Market Hack

ノマド型投資でフロンティア・マーケットに挑戦 ⑦

iStock_000008207582Medium【投資のしやすさ(流動性)について】

投資対象を選定する際、機関投資家が重視するのは「投資のしやすさ」です。つまり出たり、入ったりしやすいか?という問題です。

これに対して個人投資家はこの問題を軽視する傾向がありますが、それはたいへん危険な態度です。

例で説明します。ベトナムはつい数年前まで一度株式投資のお金を日本から送金したら、どんなにお金が必要になっても一年間は持ち出せないというきまりがありました。

「いいじゃないか、みんな余裕資金でベトナム株に投資しているのだから」

そういう声が聞こえてきそうですね。

確かにそうかも知れません。でもそもそも中央銀行がそういう国際間の資本移動に関する制約を設けているということは、国内の資本市場の規模そのものが小さいとか、決済システムが未発達ないしは脆弱であるとか、ホットマネーが流入すると国内市場がキリキリ舞いしやすいなどの、諸々の事情があるからこそ、そういう制度になっているのです。

これは子供の自転車乗りの際、補助輪をつけて練習しているような状態です。国際間の資本移動に関する制約があるということは補助輪があるのと同じなので、転倒などの事故を防ぐ効果があります。でも逆に言えば自転車に乗りなれた子供にとっては補助輪は邪魔でしょうがないわけです。

また補助輪アリから補助輪ナシにしたときが一番危ないです。

なぜなら怒涛のような外国からの投機資金の流入を水際で食い止める術がなくなるわけですから、お金は突然、どんどん入ってきます。そうなれば株や不動産が騰がるのは当たり前。

でも身の丈以上に背伸びしたマーケットはいずれ崩れます。そうなった場合、潮が引くように流れ出してしまう外国資本をそのまま換金に応じていたら外貨準備は払底してしまいます。

つまり去年ベトナムで起きたベア・マーケットは上に説明したような、古典的、かつ教科書通りのドタバタ劇だったわけ。

新興国投資に慣れてくると未発達の市場に先回りして投資ポジションをこしらえておき、「補助輪が外れるのを待つ」という手法がオイシイのに気づきます。実際、このやり方はとんでもないリターンをもたらす場合もあります。

でもこのアプローチは極めてリスキーなやり方で、とても万人に薦められるような投資手法ではありません。また、金融機関同士の決済に関する特別な知識が無ければ、どんなに現地に出向いて投資先の企業や不動産物件などを見て回っても、お金が出せなくなったら「万事休す」なのです。

乱暴な言い方をすれば、流動性とその投資対象の値動きの激しさはトレード・オフの関係にあります。だから比較的流動性の低い市場(例えばベトナムや中東市場)では大儲けするのも「あっ」という間ですけど、すってんてんに逆戻りするのも、もっと早いです。

ドバイ・ワールドの債務履行猶予問題はエスカレートさせてはいけない

僕が中東の工事現場で事務屋の使い走りをやっていた頃、最初に学んだ教訓は「アラブの人とは争ってはいけない」ということです。

 

ドバイ・ワールドの債務モラトリアム問題に関して、債権者側(つまり欧州金融機関など)はモラトリアムに応じない強硬姿勢を取るという報道があるようです。

 

モラトリアムに応じないということはつまりデフォルトを意味し、それは法的なチャンネルでのリコースの追求を意味します。

 

しかしここは欧米流に対立をエスカレートさせたところで欧米金融機関の得るものは少ないと思います。

 

僕がそう考える理由は以下の通りです。

 

先ず回教の世界ではシャリーアという掟があります。シャリーアとは「道」の意味で、イスラムの戒律のことです。回教徒としての「生き方」のお手本だという風に言いなおしても良いでしょう。

 

この戒律の中にはコーランから採択されたものもあるし、マホメットの教えを直接伝承したものもあります。いずれにせよマホメットの死後にだんだん纏められていったものです。

 

具体的にシャリーアでは何が定められているかといえば、たとえば姦通した場合に、石打の刑に処せられたりすることが規定されています。その他、手足の切断、流刑、処刑など、欧米流の価値観では到底受け入れられないルールが定められているのです。

 

もちろん、現代にあっては多くの回教徒は欧米流のモダンな政治やリーガル・システム(法体系)、民主主義の手続きなどを望んでいます。

それと同時に教養があり広い視野を持っている若者でも厳格なイスラムの戒律は「あった方が良い」と考える人は多いです。

このように現代の多くのイスラム国では近代的法制度とシャリーアの定めが非公式に並立することは珍しくないのです。

 

