Market Hack

2010年 ここに注目③ シリコンバレー

Netscape_classic_logoアメリカではよく「Netscape moment」という言葉が使われます。つまり「ネットスケープがIPOした瞬間」という意味です。このIPOを契機としてアメリカの投資家のハイテク株に対する考え方が激変し、所謂、ドットコム・ブームがはじまったのです。

2010年は「Netscape moment」の再来になるような注目を浴びるIPOが出て来るでしょう。それは取りも直さずシリコンバレーにブームが戻って来ることを意味します。

ブームの火付け役になるであろうIPOは所謂、ソーシャル・ウェブと呼ばれる会社群の中から出てくる気がします。具体的にはフェイスブック、ツイッター、リンクドインなどの企業です。

でもそれらの企業以外にも注目度の高い企業は幾らでもあります。例えばビデオ・プラットフォームの会社、ブライトコーブやネットワーク機器のカリックス、電気自動車のテスラ・モータースなどです。

2009年は民間企業や個人のこしらえた多額の借金を政府が肩代わりする年でした。このため公的負債は世界的に急増しました。1930年型の大恐慌を未然に防ぐためにはそうせざるを得なかったのです。

今年はすでに「腹いっぱい」になってしまった公的部門の負債をどうやって軽減するかがテーマになります。だから財投という言葉は流行らないと思うし、投資家が忌み嫌う言葉になるという気がします。

なるべくバランスシート・リスクの無い、クリーンで身軽なストーリーが人気を博す筈です。

その観点からすればシリコンバレーのハイテク株は政府の支援とは無縁だし、バランスシートも鉄壁です。

おまけにTwitterやYouTubeを指摘するまでもなく、インターネットのサービスは世界的な需要爆発を経験しています。

単純明快なストーリーではないでしょうか?

2010年 ここに注目② スペイン

9%

42.9%というのはスペインの若者(16歳から24歳)の失業率の数字です。

スペインはアメリカのサブプライム・バブルより大きな不動産ブームを経験して「労働人口の半分が大工さんや不動産ブローカー、住宅ローンの融資担当者など、何らかのカタチで不動産に関係する仕事をしている」と言われました。

いま、その不動産バブルがはじけて欧州中の投資家が短期間のうちにフリップ(flip=すぐ売り抜ける事)するつもりで購入した物件は空き家のまま売れ残っています。

フィード・イン・タリフという政府の補助金の関係で新築の家にソーラー・パネルを設置するのが大ブームになり、スペインは世界でも有数のソーラー・パネルの需要国でしたが、そのバブルも弾けました。

当時は猫の手も借りたい忙しさで非熟練労働力の若者がソーラー・パネルを設置するために屋根の上に登っていたわけですが、彼らの大部分がこの「42.9%」の中に含まれてしまっているわけです。

スペインの住宅投資はほぼすべてが変動金利の住宅ローンでした。従ってECBが利上げを始めるとスペインはギリシャが経験したような暴動を経験する恐れがあります。

2010年のある時点でアメリカは政策金利の引き上げを実施すると思いますが、欧州はユーロ圏から落後する国が出てしまうリスクがあるため、利上げのタイミングはアメリカより遅れるし、利上げ幅も少なくなるでしょう。

それはユーロが2010年を通じて米ドルよりアンダー・パフォームすることを意味すると思います。

2010年 ここに注目① イラン

新年になりました。今年僕が個人的に注目している事柄について数回に分けて書きたいと思います。

先ずイランについて書きます。

イラン

なぜ僕がイランに興味を持っているかと言えばそれは中東、北アフリカの地域でイランはエジプトと並んでダントツに人口が多く、同地域の政治に隠然たる影響力を持つ大国だからです。

でもこの大国は深く病んでいます。

イランGDP
上のグラフはイランの長期でのGDP成長率を示したものです。1979年にイラン革命があり、経済封鎖を受けたため、1980年のGDP成長率は大幅にマイナスになっています。

この混乱に乗じてイラクのサダム・フセインがイランに攻め込み、イラン・イラク戦争が勃発しました。この戦争は8年も続きイランを疲弊させました。88年にかけての経済低迷はこの戦争が少なからず影響しています。

その後はイラン経済はかなり持ち直しています。しかし原油価格が低迷しはじめた去年あたりからまた成長率の見通しは暗転しています。
イラン経常収支
次にイランの近年の経常収支のグラフを上に掲げました。原油価格低迷が響いています。

