Market Hack

レジャー関連銘柄

BRICsを処分した後、何を買えば良いのか?

昨日の雇用統計を見た瞬間から、僕はずっとそのことばかり考え続けています。

こういうときは「相場は相場に聞け!」というアプローチがいちばん。

それで(うむっ、動きがいいな、こいつ)と思う銘柄を3つ挙げてみます。

MAR
CCL
LUV
この3つのチャートの中で、僕はサウスウエスト航空(LUV)が一番好き。ちゃんと新値とっているところも頼もしいし、、、
サウスウエストはハーブ・キャラハーという伝説的な経営者が始めたディスカウント航空会社で、徹底的なロー・コスト経営。創業当初はエア・ホステスに全員、黄色のホットパンツのユニホームを着せて、お色気で客寄せした時代もあります。(=ティッカーがラブ、つまりLUVなのはその名残り。ウォール街でも古参のオジサンしか知らないウンチクであります。いまは残念ながらこの美風は「セクシストだ」ということで廃止されております。)

カーニバル(CCL)はフロリダを拠点にカリブ海などに展開するクルーズ船のビジネス。景気が悪いと誰もバカンスに行かないので、今までアメリカの機関投資家に最も嫌われてきた業種のひとつです。チャート的には何となくアメリカ人が大好きな「カップ&ハンドル」が至現。本格的に上昇トレンドを確認するには$34のレジスタンス(上値抵抗)ゾーンを抜ける必要があります。

マリオット(MAR)は言わずと知れたホテル・チェーン。これも28ドルあたりまでは結構、レジスタンスが厚く、売り物が多そう。

BRICsから戦術的に退却するときがきた

僕は相場を張る時、「れれっ、なにこれ?」という感覚をたいせつにするよう心がけています。

金曜日の雇用統計をみたとき、「ん?!”#$%&」という印象を覚えました。

僕だけでなく、これを読んでくださっている皆さんの多くもそういう感覚を持たれたことと思います。

そこで先ず雇用統計の数字自体が「まぐれ」なのか、丹念に細目をチェックしたけど、こまかいところまで見ても「水も漏らさぬ」良い数字で一致した方向でした。

(するってえと、考えを根本的に修正しないといけないのは投資家の方だということか、、、)

まだ鈍器で殴られたようなショックが余韻を引く中、兎に角、マーケットの声に耳を傾けることにしました。

金曜日の立ち会いではゴールドや工業コモディティーの株の急落が目立ちました。エネルギーも駄目です。新興国株式もインドは比較的値持ちが良かったけれど、後は枕を並べて討ち死にしています。

反対に米国株の中では航空、レジャー、銀行、ハイテクなどがしっかりでした。

そこでBRICsの持ち株を全部処分しました。ブラジルの航空会社のタム(TAM)だけは全面安の中、新値につっかけていたので残しました。(僕は新値を取っている銘柄は売るのを思いとどまるというルールを自分に課しています。)

ゴールドの関係は実は数日前に全部処分していたので無傷でした。これはまぐれあたりです。

ポートフォリオの軸足をアメリカ、それもハイテクや航空、レジャーなどに移したいと考えています。既に半導体には数日前からアグレッシブなポジションを築き始めています。ポートフォリオの核に据えているのはマーベル(MRVL)ですが、テキサス・インスツルメンツ(TXN)も良いように思うし、JDSU(JDSU)やコー二ング(GLW)にも惹かれます。

   ■   ■   ■

僕が(戦術的に撤退する)と決めたら、すぐに行動を起こしてしまう理由は次のようなものです。

先ずナポレオンがロシアに攻め込んで、モスクワ目がけてどんどん進軍しているとき、ちょっとした拍子に(ちぇっ!深追いしすぎたかな?)と悟る瞬間があったと思うのです。

でもそう思ったときにはもう敵陣奥深く入り込んでいるし、簡単には兵をまとめて引くことは出来ません。

機関投資家の運用もこれと同じで、ファンドが大きくなればなるほど、一日でコロッと考えを変え、ポートフォリオを全部入れ替えることは出来ないのです。どんなに(深入りしてしまったな)という悔恨の情が強くても、ポートフォリオの改変は数日間から数週間に渡ってしか実行できないのです。

その点、「君子豹変」できるのは個人投資家の特権です。

   ■   ■   ■

さて、今回問題になるのは何をもって投資家に「チェっ、深入りしすぎたな」と思わせているかという点です。

結論的には「雇用はとうぶん改善しない」という先入観が打ち砕かれた点が重要です。

なぜなら「雇用が駄目なうちはどんなに経済の他の箇所に底入れのシグナルが出ていても、FRBは超緩和的政策を変更しない」という風に皆が決めてかかっていたからです。

借金して、じゃんじゃん流動性を市場に提供する政策は、故意のドル安政策でもあります。

それが雇用が戻ったということになると超緩和的政策は続けられなくなるのです。

投資家の立場から考えるとドルに先安観がある間はなるべくドルと逆相関の動きをする投資対象にお金を避難したいと思うわけです。

ゴールドはドルに逆相関する代表的なコモディティですし、銅などの工業コモディティー、原油なども同じです。

またドル安を利用する投資戦法としては海外株投資というやり方もあります。そこでブラジル株、ロシア株、オーストラリア株などの資源国へ投資したり、ドル安=人民元安でメリットを享受する中国株へと投資するという手法がポピュラーでした。

