Market Hack

あなたはこの男とビジネスをしたいと思いますか?




フィル・エンジェリデス議員とゴールドマン・サックスのロイド・ブランクフェインCEOの質疑応答:

PA:あなたは「我々は明らかに悪いと思うディールに参加した。それについては後悔しているし、謝罪したい」と証言しましたが、具体的に謝罪したいと思わせる不注意で、かつ不適切なディールの例を2つほど挙げていただけますか?

LB:後悔しているのはゴールドマン・サックスがマーケットの熱狂にとりつかれてしまって、自分たちもそれに参加し、結果として事態を悪くする事に一役買ってしまったという点です。例えばレバレッジ・ファイナンスの分野ではGSはトップの実績を持つ一社ですが、プライベート・エクイティーの顧客にサービスを提供すると同時にM&Aでもアドバイスを提供しています。さらにそれらのディールの資金の融通の面倒をみることも弊社はやっています。それらのディールはだんだんレバレッジが大きくなってきたにも関わらずフィナンシアー(=資金調達アドバイザー)としてそのリスクに無頓着でした。
またそれらのディールから発生するポジションを自己勘定で長く持ちすぎたと思います。

PA:あなたの会社はかなりの金額のサブプライム・ローン関連証券を組成し販売しましたが、それを販売する傍らで、同時にそれらの証券が下がると儲かるようなショート・ポジションを取っていたようですが、私は或るストラクチャード・ファイナンスの専門家の人から「そのようなやり口は私がいままでに見た中で最もシニカルな信用情報の利用方法だ」と教えられました。あなたはそのようなショートが適切で、合法で、倫理的な取引手法だと思いますか?

LB:マーケット・メーカーという役回りにおいては我々は自己勘定で顧客の注文に応じます。顧客が売りたいと思った時は買い、買いたいと思った時は売りにまわるのです。ですからフィデューシアリー・デューティー(顧客の利害を擁護する義務)はありません。また委託注文の代行者でもないのです。もちろん、それらの商品がどういう性格のものであるかをちゃんと開示する義務はあります。でも我々は誰か他人のお金を管理しているわけではないのです。(中略)
殆どのケースでは顧客がそれらの証券を買い求めたのは、彼らが買いたいと言ったから売ったまでの事です。

PA:格付け機関に「これは高いレーティングをつけて下さい」と働きかける傍から、その証券をショートするというのはどういう理屈からなのか説明してください。

LB:ゴールドマン・サックスという会社を見たら、、、最大のリスクはリスクの累積という問題であって、、、マーケット・メーカーの立場からすれば「住宅市場が健全だから」とか「健全でないから」という理由からリスクを管理しようとするのではありません。ゴールドマン社内でも、、、、いろいろな部署があって、、、そういう個々のポジションを良いと思う部署もあれば、悪いと思う部署もあり、、、つまり我々の仕事は自分自身のリスク・マネージメントということなんです。(中略)

PA:ハッキリ言いますけど、自動車のセールスマンがブレーキの壊れた欠陥車を薦めると同時にそれが事故ったときのための保険を購入するような行為ですね。

LB:サブプライム・ローン証券を購入した顧客は皆、機関投資家です。かれらはたぶん皆プロだと思います。彼らは証券化商品の専門家であり、好きで買っているわけですから、、、、

黒いカーテンが降りた中国のネット界

グーグル(GOOG)が中国での事業展開を諦めることを検討していると発表しました。

背景には同社のサイトが度々、中国国内のハッカーからのアタックに晒されたことがあります。具体的には中国の人権運動活動家のGメール・アカウントが中国政府のスパイによってハッキングされたのだそうです。

これに抗議してグーグルは中国で運営しているサイトの一部での検閲を停止したと発表しました。

これは実質的にグーグルが「もう中国政府の全体主義的なやり方に黙っていないぞ」と全面対決の姿勢を打ち出したことを意味します。

中国政府はこの発表を今のところ黙殺しているようです。

中国のネットユーザーの中にはグーグルのオフィスに献花し、静かな支持を表明しているひとも居ます。

ヒラリー・クリントン国務長官はすぐにグーグルの支持を表明、「サイバー・スペースをみんなが安心して使える自由を確保する必要がある」ことを強調しました。

グーグルが撤退するとバイドゥ(BIDU)、テンセント、ネットイーズ(NTES)、ソーフー(SOHU)などのローカル企業は短期的に恩恵を蒙ります。

このためバイドゥ(BIDU)の株価はプリ・マーケットで+16%も上昇しています。

しかし先のオンライン・ゲームから外国企業を締め出した事例では結局中国のネトゲ株のPEマルチプルは縮小しました。

長期で見た場合、中国のネット業界の隠遁化はイノベーションのチャンスを限定し、知の進化の面で中国が世界から取り残される原因となる危険性もあります。

国際競争力とは安い労賃だけに宿るものではなく、技術革新やブランドなどの無形価値、さらに新しいものを創り出すちからに宿るという立場を取るならば、今日は中国にとって重苦しいとばりが降りた日と言えるでしょう。





