Market Hack

インドに新しい州が生まれる



インドに新しい州が生まれようとしています。

アンドラ・プラデシ州の一部であるテリンガナ地方では独立運動が1950年代から続いていましたが、今週になって学生のデモが過激化したのでインド政府が急きょテリンガナを新しい州としてアンドラ・プラデシ州から分離すると発表したのです。

テリンガナはハイデラバードを含んでおり、ここはアマゾン・ドットコム、マイクロソフト、デル、IBMなどの多国籍企業がオフィスを構え、アンドラ・プラデシ州の歳入の15%を稼ぎ出しています。

いまのところハイデラバードがテリンガナの一部になるのか、それともワシントンDCのような特区になるのかは判然としていません。しかし若しテリンガナ州の州都になり、新たな政治的不安定要因を抱える事になれば外国企業は逃げてゆく可能性もあります。

地政学シンクタンク、ストラトフォアのアナリスト、レバ・バハーラによると「州として認定されるためにはどのような条件が必要か?それを規定することは容易ではない。その表現の仕方によっては他にも離反、独立したいと考えている地方はインドにたくさんあるからだ。エスニック・グループは今回のテリンガナの一件でテランガナのように暴れれば独立を得られる可能性があると考えたに違いない」

インドにはレバ・バハーラが指摘するように無数の独立運動があります。それらの独立運動の中にはかなり重武装してインド陸軍を悩ませているグループも多いです。つまりインドにとって前線は国内に存在し、毎日戦死者が出ているのです。

ハイデラバードはハイテクのみならずドクター・レディーズ(RDY)などの薬品会社の拠点でもあります。

今回の事件がエスカレートするようだと欧米企業の直接投資にネガティブな影響をもたらし、それがインド株式市場の調整入りにつながるリスクも無いとは言えません。

アップル(AAPL)のタブレット

タブレット昨日アップル(AAPL)の株価が+4%程度上昇しました。これはオッペンハイマー証券が「アップルのタブレットがいよいよ近く量産体制に入る」とコメントしたからです。

アップルは普通、新製品発表の準備を秘密裏に進めます。ですから証券会社の情報がどれだけ正確かは疑ってかかった方が良いでしょう。

それを断った上でオッペンハイマー証券の言っていることをまとめると:

1.量産開始は2月
2.発売は3月か4月
3.OLEDは使用しない
4.タブレットのサイズはネットブックと同じくらい
5.画面は10インチ
6.e-bookの売上折半条件より出版社に有利な条件を提示
7.本のタイトルの独占販売権は追及しない

などとなっています。

ソブリン・リスクを孕んだ国に新しい蔑称が生まれた。その名も「PIIGS」

PIIGSアメリカ人は何でもアクロニムをつけたがります。アクロニムとは頭字語のことであり、「BRICs」はその一例です。

さて、最近、ギリシャのソブリン(=国家のこと→ここでは国の発行する債券を指します)・リスクに関して投資家の関心がにわかに高まっています。そこで同様のリスクを抱えている国を投資家は血眼になって捜し始めました。

投資コミュニティーでしばしば指摘される、リスクの高い国はポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインです。これらの国々の頭文字を取って「PIIGS(=ピッグス→豚)」と呼ぶことが流行り始めています。

さて、国家の借金に対する不安の問題は上記の「PIIGS」だけに限ったことではありません。英国や米国、そして日本もいずれ問題になってきます。もちろん、借り入れの構造は各国によってかなり異なり、事情は国それぞれです。でも先進国全体として考えれば金融危機前にはGDPの70%程度だった負債比率が2010年には100%にも急上昇しているのです。

つまり各国が競って国庫を「キャッシュ・カード」のように扱い、借金を増やしているのです。

2009年を通じてそういう公的部門の支出拡大は株式市場にとって強気要因でした。でも何事もそうですが、ある時点からそれが好感されなくなります。

公的負債は既にそのセンチメントの折り返し地点に到達していると思います。

政府が負債を背負込むことが突然、ファッショナブルではなくなった

sophistication僕の現在の投資ストラテジーは所謂、リスク・トレードと呼ばれる投資対象をゼロにするということです。

もちろん、何を持って「リスク・トレードだ」とみなすかは、その時々によって定義が変わって来ると思います。でも現在のところ、ゴールド、原油、工業コモディティー、新興国株式などが典型的なリスク・トレードであるとというのが欧米の機関投資家の一致した認識です。

なぜこれらのリスク・トレードの投資対象は駄目なのでしょうか?

その理由はこれらの資産がいずれも各国政府の緩和的金融政策や通貨の競争的減価(competitive devaluation)を想定し、それに対する自衛手段を提供していたので人気化したという性格を帯びていたからです。

しかし緩和的金融政策やわざと自国の通貨を安くするような経済政策はここへきて突然、時代遅れファッションになっています。

いや、むしろソブリン(国家)債務のリスクに世界の投資家はピリピリしはじめているというのが現状ではないでしょうか?