これらの発想は全部、一度根本的に見直しを強いられるでしょう。

ずっしりこたえた今日のゴールドの下げ

今日のゴールドの下げは結構こたえました。
SPDRゴールド・トラストETF
上のチャートはゴールドそのものではなくてゴールドのETF、SPDRゴールド・トラストETF(ティッカー:GLD)です。今日は約7700万株の商いでしたから普段の4倍近い出来高ということになります。

このところゴールドには「どうせドルは安くなるに決まっている。そうであればドルに逆相関するゴールドには強気でどんどん買い乗せして良い」と考えるモメンタム系のファンドが随分乗っていました。

雇用統計の数字が意外に強かったことで、彼らの慢心(complacency)は一瞬のうちに打ち砕かれたのです。

今日は空前の出来高を伴って大下げしたので、あとあと「しこり」になる可能性が強いです。

米国11月の雇用統計の持つ意味

米国の11月の雇用統計は非農業部門雇用者数が-1.1万人とコンセンサスの-12.5万人より大幅に良かった上に失業率も10.0%と市場予想の10.2%を下回りました。
非農業部門雇用者数
失業率
パートタイムの数が-3.8万人となったのはたぶんパートのうちの一部の人が正社員で採用されたからだと思います。

「どうせ仕事を探してもみつからないだろうから」という理由で職探しをやめてしまった(discouraged)失業者を含めた、「本当の失業率」の方も10月の17.5%から今月は17.2%に改善しています。

一方、非農業部門雇用者数の数字は上に書いたようにコンセンサス予想より「ひとけた少ない」すばらしい数字で、一瞬、目が点になった投資家の方も多かったと思います。

さらに驚かされるのは9月、10月の数字がそれぞれ8万人と7.9万人上方修正された点です。

これらのことから昨夜の-1.1万人という数字は「たまたま何かの拍子に良くなった数字だ」とは言いにくいと思います。つまり現実に雇用市場は回復に向かっているということです。

さて、こんなにいい数字が出てしまったら、これまで我々が前提条件としてきた仮定(assumption)を少し変更する必要がありそうです。

それは「雇用市場はとうぶん悪い」という仮定です。

「とにかく当分失業者は溢れるだろうから、どんなに株式市場がラリーしても量的緩和政策は維持していかないといけないし、利上げなんてめっそうもない」そういう考え方は一旦、白紙に戻したいと思います。

今日の雇用統計の数字を踏まえた新しい世界観についてはしばらく熟考してからまた書きたいと思います。

ドバイ・ワールド問題が地政学リスクに与える影響について

ドバイ・ワールドの債務リストラクチャリング問題は欧州やアメリカの貸し手に「やっぱりアラブは、よくわからん」という印象を与えたと思います。

 

この「わかる」、「わからない」という事は「ここぞ」という場面では結構重要です。早い話、市場が荒れると「わからないものは、やめておけ」ということになるからです。

 

今回の事件では借り手、つまりドバイ・ワールドがopportunistic(ご都合主義的)に約束を破りました。国際間の資本取引ではこういう開き直りを極端に嫌います。今回のような事が起きると他の国の同様のディールにも見直しが入ります。

 

既に欧米の金融機関はギリシャ、ロシア、ウクライナ、リトアニア、ラトビアなどの融資ポートフォリオを再点検しています。

 

とりわけ今回の事件はロシアにとって悪いタイミングでした。それはこのまえのアジアでのサミットに先駆けてロシアは国際協調を前面に打ち出し、開発プロジェクトへの外国資本の招致を戦略的優先事項に据えたばかりだからです。

 

しかし(ロシアにだって、手のひらを返すような仕打ちに遭わされないとはかぎらない)と多くの企業や銀行の経営者が思ったことでしょう。

 

結果として今回の「ロシアから愛を込めた」いざないは空振りに終わる公算が高くなったのです。

 

ロシアは欧米の資本を呼び込むためにイランの経済制裁に協力するゼスチャーを見せました。しかしこの作戦が全く効き目なしと分かった以上、すぐに軌道修正しなくてはいけません。

 

実際、ロシアは既にイランとのよりを戻し、イランが新しく建設する10ヵ所の核施設への技術協力の協議に入っているそうです。

 

これはイスラエルのイランに対するミサイル攻撃の可能性を高めることになるかも知れません。

 

さて、話をドバイに戻すと、最悪のシナリオはアブダビがわざとドバイの政権が倒れるようにサボタージュすることです。もともと(アラブの国はどこでもそうですけど)UAEはお互いにライバルのクラン(部族)の寄合所帯。アブダビは保守的で明らかにスンニ派です。ドバイは「清濁併せ呑む」タイプの土地柄でイランのシーア派とも仲良くできる柔軟性を持っています。

 

若しアブダビがドバイへも影響力を伸長しようと考えているのであればドバイという土地の持つ中立性は失われる危険性があります。これはインフォーマルなチャンネルを通じてイランとスンニ派が裏交渉できる舞台を失うことを意味するのです。

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