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グーグル(GOOG)の創業者の株式売却意向の届け出が意味するもの

グーグルの創業者、ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンの2人がむこう5年間の株式売却意向に関してSEC(米国証券取引委員会)に8-Kを提出しました。

結論から言うとこの報道にニュース性はありません。

でも気にしている読者も居ると思うので、なぜこういう発表がされるのか?そのインパクトはどうなのか?という点を解説しておきます。

アメリカの証券法では普通のやり方(公募増資)じゃない方法で株式を取得した場合(=正式な定義はunregistered or private sales)、投資家はそのような方法(私募)で発行された新株の処分をしたいときは一定の規則に則って処分するきまりになっています。

それではどんな取得方法がこれに該当するかといえば、創業者が最初に出資した資本金とか、IPOまえにベンチャー・キャピタルが出資したプライベート・ラウンド(私募)とか、幹部社員がストック・オプションで株式を貰った場合です。

それらの経路で取得した株式は制限付き(restricted)証券と呼ばれ、処分の際に一定の手順を踏みます。
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暗雲たちこめるNY市場 こんな時だからこそ利用しよう(現物+CFD)のヘッジ・ストラテジー

NY市場がなんとも不気味な展開になっています。

本来であればオバマ大統領が指名したベン・バーナンキ現FRB議長の再任は、とっくの昔に議会で表決に付され、承認されていなければいけないのです。

でも今、議会はてんやわんやになっています。

なぜならヘルスケア法案でバトルが繰り広げられているし、先週はウォール街の銀行の頭取を集めて公聴会を開き、投資銀行のボーナスに喰ってかかったし、そうかと思えばマサチューセッツの予備選挙では「まさか」の民主党の敗退で、今年中間選挙を控えた議員さんたちは胆をつぶしました。

そういうドタバタに霞んでしまって、バーナンキ議長のコンファメーション(承認)が未だスケジュールすら組まれていないのです。今週水曜日(27日)のオバマ大統領のステート・オブ・ザ・ユニオン演説にはもう間に合いそうもないし、第一、金曜日(29日)が来てしまえば、もうバーナンキ議長はテクニカルには議長ではなくなるのです。

つまりドン・コーン副議長が「代理」としてFRB議長に座に来週(1日)から座る、、、そういうところまで追い詰められているのです。

このピンチをなんとかしないといけないという一心で、ウォーレン・バフェットは今日、テレビで出来る限りのアピールをしました。

「あんたら議員さん達、若しバーナンキ議長に票を入れないなら、その一日前にオレにその旨を伝えてくれ。株を処分するんだから。NY市場がカオスになったら、あんたらのせいだよ。」

このバフェットのけん制がどれだけ議員さんが有権者の顔色だけをみてバーナンキに反対票を投じることへの抑止力になるかは、ハッキリ言って僕には皆目見当がつきません。
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ベン・バーナンキFRB議長の再任の上院承認が暗礁に、、、

けさ寄り付き前にTwitterでつぶやいたように、ベン・バーナンキFRB議長の再任の上院承認が暗礁に乗り上げています。

上院共和党院内幹事(Senate Minority Whip)のジョン・カイル(アリゾナ州)が共和党上院議員全員に「今回の表決に関する態度をハッキリしろ」という催促状を出しました。これはキャピトル・ヒルの隠語で「NOと投票しろ」という指示が出た事を意味します。

投票日は未定。しかし1月の末日までに表決する必要があります。

この事態を憂慮したウォーレン・バフェットはCNBCのインタビューで「若しバーナンキが再選されなければ市場は大混乱に陥る。もし上院議員たちがそんな投票をするつもりなら、一日前に私に教えて欲しい。持ち株を処分するから。」と答えました。


下のグラフは現在までにわかっている議員さんたちの投票意向の集計です。

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新金融規制案を理解する

オバマ政権が「新金融規制案」を提案しました。

グラス・スティーガル法の精神をモデルとするこの規制案は金融機関の過剰なリスクテーキングを防ぐことと「大きすぎて潰せない」ほど銀行が肥大化しないよう、金融機関の規模に制約を設ける事が主な狙いとなっています。

【具体的にどんな内容になるの?】
1.商業銀行業務を行う金融機関はヘッジファンドへの投資や出資を禁止する。また自己勘定でのトレーディングを禁止する。

2.大きすぎて潰せないような銀行が登場しないよう、規模に対して制約を設ける。

オバマ大統領は上記の2つの原則を「ボルカー・ルール」と呼びました。
ボルカーというのは1979年から1987年までFRB議長を務めたポール・ボルカーの名前です。今回の提案の起草はポール・ボルカーが中心となっています。

