Market Hack

ピムコのスコット・メーサーの『バロンズ』インタビュー(抜粋)

ピムコでグローバル・ポートフォリオ・マネージメント(債券)部門のヘッドをしているマネージング・ディレクター、スコット・メーサーが『バロンズ』のインタビューに応えています(以下引用):

Why are you underweight Japan?

There is virtually no conceivable way that Japan can, at this late stage in the game, get its debt dynamics under control through normal means. And that suggests it will take unnatural means, of either default or generating inflation through a massive amount of monetization of the debt. Now this is looking longer-term, but in the near-term, Japan has plenty of potential to muddle through. So when we look at Japan, we look at the relative value. Its sovereign debt has one of the lowest yields in the world, too. So from a pricing perspective, it doesn't look very attractive, relative to other countries that have a better debt dynamic and that won't be facing some of the long-term problems.


バロンズ:なぜ日本(の国債)はアンダーウエイトなのですか?
メーサー:いまはすでに「後の祭り(late stage in the game)」の段階に来てしまっているので、日本が通常のやり方で雪だるま化する国家負債を正常の状態に戻すことはできないと思う。それはつまり不自然な方法で現状に訂正が入る必要があることを示唆している。即ちデフォルトとか負債の大規模なマネタイゼーションによってインフレを引き起こすという経路などを指す。もちろん、今話していることは長期での話であって、目先について言えば日本政府はこの負債をやりくりし、問題を先延ばし(muddle through)する方法はいくらでも持っている。日本の国債の利回りは世界で最も低い部類に入る。すると「お買い得さ」という観点からは食指が動かない。他に財政内容の良い国は幾らでもあるし、今説明したような不自然なイベントに将来直面するリスクを抱えていない国は幾らでもある。

中国のインターネット株は敬遠すべし

はじめて大勢の個人投資家の皆さんの前で喋ったのは2006年の2月の大阪での講演会でした。そのときビッグなテーマの筆頭として中国のインターネット業界をハイライトしました。

当日使用したスライドを今、見直すと懐かしさがこみ上げてきます。バイドゥ(BIDU)のスライドでは株価はUS$54.5となっており、PERは118倍とあります。また「推奨している証券会社は1社もない」ことを僕がこの株を好きな理由として掲げてあります。当時、バイドゥを取り上げることはとても勇気の要ることでした。

この大阪での公演以来、こんにちまでセクター全体として中国のインターネット業界を嫌いになったことは一度もありません。(もちろん携帯電話の付加価値サービスなど、逆風に直面した個々のセグメントに対してネガティブになったことはあります。)

でもここ数日は何だか陰鬱なムードになっています。

もうTwitterなどで皆さんがつぶやいているので知らない人は少数派かも知れませんが、中国で最近、インターネットに対する政府の監視、規制が大幅に強化されました。

僕は各国独自のイデオロギーや価値観の違いは何よりも尊重する主義なので中国のやろうとしていることにはむしろ同情するし、背に腹は代えられない事情があることはわかります。

でもビジネスのソロバンから考えて、これから中国のインターネット業界はきつくなる。もっと言えば成長を捻り出しにくくなると思っています。

今回の中国の措置は今年6月に中国政府が「新しく中国で売られるパソコン全てにインターネット・フィルター・ソフトウエアをインストールしなさい」という指導を発表したら、国内のユーザーならびに海外のハイテク・メーカーから轟々の非難が出たことに端を発しています。

中国政府は中国ハイテク業界の将来の競争力などに配慮してこの方針を引っ込めました。

その代わり今度は「個人は.cnというドメインを取得することはできない」という方針が発表されたのです。

法人は今まで通り、.cnというドメインを取得できます。

なお個人はいままで通り、.comや.netというドメインは取得できます。

さらに中国政府はファイル・シェアリング・サイトや動画エンタメ・サイトなど、全部で700ものサイトを閉鎖しました。

この関係でイー・コマースなどのスタート・アップも昔よりはじめにくい環境になったと言われています。

バイドゥの場合、検索の大半は音楽や動画です。また広告主はスタート・アップ企業が多いです。

中国ではFacebookもTwitterもYouTubeもご法度。

これは単純に言えばWeb1.0よりも先へ中国が進めないことを意味するのではないでしょうか?

折角、才能に溢れた中国人が沢山居るのに、わざと「知の進化」から背を向ける中国政府の度量の狭さには大いに落胆させられました。

それは兎も角、中国のネット株はどれも「すこしの成長率の減少も許されない」ギリギリ目一杯の株価評価が付いています。新しい創意工夫が意図的に抑圧されるのであれば、バイドゥもアリババもテンセントも未来は暗いと思います。

早く降りた方が勝ち。

イランは内側から崩れ始めているのか?

