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中国の11月の経済統計の印象

中国の11月の経済統計が発表されています。
まず鉱工業生産は予想の+18.2%に対し+19.2%という強い数字でした。これが今回発表された一連の数字の中でもとりわけ目をひきました。

この数字をどう評価するかですが、去年の同時期はリーマン倒産後の一番混乱した時期に相当し、前年比較が極めて容易です。ですから増加率(%)で物事を考えてはいけないのかな?と感じました。

次に銀行融資ですが(ページをめくってください)「市場予想を大幅に上回った」と喜んでいる投資家も居るようですが、全体的な文脈の中では11月の融資額は今年2番目に少ない金額です。

また過去の、ノーマルな融資額のほぼ真ん中に相当する金額であり、「巡航速度」の順守に戻ったと考えるのが自然です。

3ページに移ると小売売上高ですが、これは予想の+16.5%に対して+15.8%と駄目な数字でした。グラフを見ても明らかにダウンティックしています。

「中国のストーリーは内需だ!」と宣言するマーケット・ウォッチャーが多数派ですが、僕はもう少していねいにその中身を吟味する必要を感じています。

つまり皆が「内需だ」と指摘しているもののかなりの部分は実は「官需」なのです。

中国の国民は稼いだお金の少なからぬ部分を消費ではなく貯蓄へ回します。

だから消費は案外、弱いのです。

そう書くと「でも自動車は強いじゃないか!」という反論が聞こえてきそうです。確かに自動車は強いです。でも自動車や不動産など、所謂、ビッグ・チケット・アイテムが好調な背景にはそれらの消費を後押しする政策的支援があったからです。消費税の減免などがその例です。

自動車の消費好調が単なる景気全般との1対1の連動になっていないことは北京オリンピック前の1年半位を思い出してみればすぐにわかります。

当時は景気全般は好調の中で自動車だけが金利政策面、産業政策面のアゲインストの風を受けて低迷しました。その当時、中国の自動車株に投資されていた皆さんは随分フラストレーションを感じたに違いありません。

さて、現在の内需に話を戻すと「官需」と自動車、不動産などの政策的に演出されたビッグ・チケット特需を除けば中国の消費は冴えません。

4ページ目は物価のグラフです。今回消費者物価が久しぶりにプラス圏にもどった(+0.4%)のが話題になりました。特に天候不順から食品価格が高騰しはじめています。これは中国の泣き所であり、古くから中国株をやっている人なら気をつけないといけないリスク・ファクターが頭をもたげはじめていると感じるでしょう。

最後に貿易(5ページ)を見ると今回は輸入がリバウンドしました。中国は加工輸出型経済ですので先ず原材料を輸入し、それを加工して再輸出するという経済のモデルになっています。従って輸入の増加は将来の輸出の増加の先行指標だと考えるエコノミストも居ます。

インドに新しい州が生まれる



インドに新しい州が生まれようとしています。

アンドラ・プラデシ州の一部であるテリンガナ地方では独立運動が1950年代から続いていましたが、今週になって学生のデモが過激化したのでインド政府が急きょテリンガナを新しい州としてアンドラ・プラデシ州から分離すると発表したのです。

テリンガナはハイデラバードを含んでおり、ここはアマゾン・ドットコム、マイクロソフト、デル、IBMなどの多国籍企業がオフィスを構え、アンドラ・プラデシ州の歳入の15%を稼ぎ出しています。

いまのところハイデラバードがテリンガナの一部になるのか、それともワシントンDCのような特区になるのかは判然としていません。しかし若しテリンガナ州の州都になり、新たな政治的不安定要因を抱える事になれば外国企業は逃げてゆく可能性もあります。

地政学シンクタンク、ストラトフォアのアナリスト、レバ・バハーラによると「州として認定されるためにはどのような条件が必要か?それを規定することは容易ではない。その表現の仕方によっては他にも離反、独立したいと考えている地方はインドにたくさんあるからだ。エスニック・グループは今回のテリンガナの一件でテランガナのように暴れれば独立を得られる可能性があると考えたに違いない」

インドにはレバ・バハーラが指摘するように無数の独立運動があります。それらの独立運動の中にはかなり重武装してインド陸軍を悩ませているグループも多いです。つまりインドにとって前線は国内に存在し、毎日戦死者が出ているのです。

ハイデラバードはハイテクのみならずドクター・レディーズ(RDY)などの薬品会社の拠点でもあります。

今回の事件がエスカレートするようだと欧米企業の直接投資にネガティブな影響をもたらし、それがインド株式市場の調整入りにつながるリスクも無いとは言えません。

アップル(AAPL)のタブレット

タブレット昨日アップル(AAPL)の株価が+4%程度上昇しました。これはオッペンハイマー証券が「アップルのタブレットがいよいよ近く量産体制に入る」とコメントしたからです。

アップルは普通、新製品発表の準備を秘密裏に進めます。ですから証券会社の情報がどれだけ正確かは疑ってかかった方が良いでしょう。

それを断った上でオッペンハイマー証券の言っていることをまとめると:

1.量産開始は2月
2.発売は3月か4月
3.OLEDは使用しない
4.タブレットのサイズはネットブックと同じくらい
5.画面は10インチ
6.e-bookの売上折半条件より出版社に有利な条件を提示
7.本のタイトルの独占販売権は追及しない

などとなっています。

ソブリン・リスクを孕んだ国に新しい蔑称が生まれた。その名も「PIIGS」

PIIGSアメリカ人は何でもアクロニムをつけたがります。アクロニムとは頭字語のことであり、「BRICs」はその一例です。

さて、最近、ギリシャのソブリン(=国家のこと→ここでは国の発行する債券を指します)・リスクに関して投資家の関心がにわかに高まっています。そこで同様のリスクを抱えている国を投資家は血眼になって捜し始めました。

投資コミュニティーでしばしば指摘される、リスクの高い国はポルトガル、イタリア、アイルランド、ギリシャ、スペインです。これらの国々の頭文字を取って「PIIGS(=ピッグス→豚)」と呼ぶことが流行り始めています。

さて、国家の借金に対する不安の問題は上記の「PIIGS」だけに限ったことではありません。英国や米国、そして日本もいずれ問題になってきます。もちろん、借り入れの構造は各国によってかなり異なり、事情は国それぞれです。でも先進国全体として考えれば金融危機前にはGDPの70%程度だった負債比率が2010年には100%にも急上昇しているのです。

つまり各国が競って国庫を「キャッシュ・カード」のように扱い、借金を増やしているのです。

2009年を通じてそういう公的部門の支出拡大は株式市場にとって強気要因でした。でも何事もそうですが、ある時点からそれが好感されなくなります。

公的負債は既にそのセンチメントの折り返し地点に到達していると思います。

政府が負債を背負込むことが突然、ファッショナブルではなくなった

sophistication僕の現在の投資ストラテジーは所謂、リスク・トレードと呼ばれる投資対象をゼロにするということです。

もちろん、何を持って「リスク・トレードだ」とみなすかは、その時々によって定義が変わって来ると思います。でも現在のところ、ゴールド、原油、工業コモディティー、新興国株式などが典型的なリスク・トレードであるとというのが欧米の機関投資家の一致した認識です。

なぜこれらのリスク・トレードの投資対象は駄目なのでしょうか?

その理由はこれらの資産がいずれも各国政府の緩和的金融政策や通貨の競争的減価(competitive devaluation)を想定し、それに対する自衛手段を提供していたので人気化したという性格を帯びていたからです。

しかし緩和的金融政策やわざと自国の通貨を安くするような経済政策はここへきて突然、時代遅れファッションになっています。

いや、むしろソブリン(国家)債務のリスクに世界の投資家はピリピリしはじめているというのが現状ではないでしょうか?

例えばギリシャの格付けのダウングレードなどはその例ですし、今日はイギリスの政府も「投資銀行のボーナスには50%の課税をし、国家負債は圧縮する」と債券市場に媚を売る発言をしています。

ギリシャは経済規模にするとカリフォルニアの4分の1程度であり、その国の債券格付けが下がったところで大したことは無いという意見もあります。

でもBBB-以下になると国債をECBに担保として持ち込むことが出来なくなるのでEUメンバーとしてのメリットをフルに享受できなくなります。

またギリシャに起こった事はいずれアイルランド、スペインなどの国々にも起こりうるという懸念があるわけです。

この突然、降って湧いたような「ソブリン・アレルギー」は考えてみれば当然の帰結です。

去年、金融危機が襲った時、各国の政府はすぐ支出を拡大し、金融を緩和しました。これは大恐慌の教訓であり、正しい処方です。

でもそれは例えて言えば戦場で敵弾に当たり負傷した兵士にモルヒネを注射するのと同じで、いつまでもモルヒネを続けるわけにはゆかないのです。アヘンの気持ち良さに慣れて世界中の政府がこれに手を出し、金融市場はあたかもアヘン窟の様相を呈しています。

なぜバーナンキFRB議長の再任の承認が難航しているか?のひとつの理由がここにあります。つまりバーナンキ議長は「モルヒネ継続派」なのです。

同じ事は中国のマクロ経済政策に対しても言えます。中国株の投資家は中央工作会議で何か新しい景気刺激策が打ち出されるのを期待したようですけど、特段、新しいことは出ませんでした。これは中国政府の判断が正しいと思います。なぜなら今の中国でモルヒネを打ち続けると中毒になってしまうからです。

ドルがダラダラ安を続けるという確信が無くなれば、ドル・キャリーのトレードを維持するのは難しいです。そのことはドル・キャリーの対象とされてきた原油やゴールドの反落を意味し、それらのコモディティーの価格下がれば、新興国の株式はもっと下がります。

つまり今はそういう悪循環でいろいろな投資対象が処分されているわけです。

まだまだ調整は始まったばかりです。

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