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JPモルガン・チェース第1四半期決算は良かった ダイモンCEOは若い債務不履行者にセカンド・チャンスをあたえるべきだと主張

先週木曜日のJPモルガン・チェース(ティッカーシンボル:JPM)の第1四半期決算発表は、EPSが予想$1.53に対し$1.65、売上高が予想244億ドルに対し255.9億ドルでした。売上高成長率は前年比+6.2%でした。

平均コア融資は前年比+9%でした。

【コンシュマー&コミュニティ・バンキング(CCB)部門】
CCB部門の純利益は前年同期比-20%の19.9億ドル、売上高は前年同期比-1%の109.7億ドルでした。

細目ではコンシュマー・バンキング売上高が前年同期比+8%の49.1億ドル、住宅ローン売上高が前年同期比-18%の15.3億ドル、カード&オートローン売上高が前年同期比-3%の45.4億ドルでした。

住宅ローン、ホーム・エクイティ・ローンの支払い遅延は漸減トレンドを続けています。
オートローンの支払い遅延は減少に転じました。クレジットカード・ローンの支払い遅延は前年同期の水準より高いですが安定的に推移しています。チャージオフ・レシオは2.94%でした。

CCB部門の貸倒引当金は前年同期比+36%の14.3億ドルでした。また同部門の平均コア融資は前年比+11%、平均預金残高は前年比+11%の6,230億ドル、クレジット・カード売上高成長率は+15%、マーチャント・プロセッシング・ボリュームは+11%でした。デポジット・マージンは1.88%(前年同期は1.86%)でした。

【コーポレート&インベストメント・バンキング(CIB)部門】
CIB部門の純利益は前年同期比+64%の32.4億ドル、売上高は前年同期比+17%の95.4億ドルでした。

細目ではバンキング売上高が前年同期比+25%の30.2億ドルでした。社債、株式引受けフィーが好調でした。その反面、M&Aフィーは市場全体の不活発を反映して下がりました。

インベストメント・バンキング・フィー収入ではグローバルでNo.1の地位を維持しました。またフィーのマーケット・シェアは8.5%でした。

マーケッツ&インベスター・サービス売上高が前年同期比+14%の65.2億ドルでした。債券部売上高は証券化商品の好調で+17%でした。フランス大統領選挙を前に欧州債券市場が活発な商いでした。株式部売上高は+2%でした。

シェール産業むけ貸付けでは前年同期に4.59億ドルの損失が出たのと対照的に、今期は9600万ドルの利益となりました。

【コマーシャル・バンキング(CB)部門】
CB部門の利益は前年同期比+61%の7.99億ドル、売上高は前年同期比+12%の20.2億ドルでした。

【資産運用(AWM)部門】
AWM部門の利益は前年比-34%の3.85億ドル、売上高は前年同期比+4%の30.9億ドルでした。

全社ベース株主資本利益率は11%、ROTICは13%でした。ティアワン・コモン・エクイティー・レシオは12.4%でした。一株当たりブックバリューは+6%の$64.68でした。修正オーバーヘッド・レシオは58%でした。

今後の見通しとしては2017年の純金利収入前年同期比+40億ドルを見込んでいます。第2四半期の純金利収入は第1四半期とほぼ横ばいの4億ドルを見込んでいます。

決算カンファレンスコールでは、現在のところ預金金利に対する消費者からの引上げ要求は起きていないそうです。

ショッピングモールが経営不振にあえいでいますが、JPモルガン・チェースのショッピングモールの大家さんに対する貸付は30億ドル程度です。

トランプ政権の一連の政策が実現しなかった場合、JPモルガン・チェースの収益にどのような影響が出るか? という問題については「いまワシントンDCで、いろいろ交渉が行われている最中なので、少し長い目で見た方が良い」とジェイミー・ダイモンCEOはコメントしました。

ドッド・フランク法に代表される銀行関連法の厳格化で、過去に債務不履行の黒歴史を持つ、若い自営業のカップルはマイホームが買いたくても住宅ローン市場から締め出されています。ダイモンCEOは「このグループに再起のチャンスを与える必要がある。なぜなら、このグループは年間3,000億ドルから5,000億ドルの潜在市場であり、彼らに融資することが出来るようになれば宅建業者も、その他の住宅付帯産業も潤い、結果として米国のGDPを0.4%程度引き上げる効果があるから」と主張しています。

