Market Hack

神聖なる聖堂(sacred temple)に光が差し込むとき FRBの秘密主義に対する批判

今週はAIG救済に関する議会の公聴会やベン・バーナンキFRB議長の再任承認投票などいろんなイベントがあり慌ただしかったです。

結局、AIGの公聴会も無事終わったし、バーナンキ議長の承認もOKでした。

「なあんだ、脅かされた割には拍子抜けだったじゃん?」と感じている投資家も多いと思います。

でもそれは表面的な観察です。

今週の一連のイベントで、FRBは極めてたいせつなものを失ってしまったのです。そのたいせつなものとはFRBの持つオーラです。続きを読む

最近の相場は或る意味とってもわかりやすい

このところのマーケットを見ていて感じるのはinnovator's heaven、つまり新しい商品やビジネス・モデルを世に問おうとしている「革新者」たちにとって素晴らしい時代がやってきたということです。

ひさしぶりにワクワクするようなイノベーションがどんどん出てきています。でも誰でもがそういう革新的な商品を世に問うことが出来ているか?といえば決してそうではない。そういう冒険をすることが許される企業は世界の中でもほんの一握りなのです。

折から世界の景気はまだ病み上がりの身。モノになるかどうかわからないチャレンジにポンとお金を出す人は少ないです。また大半の企業もコスト削減や現状のマーケット・シェアを維持することだけに腐心し、完全に守りの経営に入っているわけです。

そういう厳しい環境の中でガッツの要る、真に新しいものを消費者に提案できる企業は両手で数えられるくらいしかありません。彼らは財務的にも誰からの支援も必要としないピカピカ企業だし、新しい試みのひとつやふたつが頓挫したところで、経営が傾いたりしません。言わば「イノベーション貴族」とでも言えるような超然としたポジションに居るわけです。続きを読む

アップルのiPadは名前がダサい 「iタンポン」というあだ名がすでにつけられている

アップルがタブレットを発表しました。
その名もiPad。

これを最初に聞いた時、僕は正直言って(ガク~ッ)と来ました。

事前の噂で「タブレットはiSlateという名前になる」という事が取り沙汰されていたので、そういう先入観が僕の頭の中に宿ってしまい、それがはぐらかされたという事がひとつにはあります。

しかしそれを別としてもiPadというのはiPodに凄く近いので混同しやすいと思うのです。(これは日本人だけじゃなくてアメリカ人だってそうです。)

それになんとなくeye pad(医療用の眼帯)を連想させるし、Twitterではpadが女性の生理用品を連想することからiTamponというギャグすら出ています。

もちろん、そういう意地の悪いジョークはこのiPadの商品としての魅力を取り去るものではありません。

でもこういう些細な事で上げ足を取られるということ自体、アップルの新製品発表に対するファンの期待値が極めて高く、超えなければいけないハードルが高くなっていることの表れだと思うのです。続きを読む

今夜のAIG救済に関する議会の公聴会は重要 FRBが「証拠隠し」をしたかが焦点に

今夜(現地27日朝10時)議会でAIGの救済に関する公聴会が開かれます。

この公聴会では政府が国民の血税を使ってAIGを救済したのは実質的に裏口からゴールドマン・サックスやソシエテ・ジェネラルなどの銀行を救済したことを意味するのではないか?という問題が検証されます。

FRBはAIGの抱えている深刻な問題がマーケットに知れ渡ったらたいへんなことになるという気遣いから救済の根回しを極秘で行いました。しかし今になって「国民はあの時点で知る権利があった」という議論が噴出しています。

特にAIGの発行したデフォルト保険が実際には破綻していて支払い能力が無かったにもかかわらず政府によって額面通り満額ゴールドマンやソシエテ・ジェネラルに支払われた点に関して「なぜ国民の血税を投入しているのに、そんな大事なことを決める前に説明してくれなかったのだ」という気持ちをアメリカ国民は強く抱いています。

さらに悪い事にFRBの法務顧問がメールで「今回の顛末をどう世間に説明するか、そのストーリーをよく練る必要がある。余りにも多くの人間が今回のディールに関与しているので議会がしつこく食い下がると何がおこったかバレてしまう」というメールを出していたことが明らかになっています。このためFRBが「証拠隠し」をしたのではないかという疑惑すら出てきています。

誰がこの救済を決めたのか、何人の人間がこのことを知っていたのか、、、そういうことが追及されるのだと思います。

この公聴会はバーナンキ議長の再任投票に影響を与える可能性があります。また新金融規制法の制定にモメンタムをつける可能性があります。


投資家が理解すべきことはアメリカの国民や議員さんたちは別にバーナンキ議長その人に恨みなんか持っていないということです。むしろバーナンキ議長に対するNOの投票はFRBというインスティチューション(権威)に対して突き付けられたNOなのです。僕は1980年代からつぶさにFRBの動向を追ってきましたが、こんにちほどFRBの威信が揺らいだ瞬間は過去にはありませんでした。

