Market Hack

中国の銀行株は避けた方が良い

「証券報」によると中国銀行監督当局幹部の談話として「中国の銀行はあと732.5億ドル程度、資本増強をする必要がある」と伝えています。

中国や香港の株式市場は近年ずいぶんたくましく成長したので公募を消化する能力もUPしました。しかし、、、700億ドルというのはメチャクチャきつい数字です。

なぜ中国の銀行監督当局はこういう厳しい注文を銀行につきつけているのでしょうか?これには幾つかの理由があります。

先ず今年銀行融資がメチャクチャ伸びました。融資を伸ばせば、それに呼応して自己資本も充実させないと自己資本比率が低下します。事実、中国の銀行の自己資本比率は全ての銀行において今年低下しました。これは自己資本比率をどんどん引き上げている世界の流れとは逆です。

次にすでにあまねく報道されている通り、先週、BISが銀行の自己資本の在り方に関し討議しました。日本では厳格な基準の施行のタイミングをぼかしたことばかり報道されましたが、今回の決定で最も大事な事はコア・キャピタルに参入される資本金をPure、つまり混じりけの無いものにすべきだという点です。

もっと具体的に言えば劣後債はよろしくないという認識が高まったということです。

いま中国の銀行の自己資本比率をみると自己資本比率自体は世界の平均から比べても高いのですが、その内容は劣後債が多いです。しかもA銀行の劣後債をB銀行が保有し、B銀行の劣後債をC銀行が保有する、、、そういうシステミック・リスクが発生しやすい「引き受け合い」をやっているわけです。

これはBISの示している方向性とは真反対です。

中国の銀行監督当局は優秀で精鋭揃いなのでこのリスクは誰よりも痛感しています。だからアメリカのように綻びが出始めてから慌てて対応するのではなく、先回りして健全化への断固とした指導に着手しているのです。

シリコンバレーのリベンジ 2010年はホットIPOが続々登場する

カリックス来年はシリコンバレーの年になると思います。

僕がそう考える理由はIPO準備に入っている企業のクウォリティーが極めて高いからです。

巷ではFacebookとTwitterが2010年のある時点でIPOされると噂されています。なるほど、そうなのかも知れません。

でも仮にそれらのソーシャル・ウェブの企業がIPOしなくても、既に公開準備に入っている企業群の顔ぶれをみると選りすぐりの精鋭部隊となっています。

そのひとつの銘柄がカリックスです。

同社はイーサネットによるビデオなどの超大容量アクセス・ネットワークを構築するための機器ならびにソフトウエアを販売しています。

同社は僕の住んでいるとなり町、ぺタルマに本社があります。ぺタルマは知る人ぞ知る、通信技術の研究開発ではちょっとした実績を誇る町で、昔からアドバンスト・ファイバーなどの企業が拠点を構えていました。

話は脱線しますが、ぺタルマは農業でも有名で、「アメリカの乳製品の首都」というあだ名もついています。なだからな牧草地で牛が点々と草を食む、そういう光景が延々と続いている処。

そのぺタルマを一躍有名にしたのは光通信機器のセレントをシスコが買収したディールです。あのときは一夜にして億万長者がぞろぞろ輩出し、ぺタルマの町全体の不動産物件価格が一夜で10%以上も上昇したという逸話も残っています。

そのセレントのCEOを務め、後にシスコの光部門のヘッドを務めたカール・ルッソ(上のビデオの人)が満を持して放つのが今度IPOされるカリックスというわけです。

このディールはゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーという、往時のドットコム・バンキングの大御所が真正面からぶつかり合い、激しい主幹事獲得競争を繰り広げた案件です。当然、ホット・ディールになると思います。

なお、上のビデオの中でカールが言っていることは、「インターネット上でのビデオの消費量は等比級数的に伸びているけど、ビデオを配信することによって得られる売上高の伸び率はもっとずっとゆっくりしたペースであり、この需要爆発と売上成長率の低さがサービス・プロバイダーにとって苦しい状況を作り上げている。そこでビデオの需要爆発に対応しながら、設備投資額が雪だるま式に増えないような解決法を見つけないといけない。そのためにはイーサネットをスケールアップする方法しかない」ということです。

ピムコのスコット・メーサーの『バロンズ』インタビュー(抜粋)

ピムコでグローバル・ポートフォリオ・マネージメント(債券)部門のヘッドをしているマネージング・ディレクター、スコット・メーサーが『バロンズ』のインタビューに応えています(以下引用):

Why are you underweight Japan?

There is virtually no conceivable way that Japan can, at this late stage in the game, get its debt dynamics under control through normal means. And that suggests it will take unnatural means, of either default or generating inflation through a massive amount of monetization of the debt. Now this is looking longer-term, but in the near-term, Japan has plenty of potential to muddle through. So when we look at Japan, we look at the relative value. Its sovereign debt has one of the lowest yields in the world, too. So from a pricing perspective, it doesn't look very attractive, relative to other countries that have a better debt dynamic and that won't be facing some of the long-term problems.