JPM

トランプが税制改革を後回しにすると発言 下院共和党ヘルスケア・プランを成立させるのが先 FOXのマリア・バーチュロモとのインタビューで語る

トランプ大統領が「税制改革を後回しにする」と発言しました。これは投資家がうすうす感じていた、残念なシナリオが、現実のものとなったことを意味します。

この発言はFOXのマリア・バーチュロモとのインタビューの中で出てきました。昨日夜、収録され、けさ、寄付き前に放映されるそうです。

その中でトランプは「下院共和党ヘルスケア・プランによって得られる節約が、税制改革法案の減税の原資になるのだから、それが無い事には税制改革法案が立てられない」と説明しました。

それでは下院共和党ヘルスケア・プランはいつ審議が再開されるのか? ということですけど、トランプ大統領は「期限は明言したくない」とお茶を濁しました。

トランプ政権は独自の税制改革法案を提示することを期待されていますが、それは未だまとまっていません。

当初、スティーブン・ムニュチン財務長官は「8月までに税制改革法案を成立させる」と豪語していましたが、税制改革はおろか、予算も、下院共和党ヘルスケア・プランも、何も出来ていないわけで、現時点では税制改革自体の実現可能性を疑ってかかる他、無いと思います。

【関連する記事】
トランプ大統領は「税制改革」への熱意を失った?

核の脅威の下で暮らす

アメリカに住んでいて仰天するのは、「シリアと極東は世界のトラブル・スポットだ」という風に、米国の庶民やマスコミが、極東をしばしばシリアと同列で論じる点です。

(ちょ、ちょっと待ってよ! そうじゃないでしょ? 同じセンテンスの中で言及しないでくれる?)

日本人の僕としては、そういう味噌も糞も一緒にする論調には大いに反発したくなるのですが、現実問題として、自分の危機意識が低すぎるのかも知れません。

ひとつの指標として、アメリカ軍が、国外の何処に、いちばん兵員や装備を配置しているか? といえば、それは極東です。中東でも欧州でもなく、極東。

この布陣は、アメリカ軍の世界認識を如実に示しているのではないでしょうか?

アメリカは横須賀や沖縄に駐留している米軍が核攻撃に晒される危険に、日頃からピリピリしています。

でも核攻撃の脅威があるからといって、先制攻撃をかけるか? といえば、その意欲は低い、ないしは無いに等しいと思います。

その理由は、アメリカの国民性として、まず相手から攻撃され、正統性が出来たところで反撃するという基本的態度が身についているからです。

第一次世界大戦も、第二次世界大戦も、湾岸戦争も、9/11も、みんなそういうノリで、ゆっくり腰を上げる戦い方でした。

実際、アメリカ国内では戦争反対の世論も大きく、うかつに参戦を決めると、政治家は政治生命を失うリスクに晒されます。ウッドロー・ウイルソンも、フランクリン・ルーズベルトも、おおいに逡巡しました。

これはアメリカ大陸が太平洋と大西洋によって世界の他の地域から隔てられており、また国土がとてつもなく大きいので、一瞬にして地球上からアメリカを消し去ることが出来ないことからくる余裕だという風にも理解できるでしょう。

これに比べて、たとえばイスラエルは国土が狭いし、敵に囲まれているので、先に相手から攻撃されたら、反撃できないまま地球上からイスラエルという国が無くなるという切迫感を常に持っています。

イスラエルがイランやイラクの核施設に対して、果敢な先制攻撃を辞さない理由は、ファイナンスの用語で言えば「オプショナリティーが限られている」からです。

ここで言うオプショナリティーとは「最初の駒を動かしたとき(ないしは動かさなかったとき)、次にどのような選択肢が選べるか?」という意味です。

たとえばイスラエルにイランから核ミサイルが撃ち込まれて、イスラエルの核攻撃能力が全滅してしまえば、そこでGAME OVERになってしまうわけで、反撃可能性が根絶されてしまうようなポジションに自分の身を置いてはいけないのです。

ある意味、中国が南沙諸島の岩礁を要塞化しているとか、アメリカが常に原子力潜水艦をぐるぐる回航させているというのは、このオプショナリティーによるところが大きいのです。

だから先日、アメリカがトマホーク巡航ミサイルでシリアを攻撃したからといって、返す刀で北朝鮮に先制攻撃をかける……なんてシロウト臭い妄想は、持たない方が良いです。

アメリカはlong fuse、つまり短気ではなく、挑発してもなかなか乗って来ない国です。

もっと単刀直入な言い方をすれば、日本に核ミサイルが1発や2発撃ちこまれた後で、初めて重い腰を上げるという風に覚悟しておいた方が良いのです。

これは大統領のWar Power、つまり戦争を始めることが出来る権限の解釈とも密接に関係しています。たんにある国が核を持っていて、その国のリーダーがクレイジーだという理由では、先制攻撃を正当化できません。(シリアを攻撃したのは化学兵器の使用というレッドラインをシリアが超えたこと、実際にシリア国内にISIS掃討のためアメリカ軍が展開していること、という二つの条件があったので、そうしたのです)