例えばギリシャの格付けのダウングレードなどはその例ですし、今日はイギリスの政府も「投資銀行のボーナスには50%の課税をし、国家負債は圧縮する」と債券市場に媚を売る発言をしています。

ギリシャは経済規模にするとカリフォルニアの4分の1程度であり、その国の債券格付けが下がったところで大したことは無いという意見もあります。

でもBBB-以下になると国債をECBに担保として持ち込むことが出来なくなるのでEUメンバーとしてのメリットをフルに享受できなくなります。

またギリシャに起こった事はいずれアイルランド、スペインなどの国々にも起こりうるという懸念があるわけです。

この突然、降って湧いたような「ソブリン・アレルギー」は考えてみれば当然の帰結です。

去年、金融危機が襲った時、各国の政府はすぐ支出を拡大し、金融を緩和しました。これは大恐慌の教訓であり、正しい処方です。

でもそれは例えて言えば戦場で敵弾に当たり負傷した兵士にモルヒネを注射するのと同じで、いつまでもモルヒネを続けるわけにはゆかないのです。アヘンの気持ち良さに慣れて世界中の政府がこれに手を出し、金融市場はあたかもアヘン窟の様相を呈しています。

なぜバーナンキFRB議長の再任の承認が難航しているか?のひとつの理由がここにあります。つまりバーナンキ議長は「モルヒネ継続派」なのです。

同じ事は中国のマクロ経済政策に対しても言えます。中国株の投資家は中央工作会議で何か新しい景気刺激策が打ち出されるのを期待したようですけど、特段、新しいことは出ませんでした。これは中国政府の判断が正しいと思います。なぜなら今の中国でモルヒネを打ち続けると中毒になってしまうからです。

ドルがダラダラ安を続けるという確信が無くなれば、ドル・キャリーのトレードを維持するのは難しいです。そのことはドル・キャリーの対象とされてきた原油やゴールドの反落を意味し、それらのコモディティーの価格下がれば、新興国の株式はもっと下がります。

つまり今はそういう悪循環でいろいろな投資対象が処分されているわけです。

まだまだ調整は始まったばかりです。

やっぱりガイトナー財務長官はお払い箱になるのか?

いまアメリカの政界でガイトナー財務長官の人事がしきりと話題にのぼっています。

彼に対する批判はいろいろありますが、要するに議員さんにコテンパンにやり込められてぜんぜん議会をコントロール出来ていないという点に不安を感じる関係者が多いのです。

日本人はアメリカの行方を占う際、議会(law makers)の影響力を軽視する、ないしはぜんぜん知らない人が多いですが、キャピトル・ヒルでのパワー・プレイ(*)を理解出来なければアメリカという国がどっちの方向へ向かおうとしているのかは到底理解不能です。

その点、ガイトナーが財務長官に選ばれたひとつの理由は「彼はゴールドマン・サックスのOBではないから」というものでした。

今から考えると実にどうでもいい理由なのですが、金融危機に揺れた当時にあっては「ウォール街との間に一線を引く」という意味で極めて重要な考慮点であったことは言うまでもありません。

さて、現在の状況を見るとアメリカの資本市場は金融危機の混乱をなんとか抜けだし、表向きには安定化したように見えます。VIX指数が金融危機前の水準に近いところまで下がったことがその何よりの証でしょう。

しかしこのところの政界のトレンドはポピュリスト的な方向へ偏りすぎており、成長の源泉は主に政府によるばらまき政策に依存する、不健全な形になっています。アメリカ政府にだって無限にお金があるわけではないので、このやり方は2年も3年も続けられるものではありません。

すると持続可能な成長戦略(sustainable pro-growth strategies)が必要になってくるのです。問題は議員さんたちには実業の世界に疎いアフォが多いので議員さんが吠えればすぐ縮こまってしまうガイトナー財務長官や「お人よし」のバーナンキFRB議長では「全員が平等に貧しくなる」ような経済政策から大気圏離脱できるだけのパワーに欠ける点です。

そこで今、オバマ大統領が秋波を送っていると言われているのがJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOです。

ニューヨーク・ポスト紙(=日本で言えば「夕刊フジ」みたいなタブロイド→ゴシップの類の地獄耳は有名)によるとジェイミーは(請われれば、立つ)準備がある雰囲気です。

金融危機の際、銀行の幹部がキャピトル・ヒルに呼ばれて、公聴会でぎゅうぎゅうに糾弾されたときも、ジェイミー・ダイモンだけは超然とした態度で議員さんたちを嘲り、ルイ太陽王のようなオーラを出していました。

オバマ大統領の性格からするとこういう利用価値のある奴は唾を付けておくというのが彼の主義ですから、当然、万が一、ポスト・ガイトナー、ポスト・バーナンキというシナリオになった場合でも慌てなくて済むようにジェイミーに「OKサイン」を送っているというわけ。

さて、ジェイミーが財務長官に転身した場合、どのような変化が起こるのでしょうか?

先ずクリス・ドッドやバーニー・フランクといった議会における「金融の専門家」たちはお行儀を良くしてジェイミーの顔色を窺わないといけなくなります。なぜなら彼らは叩けば埃が出る身だし、政治家としてのパワー・ベースをジェイミーによって切り崩されたくないからです。

これまで死んだフリしておとなしくしていたウォール街は太陽王の降臨に力を得て、威勢を取り戻すかも知れません。つまり振り子がメインストリートからウォールストリートに振れ戻しする可能性があるのです。


(*)アイスホッケーでパワープレイと言えば相手の反則退場で自軍の人数が勝る状態のことをさしますが、ここでは政治、外交、ビジネスなどでの戦略的な駆け引きの意味です。
MarketHackについて
Market Hackは世界経済ならびにビジネス・シーンに関するニュース・サイトです
月別アーカイブ
免責事項
なお運営上、ここに書かれる意見には諸々のバイアスがかかっています。投資情報は利益を保証するものではなく、相場の変動や金利差により損失を生じる場合がございます。投資対象や取引の仕組み及びリスクについてご理解の上、ご自身の判断と責任においてお取引いただきますようお願い申し上げます。
BLOGOS
カテゴリ別アーカイブ
  • ライブドアブログ