シャリーアの援用はサウジアラビアのように極めて厳格な国もあればUAEのように緩い国もあります。

しかしそのUAEですらイスラム教が国の正式な宗教として憲法に盛り込まれていることから、いざとなるとシャリーアの掟に反すると「憲法違反」という解釈になるケースもあると考えられます。

 

シャリーアに照らして「合法」な債券のことをスクークと呼びます。シャリーアは「利子」という概念を禁止しているので何とか細工して「利子」とは見做されない格好でお金を貸したことに対する対価をもらう方法を考えなくてはいけません。


そこで欧米の投資銀行が得意とするフィナンシャル・エンジニアリングの登場となるのです。
 

多くの場合、スクークは「セール&リースバック契約」に似た形態を取ります。オフショアにSPV(特定目的投資体)を設立し、そこへ資産を落とし込み、投資家は金利の代わりにリースバックし「レンタル料」を受け取り、そのレンタル料で債務を返済するというような体裁なのだと思います。

 

これは所謂、仕組み債の世界であり、それ自体は別に珍しくもありません。

ただ複雑なストラクチャーになればなるほど複数の国の司法権(jurisdiction)を跨いだ構造になります。そうなればなるほどその「仕組み」はリーガル・リスクに対して脆弱な体質になるのです。

 

特にアラブの国は上に説明したように国の法律とアラブ社会の掟という2つのフレームワークがインフォーマルに並立しているわけですから、これを交通整理するのは至難の業です。

またスクーク自体が新しい商品ですからそれを巡る判例なども少ないのではないでしょうか?若し法的なチャンネルでのリコースを争い、それが難航するとスクークという商品性自体へのコンフィデンスの喪失を招くケースもあると思います。

頭を冷やして相手を立てながら解決策を模索する、、、これがベストです。

受難が続くベトナム株式市場

人民元安の影響で輸出競争力が低下したベトナムは悪化する対外収支を改善すべく先々週、5%のベトナム・ドン切り下げを実施しました。

 

今回、ベトナムがドン切り下げに踏み切ったのは「もうこれ以上、ドンを支えきれない」と判断したからです。

 

ベトナムの外貨準備はいつの間にか僅か160億ドルに減ってしまっています。これは輸入金額の2.5ヶ月分でしかありません。

 

ドンを切り下げると輸入品の値段はその分、値上がりします。ベトナム国内で100%自給できない家電製品、自動車、お菓子、乳製品などは軒並み値上がりしはじめています。つまりインフレです。

 

インフレは株式市場の敵ですからホーチミン市場は右肩下がりの展開になっています。

 

問題は今回のドン切り下げで外貨準備流失の「出血」が止まるかです。

 

若し外貨準備の減少に歯止めがかからない場合、外国人投資家の本国への資金引き揚げが制限されるなどの緊急措置が取られるケースも想定しておかねばなりません。実際、昔はリパトリエーションに対するペナルティーとして税金が課せられたことがあります。

 

また配当やキャピタル・ゲインに対する課税や留保(withholding)措置が取られるシナリオも一応覚悟しておくべき状況になっていると思います。

レジャー関連銘柄

BRICsを処分した後、何を買えば良いのか?

昨日の雇用統計を見た瞬間から、僕はずっとそのことばかり考え続けています。

こういうときは「相場は相場に聞け!」というアプローチがいちばん。

それで(うむっ、動きがいいな、こいつ)と思う銘柄を3つ挙げてみます。

MAR
CCL
LUV
この3つのチャートの中で、僕はサウスウエスト航空(LUV)が一番好き。ちゃんと新値とっているところも頼もしいし、、、
サウスウエストはハーブ・キャラハーという伝説的な経営者が始めたディスカウント航空会社で、徹底的なロー・コスト経営。創業当初はエア・ホステスに全員、黄色のホットパンツのユニホームを着せて、お色気で客寄せした時代もあります。(=ティッカーがラブ、つまりLUVなのはその名残り。ウォール街でも古参のオジサンしか知らないウンチクであります。いまは残念ながらこの美風は「セクシストだ」ということで廃止されております。)