ブルームバーグによると昨日イランの軍隊がイラクのアル・ファーカ油田に進軍し、油田の周りを戦車で取り囲み、イランの国旗を掲げたそうです。

アル・ファーカ油田は現在休止井であり、イラクの原油の生産能力に対する影響は皆無だと思います。

イランとイラクの国境線は列強が人為的に引いたもので、昔から国境線の妥当性に関しては幾度となく論争が起こってきました。イランのイスラム革命の後の混乱に乗じて、イラクのサダム・フセインがイランに戦争を仕掛けたことは良く知られています。

このように火種は確かに存在するし、イランの戦車がイラクに入ったということは事実なのかも知れませんが、そのやり方は全面戦争と言うより魚釣り(fishing trip)に近いもので、真剣さを感じさせません。

むしろこれは最近人気が落ち目になっているアハマディネジャドが「有事」を演出することによって人気挽回を図ろうとしているニオイがプンプンしています。

イランでは今、経済の困窮から公共サービスの価格がどんどん上昇しています。その関係でアハマディネジャドはとても不人気です。

別の言い方をすればイランの鎖国政策が限界に来ており、国民は開国を願っているのです。

これからイラン情勢は大きく変わると思います。

中国の銀行による融資の「飛ばし」には気をつける必要がある

フィッチが中国の銀行の会計のあり方に警鐘を鳴らすレポートを出しています。

これがフィナンシャル・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルで取り上げられ、中国の銀行株に対する欧米の投資家の警戒感が高まっています。

それによると中国の銀行では融資を将来買い戻す約束のものと数週間から数年間、信託会社などに売却するということが横行しているそうです。それらの融資は金融商品としてリパッケージされ、転売されています。公式なデータはありませんが、中国の調査会社の試算では880億ドルもの融資がそうやって飛ばされたらしいです。

なぜ中国の銀行がそうやって融資を自分の帳簿から抹殺するかというと、融資の総量を抑えたいとする銀行監督当局からの指示に従う必要があるからです。

このような証券化は欧米でも行われていることであり、それ自体は新しい現象ではありません。しかし証券化のビジネスは中国では比較的最近出てきた分野なので法規制や会計基準などが融資の現場で展開しはじめている、あの手、この手の規制逃れの方便について行けていないのです。

サブプライム・ローンの証券化の問題を例に出すまでも無く、このような法規制のグレー・ゾーンを利用した収益機会極大化の風潮は後で禍を招くことが極めて多いです。

中国の銀行は当局から「どんどん公募して資本強化しろ」とお達しを受けていることもあり、株の需給関係はこれから悪化すると思います。

買い材料は見当たりません。

リスク・トレードの時代は終わって素直に景気のリカバリーを買う局面がきた

いまの相場はひとことで言えばリスク・トレードの時代が終わって素直に景気のリカバリーを取りにゆく、そういうマーケットだと思います。

リスク・トレードとは借金のコストが極端に安い状態がとうぶんの間続くという前提のもとに普段なら金利を生まないような投資対象へ大胆に投資するストラテジーを指します。

たとえばゴールド(金)は所持していても金利が付くわけではないし、配当が出るわけでもありません。つまりフツーに市中金利が或る程度つくような環境では金利分だけ不利な投資対象なのです。

でも金融危機以降、これまでのアメリカのように超低金利の状態ではゴールドに投資することはとりわけ不利ではありませんでした。これが投機のお金が大挙してゴールドに流れ込んだひとつの理由です。

でも12月5日の雇用統計の数字が良かったので、1年先くらいの金利の見通しが狂ってきてしまいました。つまり「FRBは遅かれ早かれ、超緩和的金利政策を終わらせなければいけない」という認識がじんわり出始めているのです。

だからゴールドは一旦、降りて正解でした。

Gold

こうやって振り返ってみれば、いかにゴールドが「買われすぎ(青のマルで囲った部分)」になっていたかわかります。

配当や金利がつかない投資対象といえば原油なんかもそうです。いや、むしろ原油の場合、現物を引き取るためには貯蔵の手段が必要になりますからむしろキャリー(保持しつづけること)のコストは嵩みます。

そんなわけで原油も典型的なリスク・トレードの対象であり、今のようなマクロ経済の環境ではとりわけヤラレやすい資産です。

PBR

上のチャートはブラジルのペトロブラス(PBR)ですが、やはり理屈通りこっぴどく売られています。

新興国の多くはホットマネーの行き先として投資家に選好されてきました。でも調達金利(=つまり米国の金利)の先行きが不透明になると「借金で張る相場」はとたんに引かれ腰が弱くなります。下のチャートは中国のETFですが、これも教科書通り下げています。

FXI

それではこれらのリスク・トレードを利喰ったお金でどこへ投資すれば良いのでしょうか?

僕は旅行関連とかが良いんじゃないかなと思っています。先に紹介したサウスウエスト航空(LUV)は既に新波動に入っています。だから目先はチョッと冷やした方が良いかも知れません。基本的にはまだまだ上をみています。

もうひとつ旅行絡みで僕が注目しているのはマリオット(MAR)です。これはまだブレイクアウトしていないので、ちゃんと上値抵抗線を抜けて新波動に入った場合のみ飛び乗りたいと考えています。

MAR

あと今アメリカではiPhoneやキンドルなどのハンドヘルド・デバイスが凄く流行しています。これは息の長いトレンドになると思います。

それらのハンドヘルド・デバイスは電池が長持ちしないといけないのでなるべく複数の半導体チップをひとつに集約し、デザインの統合度を高めてやる必要があります。するとシステム・オン・ザ・チップ(SOC)という複数のチップの機能性をひとつのチップ上に焼き込むデザイン技術がカギになります。この分野で近年メキメキ頭角を現している企業がマーベル・テクノロジー(MRVL)です。ハイテク株の中では僕の個人的なイチ押し銘柄です。下のチャートの青のマルで囲まれた部分に見られるように、今は少し「買われすぎ」になっているので押し目を待つと良いでしょう。
MRVL

その他では今日、引け後に決算発表したリサーチ・イン・モーション(RIMM)も面白いかも知れないと思っています。
RIMM

それから明日決算発表があるカーニバル(CCL)も決算の内容が良かったことが確認されれば打診買いしてみたいと考えています。

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