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FTの論調 - Porco

ゲストブロガー:Porco

rennyPorco Rosso Financial Weblog」というサイトを運営。
内外大手証券、株式部門ヘッドを歴任。ヘッジファンド運営、NY駐在が長かった。現在は東京拠点にアドバイザーやコンサルタント。

■おすすめエントリー
元記事 公開日時:2010年5月27日 23:13

今日は為替が反発、株式市場もひと息ついたかのように見えます。

日経平均週足とMACD


ここのところのFinanacial Timesの一連の記事は以前からPIMCOやロゴフの言ってきたようなシナリオを追いかけています。

その内容を簡単に言ってしまうと、ギリシャはしばらくすれば債務のリスケに至る、そしていつかは破たん処理を迫られる。続きを読む

中国から欧州連合へ告ぐ 「ユーロ安はお断りです」

一昨日フィナンシャル・タイムズに「中国がユーロ建てで外貨保有することを減らす方向で検討に入った」という憶測の記事が載りました。

これに対し中国人民銀行やCIC(中国のソブリン・ウエルス・ファンド)などが一斉に「そんなことは検討してない。いい加減なことを書くのはやめろ!」と正式に反論しました。これは極めて異例です。

  ■   ■   ■

フィナンシャル・タイムズの記者の感覚からすると(中国が外貨準備をユーロで保有していると、ユーロ安でそれが目減りするので困るだろう)と考えたのかも知れません。

でもこれは物事をひとつの方向からしか捉えられない、FTとは思えない稚拙な考え方です。

ハッキリ言って、中国は今、「ユーロ買い介入」したいほど困っています。

また、ユーロが高くなるよう心から願っています。

だからわざとユーロを崩すような真似をするわけがありません。

過去4カ月の間にユーロは対ドルで15%程度下落しました。人民元はドルにペグされていますからこれは実質的な人民元の切り上げがユーロ圏で起きてしまったのと同じ効果を持つのです。

そのため中国の輸出業者はたいへん苦しい立場に追い込まれています。

中国にとって世界で最も大きなお客さんはアメリカではありません。欧州なのです。(中国の輸出の約2割)

だからユーロ安はとても困るのです。

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市場参加者は昨日の中国のヒステリックな反論を見て(ちょっと待てよ?)と考えを改め始めています。

弱気一色に染まっていた欧州株に空売りの買い戻しが入ったのはそのためです。

下のチャートはフランスのCAC40指数ですが、このところの下降トレンドを脱することができれば、チョッと味付けでロング出来そうなチャートになりつつあります。
CAC40
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ユーロ危機 これまでの通貨危機との相違点 その3.

【今回の相違点】
さて、ギリシャの場合、既に共通通貨ユーロを使用していましたから自国の通貨を防衛する必要はもとよりありませんでした。

国際資本市場におけるギリシャを巡る攻防は従ってトレードできるものに限られていました。具体的にはギリシャ国債やそのデフォルト保険ということになります。

ギリシャ問題が深刻化する過程で、確かにギリシャは国債の発行がままならなくなり、高い金利を支払う羽目に陥りました。

しかしその金利にしても、自国通貨を防衛するときに必要となるような、べらぼうな金利高というほどのことではありません。

つまりギリシャの不景気は主に欧州全体の景気が悪いということに加えて財政支出を絞り込むなどの、公的部門の縮小によるところが大きいわけです。

【マイルドな調整】
アテネでのデモの様子などを見るとずいぶん荒れているので、その感覚からすると容易に受け入れにくい概念かも知れませんが、或る意味、今回のギリシャ危機に対するギリシャ政府の処方はこのように比較的マイルドなものでした

だから確かに欧州救済基金から支援を仰ぎ、独自で借りるよりかなり低利で資金の融通を受けることになっても、それでギリシャ経済が鋭角的に切り返すということは望めないと思われます。

そのもうひとつの理由は為替レートです。

そもそもギリシャは共通通貨ユーロを使い続けるわけですから、デフォルトの際に起こる、ドラマチックな為替水準の訂正というものは存在しません。だから輸出競争力の問題は依然として何ら解決していないのです。

本当の意味でギリシャが輸出競争力を取り戻そうと思えば、それは国内の賃金のかなり大幅な賃下げがなければ駄目でしょう。この過程をinternal devaluationといいます。しかしそのようなシナリオは現実には起こりにくいと思います。続きを読む

ユーロ危機 これまでの通貨危機との相違点 その2.

【通貨防衛はなぜ失敗するか?】
通貨防衛は稀に成功する場合もありますが多くの場合、失敗します。

その第一の理由は外貨準備がどんどん減っていることが投機筋に知られてしまうと「いつ買い支えの力が尽きるか」の手の内がバレてしまうということによります。

すると空売り筋はこの「力尽きる瞬間」、つまりデバリュエーション(通貨切り下げ)のイベントをめがけて総攻撃をかけるわけです。

また利上げによる空売りの阻止は金融引き締めをするのと同じ効果があるわけですから国内の不景気を一層悪化させます。

労働争議やデモが荒れ狂います。

それでも政府が自国通貨の水準維持にこだわるもうひとつの理由は自国通貨の為替レートが下がってしまうと後で借金の返済負担が増えることによります。

つまりそもそも輸出競争力が無いのに通貨高を維持しようとする、矛盾に満ちた選択をする羽目になるということです。

【白旗を掲げる瞬間】
通貨危機を経験している国の外貨準備がどんどん減り、輸入の2カ月分程度を切って来ると安全のための「のりしろ」が殆ど無くなります。株やソブリン債やFXで「切ったはった」のドラマを演じてなくても、単純に貿易の決済に絡む通貨の両替すらままならなくなるわけです。

こうなると自国の通貨を高い水準に維持する気力や資力は尽き、中央銀行は介入をやめます。為替相場が激しく動き、大幅な水準訂正が入るのはそういう瞬間なのです。
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ユーロ危機 これまでの通貨危機との相違点 その1.

このところギリシャ問題が投資家の話題に上らない日はありません。

今回のユーロの問題はこれまでに起きた通貨危機、具体的には1992年に起きた英国のEMS危機、タイランドのバーツ危機、メキシコのペソ危機、ロシアのルーブル危機、アルゼンチンのペソ危機などと共通する要素もありますが、違う点もあります。

この相違点を理解することが今後どのようなシナリオでユーロ圏が立ち直ってゆくのかを考える上で極めて重要だと思いますので少し解説します。

【危機の前段階としてのブーム】
先ず通貨危機が起こる前には何らかの理由でその当事国への投資がファッショナブルになり、外国から投機のお金が押し寄せるという現象が見られます。

たとえばメキシコの場合、ハーバード大学のケネディー行政学研究所で博士号を取得したカルロス・サリナスが大統領になり、ウォール街にウケるやり方でメキシコの経済を立て直しはじめたことがきっかけとなり、ブームになりました。

このように外人投資家の資金が入って来ると不動産や株が騰がり、景気が良くなります。

その反面、物価や賃金の上昇、ならびに為替レートの上昇はその国の輸出競争力を削ぎます。

つまり海外からお金が押し寄せることから生まれる好循環は知らず知らずの間にマイナス要因として足を引っ張り始めるのです。続きを読む
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