カーニバル(CCL)はフロリダを拠点にカリブ海などに展開するクルーズ船のビジネス。景気が悪いと誰もバカンスに行かないので、今までアメリカの機関投資家に最も嫌われてきた業種のひとつです。チャート的には何となくアメリカ人が大好きな「カップ&ハンドル」が至現。本格的に上昇トレンドを確認するには$34のレジスタンス(上値抵抗)ゾーンを抜ける必要があります。

マリオット(MAR)は言わずと知れたホテル・チェーン。これも28ドルあたりまでは結構、レジスタンスが厚く、売り物が多そう。

BRICsから戦術的に退却するときがきた

僕は相場を張る時、「れれっ、なにこれ?」という感覚をたいせつにするよう心がけています。

金曜日の雇用統計をみたとき、「ん?!”#$%&」という印象を覚えました。

僕だけでなく、これを読んでくださっている皆さんの多くもそういう感覚を持たれたことと思います。

そこで先ず雇用統計の数字自体が「まぐれ」なのか、丹念に細目をチェックしたけど、こまかいところまで見ても「水も漏らさぬ」良い数字で一致した方向でした。

(するってえと、考えを根本的に修正しないといけないのは投資家の方だということか、、、)

まだ鈍器で殴られたようなショックが余韻を引く中、兎に角、マーケットの声に耳を傾けることにしました。

金曜日の立ち会いではゴールドや工業コモディティーの株の急落が目立ちました。エネルギーも駄目です。新興国株式もインドは比較的値持ちが良かったけれど、後は枕を並べて討ち死にしています。

反対に米国株の中では航空、レジャー、銀行、ハイテクなどがしっかりでした。

そこでBRICsの持ち株を全部処分しました。ブラジルの航空会社のタム(TAM)だけは全面安の中、新値につっかけていたので残しました。(僕は新値を取っている銘柄は売るのを思いとどまるというルールを自分に課しています。)

ゴールドの関係は実は数日前に全部処分していたので無傷でした。これはまぐれあたりです。

ポートフォリオの軸足をアメリカ、それもハイテクや航空、レジャーなどに移したいと考えています。既に半導体には数日前からアグレッシブなポジションを築き始めています。ポートフォリオの核に据えているのはマーベル(MRVL)ですが、テキサス・インスツルメンツ(TXN)も良いように思うし、JDSU(JDSU)やコー二ング(GLW)にも惹かれます。

   ■   ■   ■

僕が(戦術的に撤退する)と決めたら、すぐに行動を起こしてしまう理由は次のようなものです。

先ずナポレオンがロシアに攻め込んで、モスクワ目がけてどんどん進軍しているとき、ちょっとした拍子に(ちぇっ!深追いしすぎたかな?)と悟る瞬間があったと思うのです。

でもそう思ったときにはもう敵陣奥深く入り込んでいるし、簡単には兵をまとめて引くことは出来ません。

機関投資家の運用もこれと同じで、ファンドが大きくなればなるほど、一日でコロッと考えを変え、ポートフォリオを全部入れ替えることは出来ないのです。どんなに(深入りしてしまったな)という悔恨の情が強くても、ポートフォリオの改変は数日間から数週間に渡ってしか実行できないのです。

その点、「君子豹変」できるのは個人投資家の特権です。

   ■   ■   ■

さて、今回問題になるのは何をもって投資家に「チェっ、深入りしすぎたな」と思わせているかという点です。

結論的には「雇用はとうぶん改善しない」という先入観が打ち砕かれた点が重要です。

なぜなら「雇用が駄目なうちはどんなに経済の他の箇所に底入れのシグナルが出ていても、FRBは超緩和的政策を変更しない」という風に皆が決めてかかっていたからです。

借金して、じゃんじゃん流動性を市場に提供する政策は、故意のドル安政策でもあります。

それが雇用が戻ったということになると超緩和的政策は続けられなくなるのです。

投資家の立場から考えるとドルに先安観がある間はなるべくドルと逆相関の動きをする投資対象にお金を避難したいと思うわけです。

ゴールドはドルに逆相関する代表的なコモディティですし、銅などの工業コモディティー、原油なども同じです。

またドル安を利用する投資戦法としては海外株投資というやり方もあります。そこでブラジル株、ロシア株、オーストラリア株などの資源国へ投資したり、ドル安=人民元安でメリットを享受する中国株へと投資するという手法がポピュラーでした。

これらの発想は全部、一度根本的に見直しを強いられるでしょう。

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