【なぜヘッジファンドへの投資を禁止するのか】
大部分のヘッジファンドはリミテッド・パートナーシップやリミテッド・ライアビリティー・カンパニーと呼ばれる会社形態を取ります。それらは株式会社とは異なりディスクロージャー(情報開示)義務が少ないです。

すると常に会社のやっていることを公に公表しなければいけない株式会社が、開示義務の少ないリミテッド・パートナーシップやリミテッド・ライアビリティー・カンパニーの子会社を利用することでリスキーな賭けをしている実態を隠ぺいする(つまりループホール=抜け穴ができる)ことができるのです。

また、銀行がリスキーな証券を束ねて、転売するときに、その組成を助長する、受け皿ファンド(SIVなど)を利用することを制限する狙いもあります。

【なぜ銀行の自己トレーディングが論議を呼んでいるか】
銀行は法律によって特別な便宜を受けています。そのひとつは預金保険が与えられているということです。これは銀行が低いコストで預金を集めることを可能にしています。この預金保険は国民の税金から賄われています。

このように特別の便宜が与えられて集められたお金を銀行が自己勘定のトレーディングをする際に利用し、利益を得た時だけは自分の懐に入り、損したときは国民が尻拭いするのはフェアじゃないというのが「ボルカー・ルール」の立場なのです。別の言い方をすれば預金保険の存在が過度のリスク・テーキングを助長するのを防ごうというわけです。

【誰がこの提案の背後にいるの?】
「新金融規制案」を策定しているのは上に書いたポール・ボルカーとウイリアム・ドナルドソンです。

ポール・ボルカーはオールドファッション(古風)な考え方をするキャリア官僚でした。ずっと公僕の立場だったのでFRB議長になった当時は普通の公務員の暮らしぶりをしており、所謂、ウォール街のリッチなバンカーとは違う価値観を持っています。

ウイリアム・ドナルドソンはボルカーとは対照的にウォール街で育ってきた人です。証券取引委員会の委員長を務めあげた人でもあります。1959年にDLJという証券会社をベンチャーで始めた人です。DLJは株式調査に定評のある会社で、最初に公開会社としてNYSEにIPOした証券会社としても有名です。当時は大半の証券会社が公開会社に要求される企業統治やディスクロージャーを忌避していました。その意味でDLJは「コーポレート・ガヴァナンスの鑑」という風に思われてきました。

【グラス・スティーガル法とは】
「新金融規制案」がモデルとしているグラス・スティーガル法は1929年の大暴落に端を発する世界恐慌の時代に、その教訓から生まれた法律で、銀行と証券会社の分離を定めました。

当時、銀行が証券子会社を設立し、親会社である銀行の自社株の株価維持のため証券子会社を通じて買い支えするなどの弊害があり、そういう濫用を防ぐことが一つの目的でした。

また証券の引受業務には大きな引き受けリスクが伴い、預金者のお金がそのリスクにさらされることを防止することも立法の動機になりました。

【GS法成立時のムード】
グラス・スティーガル法に対してはもちろん当時のウォール街は反発しました。しかし当時並行して行われていた金融危機の原因に関する議会の調査(ペコラ調査)でいろいろなウォール街のウラ話が明るみに出ると、国民のグラス・スティーガル法への支持が高まったのです。

なお、大暴落は1929年、そしてグラス・スティーガル法の起草は1932年、施行は1933年というタイムラインから考えても、この手の立法が成立、実施されるまでにはある程度時間がかかることがわかります。

今回の場合、リーマン・ショックがあったのは2008年ですが、「新金融規制案」がこのタイミングで出てきたということは過去の立法の歴史を考えてもごくノーマルなスケジュールです。従って今後しばらくはこの話題が続くと考える事ができます。

【今回の法案の影響】
グラス・スティーガル法が議論されている当時は米国の銀行界は倒産が相次ぎ、ウォール街は意気消沈しており、証券会社のトレーディングも縮小しました。また資金調達は困難になり信用は縮小しました。

従って今回もこの法案に関する討議が進行している間に金融機関のリスクテーキングが縮小し、それが資金調達を困難にし、景気に悪影響を与えるリスクを心配する声があります。

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