バロンズ:なぜ日本(の国債)はアンダーウエイトなのですか?
メーサー:いまはすでに「後の祭り(late stage in the game)」の段階に来てしまっているので、日本が通常のやり方で雪だるま化する国家負債を正常の状態に戻すことはできないと思う。それはつまり不自然な方法で現状に訂正が入る必要があることを示唆している。即ちデフォルトとか負債の大規模なマネタイゼーションによってインフレを引き起こすという経路などを指す。もちろん、今話していることは長期での話であって、目先について言えば日本政府はこの負債をやりくりし、問題を先延ばし(muddle through)する方法はいくらでも持っている。日本の国債の利回りは世界で最も低い部類に入る。すると「お買い得さ」という観点からは食指が動かない。他に財政内容の良い国は幾らでもあるし、今説明したような不自然なイベントに将来直面するリスクを抱えていない国は幾らでもある。

中国のインターネット株は敬遠すべし

はじめて大勢の個人投資家の皆さんの前で喋ったのは2006年の2月の大阪での講演会でした。そのときビッグなテーマの筆頭として中国のインターネット業界をハイライトしました。

当日使用したスライドを今、見直すと懐かしさがこみ上げてきます。バイドゥ(BIDU)のスライドでは株価はUS$54.5となっており、PERは118倍とあります。また「推奨している証券会社は1社もない」ことを僕がこの株を好きな理由として掲げてあります。当時、バイドゥを取り上げることはとても勇気の要ることでした。

この大阪での公演以来、こんにちまでセクター全体として中国のインターネット業界を嫌いになったことは一度もありません。(もちろん携帯電話の付加価値サービスなど、逆風に直面した個々のセグメントに対してネガティブになったことはあります。)

でもここ数日は何だか陰鬱なムードになっています。

もうTwitterなどで皆さんがつぶやいているので知らない人は少数派かも知れませんが、中国で最近、インターネットに対する政府の監視、規制が大幅に強化されました。

僕は各国独自のイデオロギーや価値観の違いは何よりも尊重する主義なので中国のやろうとしていることにはむしろ同情するし、背に腹は代えられない事情があることはわかります。

でもビジネスのソロバンから考えて、これから中国のインターネット業界はきつくなる。もっと言えば成長を捻り出しにくくなると思っています。

今回の中国の措置は今年6月に中国政府が「新しく中国で売られるパソコン全てにインターネット・フィルター・ソフトウエアをインストールしなさい」という指導を発表したら、国内のユーザーならびに海外のハイテク・メーカーから轟々の非難が出たことに端を発しています。

中国政府は中国ハイテク業界の将来の競争力などに配慮してこの方針を引っ込めました。

その代わり今度は「個人は.cnというドメインを取得することはできない」という方針が発表されたのです。

法人は今まで通り、.cnというドメインを取得できます。

なお個人はいままで通り、.comや.netというドメインは取得できます。

さらに中国政府はファイル・シェアリング・サイトや動画エンタメ・サイトなど、全部で700ものサイトを閉鎖しました。

この関係でイー・コマースなどのスタート・アップも昔よりはじめにくい環境になったと言われています。

バイドゥの場合、検索の大半は音楽や動画です。また広告主はスタート・アップ企業が多いです。

中国ではFacebookもTwitterもYouTubeもご法度。

これは単純に言えばWeb1.0よりも先へ中国が進めないことを意味するのではないでしょうか?

折角、才能に溢れた中国人が沢山居るのに、わざと「知の進化」から背を向ける中国政府の度量の狭さには大いに落胆させられました。

それは兎も角、中国のネット株はどれも「すこしの成長率の減少も許されない」ギリギリ目一杯の株価評価が付いています。新しい創意工夫が意図的に抑圧されるのであれば、バイドゥもアリババもテンセントも未来は暗いと思います。

早く降りた方が勝ち。

イランは内側から崩れ始めているのか?

ブルームバーグによると昨日イランの軍隊がイラクのアル・ファーカ油田に進軍し、油田の周りを戦車で取り囲み、イランの国旗を掲げたそうです。

アル・ファーカ油田は現在休止井であり、イラクの原油の生産能力に対する影響は皆無だと思います。

イランとイラクの国境線は列強が人為的に引いたもので、昔から国境線の妥当性に関しては幾度となく論争が起こってきました。イランのイスラム革命の後の混乱に乗じて、イラクのサダム・フセインがイランに戦争を仕掛けたことは良く知られています。

このように火種は確かに存在するし、イランの戦車がイラクに入ったということは事実なのかも知れませんが、そのやり方は全面戦争と言うより魚釣り(fishing trip)に近いもので、真剣さを感じさせません。

むしろこれは最近人気が落ち目になっているアハマディネジャドが「有事」を演出することによって人気挽回を図ろうとしているニオイがプンプンしています。

イランでは今、経済の困窮から公共サービスの価格がどんどん上昇しています。その関係でアハマディネジャドはとても不人気です。

別の言い方をすればイランの鎖国政策が限界に来ており、国民は開国を願っているのです。

これからイラン情勢は大きく変わると思います。

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