ワイフにその話をすると「ああ、核ね。懐かしいわねぇ。私が小学校のころ、核の避難演習を、よくやらされたわ。いまから考えると、机の下に潜るなって、馬鹿げてるわね」と遠い目で言いました。



もちろん、我々は仕事もあれば学校にも通わないといけないので、核の脅威があるからと言って、日本から逃げ出すわけにはいかないと思います。

「地震、雷、火事、おやじ」……そういった通常の災難に加えて、「核」も心の準備のメニューに加えておく必要があるのかもしれません。

幸い、北朝鮮が持っている核は、威力がそれほど大きくないので、イッパツで日本が消滅するようなことはないと思います。

なによりも、そもそも核が撃ち込まれる確率自体、相当低いのではないか? と僕は考えています。

しかし、「核が降ってくるかもしれない」という、漠然とした不安は経済を陰鬱にします。そのような、経済に対するスランプ効果こそが、我々が最も気に留めなければいけないリスクなのではないか? と思っています。


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会議室でどこに着席するか? 

4月6日(木)夜7時40分、地中海で作戦展開中の米駆逐艦U.S.S.ポーター、ならびにU.S.S.ロスから、合計59発のトマホーク巡航ミサイルがシリアのシャイラト空軍基地に撃ち込まれました。

同夜9時15分にトランプ大統領は「冬のホワイトハウス」、マー・ア・ラーゴの急ごしらえのシチュエーション・ルーム(作戦室)にトランプ政権の主要メンバーを招集し、テレ・カンファレンスを行いました。下はホワイトハウスのリリースした写真に、PBS(公共放送サービス)が解説をつけたものです。

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(出典:PBS)

金曜日のマスコミは、「誰がどこに着席したか?」でにぎやかな議論が交わされました。

この席順の分析に入る前に、二つのことを断っておく必要があります。

まずこの写真に写っているメンバーが木曜日にマー・ア・ラーゴに居た理由は、中国の習近平主席との会談に臨むためであり、国家安全保障会議のメンバーではないスタッフも含まれているのは、そのためです。

つぎにビデオ会議の「向こう側」には、ジム「狂犬」マティス国防相、ジョセフ・ダンフォード統合参謀本部議長、マイク・ペンス副大統領が居たそうです。

それらを断った上で、シチュエーション・ルームの解説に入ると、トランプ大統領の横にレックス・ティラソン国務長官が座っているのがわかります。ふつうこのポジションは「ボスのサイドキック(脇役)」が占める事が多く、「自分は大統領に一番近いんだ」ということを自他ともに認める人間が座ります。言い換えれば、レックス・ティラソンは、すでに大統領とそういう間柄になっているということです。

なおレックス・ティラソンは4月11日(火)にモスクワ入りし、プーチン大統領と会談します。今回の攻撃でプーチン大統領は「おかんむり」なので、この会談はたいへんむずかしいミーティングになると思います。レックス・ティラソンはトランプ政権の中で最もプーチン大統領と親しい存在なので、この大役を彼がどうしても果たす必要があります。その意味ではティラソンは単にトランプ大統領にスリスリしているだけではなく、そこへ座る資格は十分にあると言えます。

ティラソンの横に座っているのは「マッドマックス」ことハーバート・レイモンド・マクマスター国家安全保障問題担当大統領補佐官です。マクマスター中将はウエストポイントを卒業後、ノースカロライナ大学チャペルヒル校で軍事史の博士号を取った文学者でもあり、ベトナム戦争史を著し、その中でリンドン・ジョンソン大統領、ロバート・マクナマラ国防長官を痛烈に批判した人でもあります。

また湾岸戦争の際はイラク・クウェート国境で戦車戦を指揮しました。ストレス下に置かれても平然とし、判断が冴えていることで有名です。今回の作戦が失敗したら、責任を取らされる立場にある人です。(この写真が撮られた時点では、もう作戦の成功は判明していました)

マクマスターの隣、いちばんモニターに近いところに据わっているのがラインス・プリーバス首席補佐官です。このポジションは「ビデオ会議システムのボタン押し係」に過ぎないと思います。

