Market Hack

黒いカーテンが降りた中国のネット界

グーグル(GOOG)が中国での事業展開を諦めることを検討していると発表しました。

背景には同社のサイトが度々、中国国内のハッカーからのアタックに晒されたことがあります。具体的には中国の人権運動活動家のGメール・アカウントが中国政府のスパイによってハッキングされたのだそうです。

これに抗議してグーグルは中国で運営しているサイトの一部での検閲を停止したと発表しました。

これは実質的にグーグルが「もう中国政府の全体主義的なやり方に黙っていないぞ」と全面対決の姿勢を打ち出したことを意味します。

中国政府はこの発表を今のところ黙殺しているようです。

中国のネットユーザーの中にはグーグルのオフィスに献花し、静かな支持を表明しているひとも居ます。

ヒラリー・クリントン国務長官はすぐにグーグルの支持を表明、「サイバー・スペースをみんなが安心して使える自由を確保する必要がある」ことを強調しました。

グーグルが撤退するとバイドゥ(BIDU)、テンセント、ネットイーズ(NTES)、ソーフー(SOHU)などのローカル企業は短期的に恩恵を蒙ります。

このためバイドゥ(BIDU)の株価はプリ・マーケットで+16%も上昇しています。

しかし先のオンライン・ゲームから外国企業を締め出した事例では結局中国のネトゲ株のPEマルチプルは縮小しました。

長期で見た場合、中国のネット業界の隠遁化はイノベーションのチャンスを限定し、知の進化の面で中国が世界から取り残される原因となる危険性もあります。

国際競争力とは安い労賃だけに宿るものではなく、技術革新やブランドなどの無形価値、さらに新しいものを創り出すちからに宿るという立場を取るならば、今日は中国にとって重苦しいとばりが降りた日と言えるでしょう。





着実に金融引き締めが行われている中国

中国で粛々と金融の引き締めが進行しています。
昨日、引け後に人民銀行はリザーブ・リクワイアメント・レシオを50bp引き上げると発表しました。
リザーブ・リクワイアメント・レシオとは準備率を指します。つまり銀行が貸出をする際、貸出総額の一定の割合を中央銀行に「人質」として預けることを義務付けるルールです。その準備金の割合を示すのが準備率であり、準備率の引き上げは新規融資を抑制する意図でなされるのです。

これとは別に人民銀行は売りオペにより3ヵ月物手形金利を1.8434%へと引き上げました。これは1月7日の1.328%から1.3684%への引き上げに続くものです。

毎度書く事ですが、中国政府はきわめてクールな状況判断で経済運営を粛々と行っています。現在の焦点はインフレの芽を早く摘むという事です。

PS:中国政府のやることに「偶然」というのは無いと思います。大体、熟慮の上で全体をコーディネートしながら複数のポリシー・ツールを援用しつつ経済を誘導していく場合が殆どです。例えば前回、人民銀行が「量的引き締め」に出た時はその直後に銀行融資が激減する、極めて正確なアーリー・インディケーターの役目を果たしました。
中国の銀行融資

ハイネケンがコカコーラ・フェムサ(KOF)のビール事業を買収

ハイネケンがコカコーラ・フェムサ(KOF)のビール事業を買収すると発表しました。

このディールはクラフト(KFT)によるキャドベリーへの買収提案と同じ動機で行われていると判断できると思います。

その動機とは「成長のある市場にアグレッシブに割り込む」ということです。

ハイネケンはオランダに本社のあるビール会社で所謂、プレミアム・ブランドの会社として認知されています。ハイネケンは「ハイネケン」ブランドの他、「フォスターズ」、「アムステル・ライト」といったプレミアム・ブランドを所有しています。
販売量