新聞、書籍、テレビなどのオールド・メディアのトルキーパー(料金所)としてのタブレット

アップルがいよいよ今夜サンフランシスコのヤーバ・ブエナ・センターでタブレットのお披露目をやります。

アップルは新製品発表に際してはサプライズ効果を最大化するためにこれから発表しようとする新製品の詳細はひた隠しにします。従って今回のタブレットに関しても大体の輪郭はわかっているけど、細かい点については明らかではありません。従って、これから書くことはあくまでも憶測です。

アップルの収益機会という面から考えるとタブレットは極めて重要な新製品です。なぜならタブレットのフォームファクター(=つまりサイズのこと)は携帯電話のサイズではないからです。

なぜこれが大事かというとスマートフォンなら「電話」という呪縛から完全に逃れることはできないからです。

「電話」である以上、月々の電話代はAT&Tなどの電話会社が集金します。するとスマートフォンのハンドセットのコストをサブサダイズ(=補助すること)するかどうか?などの経営上の意思決定はキャリアー、つまり電話会社との協調によって決まってゆきます。

これはアップルやその他のデバイス・メーカーにとって、ありがたいことであると同時にダウンサイドにもなります。

なぜありがたいかといえばキャリアーがそのバランスシートを使って販売促進のためのサブサダイジング(実質的な値引きのこと)をするわけですからある程度需要を先喰い(pull)できるのです。

つぎに消費者は一般にパソコンを使用しているときは有料のコンテンツを買いません。しかし奇妙な消費者心理として携帯でオファーされる有料コンテンツは割合と抵抗なく買ってしまうのです。

これはひとつにはそれらの有料サービスが月々の電話代の「上乗せ」というカタチで請求されたら、もともと昔から電話代は使用料に応じて変動するものという先入観があるので「使っただけ払うのは仕方ない」という習慣が出来てしまっているからです。

なぜiPhoneのアプリケーションを開発する小さなベンチャーが雨後のタケノコのように輩出したかといえば、上に書いたような課金経路がガッチリ確立しているからにほかなりません。

さて、それではアップルにとってこのキャリアーとの関係がダウンサイドになる理由ですが、それはキャリアーの限界がアップルの限界になるということです。

慢性的な過少投資が祟ってAT&Tのネットワークはダウンタイムが多いことは良く知られています。

さらにiPhoneが電話のようなカタチをして、電話のような販売経路で売られている以上、電話のような価格設定しか出来ない点も大いに不満が残ります。

つまりアップルのファンはもっと高い価格設定でも喜んでタブレットのようなデバイスを買ってゆくだろうという読みが会社側にはあるはずです。そのためには先ずこのデバイスのフォームファクター(形状)を「電話らしいカタチ」から脱皮しないといけないのです。

またスティーブ・ジョブスはその商品が美しいフォルムをしており、ゴージャスな質感を持っているということにも極めてウルサイおとこです。

そういう彼の審美的な基準を最低限満たすためにはある程度のサイズであることが重要なのです。

さて、タブレットはキーボードが無いため、どんなにエレガントな入力方式採用したとしてもキーボードの効率には勝てないと思います。

それはタブレットがproductivity tool、つまり生産性を上げるための道具ではなく、楽しむもの、つまりライフスタイル・デバイスであることを示唆しています。

それはもっと平たい言い方をすれば、テレビとか、読書とか、朝、朝食を食べながら朝刊を広げるとか、そういう我々のごくフツーの日常生活の場面で使用ないし消費される情報を届ける端末になるということです。

言い換えればオールド・メディアのゲートウエイとしてのタブレットというコンセプトがそこに浮かび上がってくるのです。

我々は日々パソコンやスマートフォンを使いこなしているので気が付きませんが、世の中にはいまだにパソコンやスマートフォンは苦手で、テレビや朝刊に依存するシニア層なども沢山居るのです。

つまりオールド・メディアのデリバリー・デバイスとしてのタブレットのアドレサブル・マーケットはiMacのアドレサブル・マーケット(狙える潜在市場の規模のこと)より遥かに大きいのです

しかもアップルには既にiTuneという課金モデルが実績として確立しています。別の言い方をすればマイクロペイメントの存在はニューヨーク・タイムズやFOXやNBCにとってアップルとの新しいビジネスJVをする機会をもたらしているのです。
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