Market Hack

雇用統計について

金曜日に発表された非農業部門雇用者数は-8.5万人とネガティブ・サプライズでした。市場は±0程度を予想していたと思います。

サプライズが大きかった割には市場の反応は小さかったと言えます。これには2つ理由があります。

先ずどんな経済指標の発表でもそうですが、余りに予想数字とのかい離が大きい時は投資家は「チョッと待てよ」と深くその数字を検証し直す傾向があり、そういう時はアタフタと動かないケースが多いのです。今回のリアクションがmutedだったのはそのため。

次に11月の非農業部門雇用者数が+4000人に上方修正されたことも投資家のリアクションを鈍らせたと思います。

12月の数字に「はじめて今月プラスに転じたか?」という期待をつないでいた投資家は-8.5万人という数字を見てガックリ来たわけだけど、「あ、そうそう、11月の数字は実はプラスだったんだよね」と伝えられて、二度拍子抜けしてしまったというわけ。

折角、非農業部門雇用者数の数字がプラ転するドラマチックな瞬間を心待ちにしていたのに、事後的に「じつはもうプラスは達成された」と告げられても喜ぶにも喜べないわけです。目標喪失感を抱いた投資家も多かったと思います。

さて、12月の非農業部門雇用者数の数字の検証に戻ると、建設部門の雇用者数が-5.3万人と落ち込みが激しく、製造業も-2.7万人でした。建設の落ち込みは米国を襲っている寒波の影響であることは明白です。するとどこまでこの数字を信じて良いのかちょっと判断に苦しみます。

ジム・チェイノスが中国の崩壊を予言

ジム・チェイノス

ジム・チェイノスはアメリカのショート専門のヘッジファンド、キンコス・アソシエーツの代表です。

上のポスターは1月28日にオックスフォード大学のセント・ヒルダ・カレッジで彼が中国について喋るスピーチの宣伝です。「チャイナ・シンドローム」という題からも分かるとおり、彼は中国に対して弱気です。

このチェイノスの新しい意見についてニューヨーク・タイムズが大きな記事を掲載しました。(上の画像はそこから拝借しました。)

ジム・チェイノスは中国の専門家ではありません。

実際、彼が中国について勉強しはじめたのは去年の夏からです。昔からの中国ウォッチャーであるジム・ロジャーズはNYタイムズの記事中、「10年前にはChinaという単語を綴ることも出来なかったようなしろうとが、突然、中国の専門家になるというのは笑えるよね」と痛烈な皮肉を浴びせています。

僕はこの記事を読んでなんとなく既視感にとらわれました。

というのもチェイノスはドットコム・バブルの批判者のひとりであり、エンロンの崩壊を言い当てた人でもあるからです。当時、チェイノスがTVに出てくると、「またあのしろうとが的外れなことをほざいている」とトレーディング・ルーム中の笑い物になったものです。

ところがエンロン、タイコ、ワールドコムとJPモルガンが貸し込んでいた取引先が次々に深刻な問題に陥り、株価がボロボロになるともう誰もチェイノスを馬鹿にしなくなったのです。皆、蒼ざめた顔で無言でCNBCを凝視するばかり、、、

僕はかならずしもジム・チェイノスの意見(=つまり中国のバブルは崩壊する)に賛成ではありません。またチェイノスがポジションを建ててから、そのシナリオが実現するまでにはかなりの月日が流れる場合が多かったように思います。

だから明日、すぐにどうのこうのということでは無いし、チェイノス本人だってすぐ彼のシナリオが実現するとは思っていないでしょう。

でも「過剰設備の問題を、もっと生産力を増やすことで乗り切ることは出来ない」という彼の主張は真理を突いている気がします。

たぶんチェイノスの批判を最も真摯に受け止め、フル・スピードで問題解決に邁進しているのは中国政府そのものだと思います。

すでに中国政府はアホな「追加刺激策」とか、そういうチャラチャラした事は一切口にしなくなって久しいし、厳格な融資規制に乗り出しているし、売りオペで流動性の吸い上げを行っています。つまり中国政府こそがアンチ・バブルの旗手なのです。

そういう素早い政府の対応を見るにつけ、中国に対しては安心感を覚える今日この頃です。


PS:政策対応が適切だということと株が騰がるということは別問題。

ラスベガス「The 2010 CES」のハイライト

中国人民銀行による売りオペ

中国人民銀行は7日、公開市場操作(600億人民元相当の売りオペ)を通じて3カ月物手形の利率を8月以来維持してきた1.328%から1.3684%へ引き上げる誘導を実施しました。

これは中国人民銀行の優先政策課題が景気の下支えからインフレ退治にシフトしたことをシグナルする重要な転換点です。

中国の中央銀行は政策金利の発表というツールを比較的重視しません。それは資本市場が比較的シンプルであるため政策金利を変更することの「アナウンスメント効果」に金利の誘導やインフレ期待の調節を依存する度合いが低いからです。

従って金融システムから目立たないように(つまり売りオペで)だぶついている流動性を抜くという繊細な手法でも十分に効果を持つのです。

インドのオート・ショーで火花を散らす日本の自動車メーカー



今週インドでオート・ショーが開かれています。マルチ・スズキ、ホンダ、トヨタ、シボレーなどのブランドが火花を散らしています。上はトヨタに対するインタビュー。

インドの自動車市場はクリスチャンセンの「イノベーターズ・ジレンマ」風に言えばウインチェスター・ドライブの世界。つまり安価なソリューションがだんだんスケール・アップしてより高品位の商品を駆逐する、、、そういうビジネス・リスクを孕んだ市場です。

トヨタはインド市場では他社の後塵を拝しています。
上のインタビューからは謙虚に負けを認めた上で巻き返しを図るトヨタの姿勢が伝わってきます。驚くほど率直な見解が聞ける貴重なインタビュー。
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