マスコミがとりわけ話題にしたのは、スティーブン・バノン首席戦略官が大統領のうしろ、入り口のドアにいちばん近い位置(サイテーの場所です)に、申し訳程度に座っている点です。バノン氏は、パワフルな国家安全保障会議(NSC)のメンバーから外されたばかりです。

その横にはスティーブン・ミラー大統領補佐官が、いちばん部屋の隅っこに、身を隠すように佇んでいます。普通、このポジションは、なにかを企んでいる策士が座るところです。なおミラーはトランプ大統領が両院合同会議で演説した際、とてもウケが良かったスピーチを練った男です。

マクマスター中将のうしろで、身を乗り出すようにしているのがゲイリー・コーン経済担当大統領補佐官であり、彼はバノン首席戦略官、プリーバス首席補佐官(=この2人は、ホワイトハウスの序列からいえば並列No.2です)の両方がクビにされたら、その後釜に座ろうとしている人です。コーン氏の横には、ゴールドマン・サックス時代の部下であるディナ・パウエル国家安全保障副補佐官がピッタリ寄り添っているのが確認できます。


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米国の巡航ミサイルによるシリア・シャイラト空軍基地攻撃の持つ意味 トランプ政権内のグローバリストたちの影響力が増した

昨日米国がトマホーク巡航ミサイル59発をシリアのシャイラト空軍基地に撃ち込みました。

シャイラト空軍基地はロシア製SU-22の2分隊が駐留しており、この部隊が4月4日の化学兵器(サリン)による攻撃を実行しました。

今回の米国の攻撃では空軍基地にダメージを与えたものの、シリアの洗練された地対空ミサイルは攻撃の対象ではありませんでした。そのことはアメリカが戦闘機などによる第二派の攻撃をする意図が無いことを示唆しています。

また化学兵器貯蔵庫への攻撃も控えられました。

これらのことから、トランプ政権は攻撃をエスカレートする意図は無く、あくまでも抑止のためのシグナルを送る、限定的な攻撃にとどめておきたい意思が伝わってきます。

今回の攻撃は、スティーブン・バノン首席戦略官の影響力の低下を物語っています。なぜならバノンは経済ナショナリズム(=すべての労力を、アメリカの労働者を最優先することに投入する)の立場から、無益な国際紛争への介入に反対の立場を取っているからです。

4月7日にバノンは国家安全保障会議(NSC)から外されました。これでマクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)がフリーハンドで動けるようになったわけです。

4月4日の化学兵器攻撃が起きた時、トランプ大統領の長女イヴァンカは「何の罪もない女、子供が標的にされてかわいそう!」と訴えました。

また娘婿のクシュナーは中東問題に精力を傾けています。

そんなクシュナーをバノンが「あいつはグローバリストだ」と批判し、バノンとクシュナーの間の軋轢がとても大きくなっていました。

今回、トランプ大統領がバノンの進言を無視して、サッサと巡航ミサイルによる制裁を決断したことは、トランプ政権の中でグローバリストの影響力が高まっていることを感じさせます。

それではトランプ政権内のグローバリストとは、一体、誰? ということですが、それは:

イヴァンカ・トランプ補佐官(長女)
ジェアード・クシュナー上級顧問(娘婿)
ゲイリー・コーン経済担当大統領補佐官
ディナ・パウエル国家安全保障副補佐官


などになります。特にゲイリー・コーンに関しては、「バノンが解任され、トランプ政権のNo.2に任命されるのではないか?」という観測が飛び交っています。

トランプ大統領は、下院共和党ヘルスケア・プランの交渉におけるバノンのチョンボを今でも恨んでいると言われます。またラインス・プリーバス首席補佐官の働きぶりにも不満を持っています。従って、この両方をクビにして、ゲイリー・コーンを昇格させる、ないしはケビン・マッカーシー下院多数党院内総務を首席補佐官に抜擢するという人事を検討中だそうです。

ディナ・パウエル国家安全保障副補佐官の存在もだんだん目立ってきています。



彼女はブッシュ政権で活躍した後、ゴールドマン・サックスではゲイリー・コーンの部下でした。もともとエジプトのカイロ生まれで、幼少のときにテキサス州ダラスに家族で移住しました。彼女の宗派は異端キリスト教のひとつ、コプト教徒です。

29歳のときジョージW.ブッシュ大統領のホワイトハウス人事局長に抜擢され、ブッシュ大統領、ディック・チェイニー副大統領、カール・ローブ、コンドリーザ・ライスと仕事をしました。



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