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コペンハーゲン国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が難航している

コペンハーゲンで開催されている国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が大荒れになっています。

なるほど会議場の外も世界に報道されているように数千人のデモ隊が行進し、数百人の逮捕者が出る騒ぎになっているのですが、もっと荒れているのは会場の中です。

そこでは中国やアフリカ諸国から成る新興国グループとアメリカや欧州各国から成る先進国グループが真っ向から対立しています。中国はあからさまにアメリカを非難、さらにアフリカの代表は会議の最中に会場を去り、抗議の示威行動に出ました。

中国の代表は「これまで先進国は何十年も温室効果ガスを出してきたのに、新興国が最近になって温室効果ガスを出し始めたからといって責任をわれわれに押し付けるのはおかしい。これは例えて言えば先進国がレストランで食事をしていて、デザートの時間になってやっと新興国の面々が着席したのに、勘定を払う段階になって先進国の面々が割り勘を主張して譲らないのと同じだ。我々は自分たちが食べていないメインコースの分まで払いたくない」とコメントしました。

一方、米国側の主張は「中国はもはや新興国ではない。経済的にも大人なのに未だ新興国の顔をして先進国からの補助金をアテにしている。これはおかしい」というものです。

先進国の多くは去年の金融危機以降、財政的にとても苦しくなっており、新興国へ巨額の補助金を出す立場にありません。一方、新興国は「協定違反だ」と支払うべき金額を支払おうとしない先進国を厳しく批判しています。

この騒然とした雰囲気の中で出席者全員がじんわりとかんじているのは「環境」というだけでどれだけでもホットマネーが集まってきた時代はとっくの昔に終わったという殺伐たる事実なのです。

アブダビが100億ドルをドバイに用立てる 今回の事件でわかったこと

注目されたナキールのイスラム債の償還ですが、土壇場でアブダビが100億ドルを用立てすることで危機回避されることが発表されました。

ドバイ・ワールドはとりあえず貰った100億ドルのうち41億ドルをナキールのイスラム債の支払いにすぐ遣います。

残りは2010年4月までに返済期限が来る、さまざまな債務への準備とします。

結局、最後にアブダビ政府が出てきたことで、多くのナキールのイスラム債への投資家が当初から勝手に決め込んでいた(もしものときは石油リッチなアブダビが尻拭いしてくれるだろう)というシナリオ通りになったわけです。

このような「言外の保証」のことをインプリシット・ギャランティーと呼ぶ事は以前の記事で紹介しました。

このところ世界の投資家はファニーメイに代表されるようにインプリシット・ギャランティーが上手く作動しないケースを経験してきましたが、今回はポジティブな形で驚かされたわけです。

なぜ今回はインプリシット・ギャランティーが実現したのでしょうか?

それはアブダビが実際にお金持ちだからに他なりません。UAEはBPスタティスティカル・レビューによると978億バレルの原油の確認埋蔵量を持っており世界第6位です。また可採年数も89年とクウェートなどと並んで世界最長です。

つまり今回の事件はどちらかといえばリーガル・リスク、ないしはポリティカル・リスクの問題だったと評価できるかも知れません。

そのポリティカル・リスクですが、欧米投資家はナキールからペイオフして貰いさえすれば、後はアブダビとドバイの間でどういう確執があろうがそんなことには興味無いかも知れません。

でもここの部分は僕にとっては興味をそそられる部分です。つまり、今日のドバイのリリースに書かれていない部分でのアブダビ・ドバイ間のバトルというものがあった筈なのです。

今回、もうひとつ我々が学んだことがあります。それは欧米投資家はドバイを「ただホテルやコンドミニアムが無節操に建設された場所」程度にしか認識しておらず、ホテルやコンドミニアムは過剰供給されるわけだから無価値だと言う風に断定している面があることです。

これはアラブの人の考え方とは大きく異なります。

例えばクウェートやサウジアラビアのアラビア海側の工業都市をクルマで走れば鼻を突く原油の臭いに嫌でも気がつくと思います。グーグル・アースでこのへんの地域を拡大すれば、あちこちにドス黒い滲みのような石油まみれの砂漠地帯が延々と続いているのが確認できるはずです。

