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ハイネケンがコカコーラ・フェムサ(KOF)のビール事業を買収

ハイネケンがコカコーラ・フェムサ(KOF)のビール事業を買収すると発表しました。

このディールはクラフト(KFT)によるキャドベリーへの買収提案と同じ動機で行われていると判断できると思います。

その動機とは「成長のある市場にアグレッシブに割り込む」ということです。

ハイネケンはオランダに本社のあるビール会社で所謂、プレミアム・ブランドの会社として認知されています。ハイネケンは「ハイネケン」ブランドの他、「フォスターズ」、「アムステル・ライト」といったプレミアム・ブランドを所有しています。
販売量

世界のビール市場を見ると、所謂、プレミアム・カテゴリーは全体の2割を占めています。

その中でも特にインターナショナル・プレミアム・セグメント(IPS=つまり母国の外での事業展開)と呼ばれるセグメントが近年、急成長しています。

このセグメントが重要な理由は、プレミアム・カテゴリーはとりわけマージンが高いからです。
セグメント収益性

ハイネケンはこのセグメントへの傾斜が大手の中で最も大きいです。
エクスポージャー
つまりこれまでの企業戦略としてはハイネケンは良くやってきたと言えるのです。

しかしここ2年くらいの間に経営環境は激変しました。金融危機以降は質素なライフスタイルへの回帰が消費者の間でブームとなっており、プレミアム・ブランドはプレッシャーを感じています。

さらに先進国でのインターナショナル・プレミアム・ブランドという同社の強みを除けば、同社の布陣はとても問題があることが最近痛感されてきました。

ハイネケンはスペイン、ギリシャ、イタリアなど、成熟した欧州市場には強いですが、これらの多くの国はいま問題を抱えています。

さらに下の地図を見れば一目瞭然ですが、今後大事になってくる新興国のマーケットの殆どに自社の直営拠点が存在しないのです。
ハイネケン

そこでハイネケンはメキシコのコカコーラのボトリング会社、コカコーラ・フェムサ(KOF)が所有していたビール事業を55億ドルの株式交換で買収することにしたのです。

コカコーラ・フェムサのビール事業は「ドサキ」、「テカテ」などの有名なブランドを擁しており、マーケット・シェアは43%でメキシコ第二位です。

加えてコカコーラ・フェムサはブラジルでもマーケット・シェア9%を占めており、「カイザー」、「ババリア」(下のコマーシャル参照)などのブランドを展開しています。

中国の12月の輸出と輸入

中国の12月の貿易統計が出ました。輸出は前年比+17.7%の1307億ドル、輸入は前年比+56%の1123億ドルでした。
中国の輸出と輸入(09年12月)
輸入の1123億ドルという数字は過去最高です。
一方、輸出の1307億ドルは2008年7月の1367億ドルに僅かに届きませんでした。しかし中国の場合、原料を輸入し、完成品を輸出するという、所謂、加工輸出経済であるため、今回輸入が過去最高を記録したということは早晩輸出も過去最高になることを示唆しています。

金融危機以降の中国の貿易の落ち込みはドラマチックでしたが、回復もまたドラマチックというわけです。

輸入に関しては原油の月次輸入額が12月は過去最高を記録したほか鉄鉱石も過去2番目に高い水準でした。

雇用統計について

金曜日に発表された非農業部門雇用者数は-8.5万人とネガティブ・サプライズでした。市場は±0程度を予想していたと思います。

サプライズが大きかった割には市場の反応は小さかったと言えます。これには2つ理由があります。

先ずどんな経済指標の発表でもそうですが、余りに予想数字とのかい離が大きい時は投資家は「チョッと待てよ」と深くその数字を検証し直す傾向があり、そういう時はアタフタと動かないケースが多いのです。今回のリアクションがmutedだったのはそのため。

次に11月の非農業部門雇用者数が+4000人に上方修正されたことも投資家のリアクションを鈍らせたと思います。

12月の数字に「はじめて今月プラスに転じたか?」という期待をつないでいた投資家は-8.5万人という数字を見てガックリ来たわけだけど、「あ、そうそう、11月の数字は実はプラスだったんだよね」と伝えられて、二度拍子抜けしてしまったというわけ。

折角、非農業部門雇用者数の数字がプラ転するドラマチックな瞬間を心待ちにしていたのに、事後的に「じつはもうプラスは達成された」と告げられても喜ぶにも喜べないわけです。目標喪失感を抱いた投資家も多かったと思います。

さて、12月の非農業部門雇用者数の数字の検証に戻ると、建設部門の雇用者数が-5.3万人と落ち込みが激しく、製造業も-2.7万人でした。建設の落ち込みは米国を襲っている寒波の影響であることは明白です。するとどこまでこの数字を信じて良いのかちょっと判断に苦しみます。

ジム・チェイノスが中国の崩壊を予言

ジム・チェイノス

ジム・チェイノスはアメリカのショート専門のヘッジファンド、キンコス・アソシエーツの代表です。

上のポスターは1月28日にオックスフォード大学のセント・ヒルダ・カレッジで彼が中国について喋るスピーチの宣伝です。「チャイナ・シンドローム」という題からも分かるとおり、彼は中国に対して弱気です。

このチェイノスの新しい意見についてニューヨーク・タイムズが大きな記事を掲載しました。(上の画像はそこから拝借しました。)

ジム・チェイノスは中国の専門家ではありません。

実際、彼が中国について勉強しはじめたのは去年の夏からです。昔からの中国ウォッチャーであるジム・ロジャーズはNYタイムズの記事中、「10年前にはChinaという単語を綴ることも出来なかったようなしろうとが、突然、中国の専門家になるというのは笑えるよね」と痛烈な皮肉を浴びせています。

僕はこの記事を読んでなんとなく既視感にとらわれました。

というのもチェイノスはドットコム・バブルの批判者のひとりであり、エンロンの崩壊を言い当てた人でもあるからです。当時、チェイノスがTVに出てくると、「またあのしろうとが的外れなことをほざいている」とトレーディング・ルーム中の笑い物になったものです。

ところがエンロン、タイコ、ワールドコムとJPモルガンが貸し込んでいた取引先が次々に深刻な問題に陥り、株価がボロボロになるともう誰もチェイノスを馬鹿にしなくなったのです。皆、蒼ざめた顔で無言でCNBCを凝視するばかり、、、

僕はかならずしもジム・チェイノスの意見(=つまり中国のバブルは崩壊する)に賛成ではありません。またチェイノスがポジションを建ててから、そのシナリオが実現するまでにはかなりの月日が流れる場合が多かったように思います。

だから明日、すぐにどうのこうのということでは無いし、チェイノス本人だってすぐ彼のシナリオが実現するとは思っていないでしょう。

でも「過剰設備の問題を、もっと生産力を増やすことで乗り切ることは出来ない」という彼の主張は真理を突いている気がします。

たぶんチェイノスの批判を最も真摯に受け止め、フル・スピードで問題解決に邁進しているのは中国政府そのものだと思います。

すでに中国政府はアホな「追加刺激策」とか、そういうチャラチャラした事は一切口にしなくなって久しいし、厳格な融資規制に乗り出しているし、売りオペで流動性の吸い上げを行っています。つまり中国政府こそがアンチ・バブルの旗手なのです。

そういう素早い政府の対応を見るにつけ、中国に対しては安心感を覚える今日この頃です。


PS:政策対応が適切だということと株が騰がるということは別問題。

ラスベガス「The 2010 CES」のハイライト

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