イラン消費者物価指数
さらに消費者物価指数を見るとイランは慢性的にインフレに悩まされていることがわかります。とりわけ08年、09年はインフレが荒れ狂いました。

総括すればイラン革命で独立して以来、イランの経済は「いいとこなし」だったと言えるでしょう。

別の角度から言い直すと1979年のイラン革命の時点での同国のGDP規模はスペインとほぼ並んでいました。今はスペインのGDP規模はイランの4倍になっています。

またイランの公共サービス、福祉、医療などもこの30年間に大きく後退しました。平均寿命は1979年の時点では世界で45番目に長かったのが、現在は133位に落ちています。寿命が6年縮まったからです。

また自殺者の政府統計を見ると1977年に1612人だったのが2007年には42000人に激増しています。

麻薬常習者は革命前の10倍に膨れ上がり、450万人へ、テヘランの売春婦の数は50万人(テヘラン市の人口は1200万人)となっています。

離婚率をみると革命前は殆どゼロだったのが、現在は30%になっています。(*)

つまりイランは長年に渡る教条主義的な圧政の下でだんだん朽ちてきているわけです。

アフマディネジャド政権に対する反抗が粘り強く続いている理由は単にアフマディネジャド個人に対する不満を国民が持っているからではなく、レジーム全体に対する深い失望が根底にあるのです。

株式市場的にはこの問題をどう捉えれば良いのでしょうか?

僕の考えでは反政府デモが盛り上がっている間はイスラエルはイランを攻撃できないと思います。なぜならデモクラシー運動の盛り上がりに水を指すことになるからです。

イスラエルはいちおうデモクラシーの擁護者であるという立場を取っていますから動きにくいと思うし、軍事行動に出た場合、オバマ大統領からの支持も得にくくなるでしょう。

むしろイランがこれまでの流れを踏襲してどんどん内側から崩れてゆくというシナリオの方が実現性が高い気がします。

原油価格については増産に走ろうとしている国がとても多いので楽観視していません。若し原油価格が低迷した場合は、イランは一層苦しむと思います。



(*)これらの統計はすべてアミル・タヘリ「ザ・ペルシアン・ナイト」による。

 

元グーグル・チャイナの社長がアップルの「タブレット」の詳細について語った

これだけ連日アップルの「タブレット」に関する噂が出ると、いささか食傷しますが、「アップル・インサイダー」では元グーグル・チャイナの社長、カイフー・リーが彼のマイクロブログの中で次のように語ったと報じています:

アップルの「タブレット」はiPhoneを大きくしたような形状だ。ユーザー・インターフェースはawesomeで、10.1インチのスクリーンはとても美しい。「タブレット」はネットブックとキンドルの機能を備えている。テキストの入力はバーチャル・キーボードで行われ、ビデオ・カンファレンスのためのウエブカムが搭載されている。

「アップル・インサイダー」は上の記述について、これはオッペンハイマー証券のアナリストが数週間前に語ったディテールと近似していると指摘しています。

アップルは1月26日にサンフランシスコのヤーバ・ブエナ・センター(見本市会場)を予約しており、何らかの発表があるという観測が強まっています。

スペインの不動産価格は急落する

これもウォール・ストリート・ジャーナルの記事ですが、スペインの貯蓄銀行が今後住宅ローンを払えなくなったマイホームのオーナーの差し押さえとして取得した不動産物件を大量に処分する可能性が強いのだそうです。

これはスペインの不動産市況にとっては悪いニュースです。

スペインでは既に失業率が19%にのぼっており、ブームの時には同国での雇用の半分近くが、何らかの形で住宅建設や販売に関連していたことから考えても雇用はすぐに改善するとは思えません。

ローンが払えなくなった借り手の物件はスペインの銀行がどんどん接収し、バランスシートに載ったままになっています。

これまではそういう「在庫」を公開入札などで銀行が処分しなかったため、スペインの住宅価格は今年9%程度しか下がっていません。

しかしスペインの中央銀行は貯蓄銀行のバランスシートが売れ残りの物件で膨張するのは将来、危険を残すとして、差し押さえ物件の価値の20%に相当する準備金を積むことを義務付けました。(以前は10%でした。)

売りプレッシャーが出ると差し押さえ物件の価格はより下がり、貯蓄銀行のバランスシートの不健全性はより顕著になります。そこで「早く処分した方が勝ちだな」という認識が広まりはじめているのです。

スペイン中銀の調査では300億ユーロと言われる銀行が所有している不動産物件のうち7割が零細な貯蓄銀行によって保有されています。それらの貯蓄銀行の経営悪化は取り付けなどの原因になりかねないので、未然にそれを防ぐための救済合併などを急ぐべきだとしています。

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