そこに住んでいる人はこの臭いから逃げる事は出来ません。

つまりそれらの土地は石油の上に「浮かんでいる」のであって、右を見ても、左を見ても石油だらけで、「もううんざり」するくらいなのです。

資源の無い日本のような国に住んでいると石油に対する渇望感は強いですが、サウジやクウェートに行って3カ月もすれば石油の海で溺死する夢を見ます。

逆に渇望感を覚えるのは冷房の利いたショッピングモールであり、プールサイドの良く冷えたカクテル(アルコールの入ったものにありつくことは、サウジでは夢のまた夢です!)であり、カフェやレストランで宗教警察の存在を気にせずに政治論議や異性の話題を楽しんだりする自由、、、そういう、普段、日本人の我々が当たり前に考えている事がとても手に入りにくいのです。

だからアブダビがチャリティー精神からドバイの面倒を見ることにしたという風に解釈しない方が良いと思います。アブダビはドバイの覇権を奪取したくて、「王手をかけている」のです。

原油トレーダーの間で話題になっている新しい造語、BRINK

ワシントンDCベースのオイル・コンサルタント、PFCエナジーのレポートが話題になっています。

そのレポートの中でPFCは「ブラジル、ロシア、イラク、ナイジェリア、カザフスタン(=略してBRINK)の各国では当初世界の投資家が予想していたよりも早いペースで増産が実現しそうな雲行きになっている。これは原油価格にとってネガティブ材料だ」と論じています。

   ■   ■   ■

なるほどブラジルでは確かにリオデジャネイロ沖で巨大な新油田の発見がありました。ただ本格的な増産が出来るのは未だ数年先だと思います。なぜならブラジルは長期的見地から最も効率良く石油を生産するべくリグ、フローティング・ストレージ・ユニット、チュービングなどを全て同一規格にして手順の簡略化、操業ノウハウの再現性の向上を目指しているからです。それらのスタンダード化された大型機器は納品までに長いリードタイムを要します。

ロシアは実績ベースでは近年、最も生産量を伸ばした国のひとつです。ロシア石油関係者の間では生産のピークアウトに対する危機感が強いです。これまでのトラックレコードを見るとロシア人はこと石油の生産に関する限り、「自己査定」の点が辛く、実際ふたをあけてみると良く頑張っているという事が多かった気がします。

イラクは中国やロシアの企業に採掘権を与えています。それらの契約は「汲み上げて、なんぼ」という生産量に対する駄賃を貰う形態になっている関係上、長期的なリザーブ・ライフの最適化などのインセンティブは働きません。つまりすぐにガンガン増産した方が勝ちなのです。だから変化率の点ではこの国がいちばん目覚ましくなる可能性があります。

勇気を出して試行錯誤の回数を増やさなければ日本は救われない

進化シリコンバレーの話をチョッと書いたらいろいろな人からTwitterで反響を頂きました。ありがとうございます。

中でも僕の目をひいたのはEurosellerさんの「独立→失敗→再就職可能の仕組みがないし、そういう人に資金を出そうという仕組みもない」というコメントです。

そう言われて、これは仕組みの問題なのだということにハッと気がつきました。

若しそういう仕組みが今、日本に無いのなら、大至急それを作る必要があります。

また仕組みが既にあってもうまく作動していないのだとすれば油をさしたり錆びているところをピカピカに磨き上げて、もう一度イノベーションのマシーンが動き出せるように愛情を込めてメンテナンスしてあげるのが我々の仕事なのでは?