世界のビール市場を見ると、所謂、プレミアム・カテゴリーは全体の2割を占めています。

その中でも特にインターナショナル・プレミアム・セグメント(IPS=つまり母国の外での事業展開)と呼ばれるセグメントが近年、急成長しています。

このセグメントが重要な理由は、プレミアム・カテゴリーはとりわけマージンが高いからです。
セグメント収益性

ハイネケンはこのセグメントへの傾斜が大手の中で最も大きいです。
エクスポージャー
つまりこれまでの企業戦略としてはハイネケンは良くやってきたと言えるのです。

しかしここ2年くらいの間に経営環境は激変しました。金融危機以降は質素なライフスタイルへの回帰が消費者の間でブームとなっており、プレミアム・ブランドはプレッシャーを感じています。

さらに先進国でのインターナショナル・プレミアム・ブランドという同社の強みを除けば、同社の布陣はとても問題があることが最近痛感されてきました。

ハイネケンはスペイン、ギリシャ、イタリアなど、成熟した欧州市場には強いですが、これらの多くの国はいま問題を抱えています。

さらに下の地図を見れば一目瞭然ですが、今後大事になってくる新興国のマーケットの殆どに自社の直営拠点が存在しないのです。
ハイネケン

そこでハイネケンはメキシコのコカコーラのボトリング会社、コカコーラ・フェムサ(KOF)が所有していたビール事業を55億ドルの株式交換で買収することにしたのです。

コカコーラ・フェムサのビール事業は「ドサキ」、「テカテ」などの有名なブランドを擁しており、マーケット・シェアは43%でメキシコ第二位です。

加えてコカコーラ・フェムサはブラジルでもマーケット・シェア9%を占めており、「カイザー」、「ババリア」(下のコマーシャル参照)などのブランドを展開しています。

中国の12月の輸出と輸入

中国の12月の貿易統計が出ました。輸出は前年比+17.7%の1307億ドル、輸入は前年比+56%の1123億ドルでした。
中国の輸出と輸入(09年12月)
輸入の1123億ドルという数字は過去最高です。
一方、輸出の1307億ドルは2008年7月の1367億ドルに僅かに届きませんでした。しかし中国の場合、原料を輸入し、完成品を輸出するという、所謂、加工輸出経済であるため、今回輸入が過去最高を記録したということは早晩輸出も過去最高になることを示唆しています。

金融危機以降の中国の貿易の落ち込みはドラマチックでしたが、回復もまたドラマチックというわけです。

輸入に関しては原油の月次輸入額が12月は過去最高を記録したほか鉄鉱石も過去2番目に高い水準でした。

雇用統計について

金曜日に発表された非農業部門雇用者数は-8.5万人とネガティブ・サプライズでした。市場は±0程度を予想していたと思います。

サプライズが大きかった割には市場の反応は小さかったと言えます。これには2つ理由があります。

先ずどんな経済指標の発表でもそうですが、余りに予想数字とのかい離が大きい時は投資家は「チョッと待てよ」と深くその数字を検証し直す傾向があり、そういう時はアタフタと動かないケースが多いのです。今回のリアクションがmutedだったのはそのため。

次に11月の非農業部門雇用者数が+4000人に上方修正されたことも投資家のリアクションを鈍らせたと思います。

12月の数字に「はじめて今月プラスに転じたか?」という期待をつないでいた投資家は-8.5万人という数字を見てガックリ来たわけだけど、「あ、そうそう、11月の数字は実はプラスだったんだよね」と伝えられて、二度拍子抜けしてしまったというわけ。

折角、非農業部門雇用者数の数字がプラ転するドラマチックな瞬間を心待ちにしていたのに、事後的に「じつはもうプラスは達成された」と告げられても喜ぶにも喜べないわけです。目標喪失感を抱いた投資家も多かったと思います。

さて、12月の非農業部門雇用者数の数字の検証に戻ると、建設部門の雇用者数が-5.3万人と落ち込みが激しく、製造業も-2.7万人でした。建設の落ち込みは米国を襲っている寒波の影響であることは明白です。するとどこまでこの数字を信じて良いのかちょっと判断に苦しみます。

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