着実に金融引き締めが行われている中国

中国で粛々と金融の引き締めが進行しています。
昨日、引け後に人民銀行はリザーブ・リクワイアメント・レシオを50bp引き上げると発表しました。
リザーブ・リクワイアメント・レシオとは準備率を指します。つまり銀行が貸出をする際、貸出総額の一定の割合を中央銀行に「人質」として預けることを義務付けるルールです。その準備金の割合を示すのが準備率であり、準備率の引き上げは新規融資を抑制する意図でなされるのです。

これとは別に人民銀行は売りオペにより3ヵ月物手形金利を1.8434%へと引き上げました。これは1月7日の1.328%から1.3684%への引き上げに続くものです。

毎度書く事ですが、中国政府はきわめてクールな状況判断で経済運営を粛々と行っています。現在の焦点はインフレの芽を早く摘むという事です。

PS:中国政府のやることに「偶然」というのは無いと思います。大体、熟慮の上で全体をコーディネートしながら複数のポリシー・ツールを援用しつつ経済を誘導していく場合が殆どです。例えば前回、人民銀行が「量的引き締め」に出た時はその直後に銀行融資が激減する、極めて正確なアーリー・インディケーターの役目を果たしました。
中国の銀行融資

ハイネケンがコカコーラ・フェムサ(KOF)のビール事業を買収

ハイネケンがコカコーラ・フェムサ(KOF)のビール事業を買収すると発表しました。

このディールはクラフト(KFT)によるキャドベリーへの買収提案と同じ動機で行われていると判断できると思います。

その動機とは「成長のある市場にアグレッシブに割り込む」ということです。

ハイネケンはオランダに本社のあるビール会社で所謂、プレミアム・ブランドの会社として認知されています。ハイネケンは「ハイネケン」ブランドの他、「フォスターズ」、「アムステル・ライト」といったプレミアム・ブランドを所有しています。
販売量

世界のビール市場を見ると、所謂、プレミアム・カテゴリーは全体の2割を占めています。

その中でも特にインターナショナル・プレミアム・セグメント(IPS=つまり母国の外での事業展開)と呼ばれるセグメントが近年、急成長しています。

このセグメントが重要な理由は、プレミアム・カテゴリーはとりわけマージンが高いからです。
セグメント収益性

ハイネケンはこのセグメントへの傾斜が大手の中で最も大きいです。
エクスポージャー
つまりこれまでの企業戦略としてはハイネケンは良くやってきたと言えるのです。

しかしここ2年くらいの間に経営環境は激変しました。金融危機以降は質素なライフスタイルへの回帰が消費者の間でブームとなっており、プレミアム・ブランドはプレッシャーを感じています。

さらに先進国でのインターナショナル・プレミアム・ブランドという同社の強みを除けば、同社の布陣はとても問題があることが最近痛感されてきました。

ハイネケンはスペイン、ギリシャ、イタリアなど、成熟した欧州市場には強いですが、これらの多くの国はいま問題を抱えています。

さらに下の地図を見れば一目瞭然ですが、今後大事になってくる新興国のマーケットの殆どに自社の直営拠点が存在しないのです。
ハイネケン

そこでハイネケンはメキシコのコカコーラのボトリング会社、コカコーラ・フェムサ(KOF)が所有していたビール事業を55億ドルの株式交換で買収することにしたのです。

コカコーラ・フェムサのビール事業は「ドサキ」、「テカテ」などの有名なブランドを擁しており、マーケット・シェアは43%でメキシコ第二位です。

加えてコカコーラ・フェムサはブラジルでもマーケット・シェア9%を占めており、「カイザー」、「ババリア」(下のコマーシャル参照)などのブランドを展開しています。

中国の12月の輸出と輸入

中国の12月の貿易統計が出ました。輸出は前年比+17.7%の1307億ドル、輸入は前年比+56%の1123億ドルでした。
中国の輸出と輸入(09年12月)
輸入の1123億ドルという数字は過去最高です。
一方、輸出の1307億ドルは2008年7月の1367億ドルに僅かに届きませんでした。しかし中国の場合、原料を輸入し、完成品を輸出するという、所謂、加工輸出経済であるため、今回輸入が過去最高を記録したということは早晩輸出も過去最高になることを示唆しています。

金融危機以降の中国の貿易の落ち込みはドラマチックでしたが、回復もまたドラマチックというわけです。

輸入に関しては原油の月次輸入額が12月は過去最高を記録したほか鉄鉱石も過去2番目に高い水準でした。

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