービスです。

Market Hack Salonは、いま世界で起こっている最新のニュース、争点、トレンド、ビジネスチャンスなどについて語り合うコミュニティであり、あくまでも主役は皆さんです。

同じ価値観や問題意識を共有する仲間同士が、安心して語り合える、和気藹々とした「場」が提供できれば……と思っています。

なお、これは「多・対・多」型のコミュニティですので、横レス大歓迎です。

MarketHackについて
Market Hackは世界経済ならびにビジネス・シーンに関するニュース・サイトです
月別アーカイブ
免責事項
なお運営上、ここに書かれる意見には諸々のバイアスがかかっています。投資情報は利益を保証するものではなく、相場の変動や金利差により損失を生じる場合がございます。投資対象や取引の仕組み及びリスクについてご理解の上、ご自身の判断と責任においてお取引いただきますようお願い申し上げます。
BLOGOS
カテゴリ別アーカイブ
  • ライブドアブログ