兎に角、勇気を出して試行錯誤の回数を増やさなければ日本は救われません。なぜならそもそも何が成功するかは誰にもわからないし、おまけに世界の変化の速度はどんどん速くなっているからです。

世界のリスク・キャピタルはいま凄いペースで中国やインドやブラジルに流れています。彼らの資本調達コストはどんどん廉価になり、世界の投資家は彼らの失敗にはどんどん寛容になっています。

それは中国企業やインド企業がいろいろなことを試すチャンスがふえていることを意味します。また資本のちからにモノを言わせて腕力で日本をねじ伏せてくる時代が遠からず来ることを意味します。

日本人が失敗しないことにばかり心を砕いている間に我々が分け前に預かることのできるパイそのものの大きさはどんどん小さくなっているのです。

パイをどうやって増やすかを考えようとせず、それを如何に公平に分けるかに時間の大半を費やしている姿には少し危機感を覚えます。

錆びついているのは日本のエンジニアの夢ですか?それとも官僚や政治家の頭の方ですか?

日本にもシリコンバレーは出来かかっていた それを潰したのがホリエモン事件だ

「日本にシリコンバレーを作る方法」というブログ記事をたまたま目にしました。

それで少し考え込んでしまいました。

なぜなら僕は日本にもシリコンバレーはもう少しのところで出来かかっていたのではないか?と思ったからです。

渋谷が「ビットバレー」とか呼ばれて、面白いスタート・アップがいろいろ登場した、、、あれは何だったのでしょうか?

思うに日本人はエンジニアの人たちの才能の面でもアイデアの面でもぜんぜん世界標準に比べて負けていません。

でも日本が完全に負けている部分があります。

それは失敗を犯すことに対する寛容な態度の欠如です。

計画的な犯罪でない限り、わざわざ失敗させることを前提にビジネスを始める人間は居ないでしょう。ましてやまじめなエンジニアの人たちは自分の理想や夢を実現したいがためにスタート・アップを始めるケースが多いのだと思います。お金とか云々じゃなくて、兎に角、自分がスゴイと思う製品やサービスを実現したい、それが起業の動機なのです。

これは日本でもアメリカでも同じです。

ただアメリカではそういう起業が失敗したとき、「またがんばろうね」くらいで失敗に対するとがめは少ないし、チャレンジに失敗した人がそれをはずかしく思ったりしなければいけない理由はありません。

ところが日本だと起業に失敗した人は犯罪者同然に扱われます。社会に復帰できないし、家族離散とか、悲惨な目に遭うケースもあるかも知れません。

若し上手くいかなかったときに自分が払う羽目になる代償の大きさを考えた時、ひとは起業を諦めるのだと思います。

しかも少しでも成功して「成り上がり」になろうものなら、社会からねたみ、そねみの目を向けられ、少しでも隙があれば徹底的に糾弾されます。

僕はルール違反を犯した人間を擁護するつもりは全くないし、そもそもホリエモン事件の経緯を良く知らないので見当違いなことを書いているかも知れませんが、あのとき寄ってたかってホリエモンを袋叩きにした日本という社会には少し怖いものを感じたし、順法、違法というタテマエ論以前の、「出る釘は打つ」式の陰湿な社会風土を感じざるを得なかったです。

僕がシリコンバレーの投資銀行、H&Qに勤めていた時、H&Qの創業者のビル・ハンブレクトは:

失敗を恐れてはいけない。きみのクライアント企業が失敗したら、「よかったね、これであなたも失敗してはいけないという心の呪縛から解放されたわけだから、次からは成功できるよ」と励ませ!

と口癖のように言っていたのを思い出します。

失敗者に門戸を開き、温かく迎え入れる、、、ビルはこのことをたんなる掛け声ではなく、自分から率先して実行していました。

たとえばスティーブ・ジョブスです。

ジョブスはアップルの経営がおかしくなったとき、自分の雇ったジョン・スカリーから解任され、アップルから放り出されました。でも「行くところが無くなった」ジョブスをハンブレクトは温かく迎え入れます。

だからスティーブ・ジョブスが「ちょっと近くまで来たから親爺のところへ寄ってみたのさ」といってH&Qのオフィスに遊びに来たらすぐにブラウンバッグ(=サンドイッチを包む茶色の紙袋のこと)・ランチを招集したものです。

つまりジョブスが「浪人」していようが、そんなことはカンケイないのです。


Now that you have actually failed, like countless others, you became FREE to succeed.

ビルのこの言葉を聞いた時、本当のシリコンバレーの強さを垣間見た思いがしました。
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