Market Hack

土地改革で不透明感増す南アフリカ

トルコリラ危機に端を発した新興国通貨不安が南アフリカにも波及しています。

新興国通貨が神経質な動きをしている最大の理由はアメリカ経済の好調で世界の資金が米国に一極集中していることによります。

それに加え、トルコやアルゼンチンの通貨急落で投資家の新興国に対するセンチメントは暗転しています。

南アフリカはアパルトヘイト(人種隔離政策)の終焉以降、不公平になっていた土地の再分配を試みてきましたが、遅々としてそれは進捗していません。

今年2月にズマが失脚し、シリル・ラマポーザが大統領になりました。政権党であるアフリカ民族会議(ANC)はこれを機に白人農場経営者の土地を補償なしで収用し、黒人に再分配する政策を推し進めようとしています。これには憲法第25条の改正が必要です。

しかしそれを待たず農地の価格は4割近い下落を見ています。経済的開放の闘士(Economic Freedom Fighters)と呼ばれる政党が強力に土地改革を要求しているのがその背景にあります。

格付け機関ムーディーズは主要格付け機関の中で唯一、南アフリカの長期ソブリン格付けで「投資適格」を付与しているのですが、来月、その格付けを見直しする方針です。

これらのことから南アフリカランドには売り圧力がかかっています。

同国の経済のファンダメンタルズを簡単に振り返ると、まず経常赤字はGDPの2.9%です。

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構造的財政赤字はGDPの3.7%です。

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これらの数字は「黄信号」と言えます。

救いとしてはインフレはそれほど酷くないという点です。

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南アフリカ中銀は政治に影響を受けることなく独立を貫いています。これはトルコと対照的です。

また南アフリカ政府と企業はかなり保守的に運営されています。一例として同国は外貨建ての借入れが少ないです。また民間企業も外国からの借入れに依存していません。

したがって最近の南アフリカランド安でも債務返済負担が雪だるま式に膨らむことは起きていません。


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ビットコインADRに関し仮想通貨クラスタが知っておくべきこと

シティグループ(ティッカーシンボル:C)がビットコインに依拠した証券を出すスキームを考案中だとICOジャーナルが伝えました。

コンセプトとしては面白いし、もし実現すればビットコインの需給に影響するので解説します。

まずICOジャーナルによるとシティグループが考えているのは「ビットコインのADRを出すこと」です。

ADRとはAmerican Depository Receiptの略であり米国預託証券と訳されます。これは聞き慣れない用語かもしれないけれど、たとえばアリババ(ティッカーシンボル:BABA)はADRですし日本のLINEがアメリカで同時上場したときに発行したのもADRです。

これは一種の預かり証だと思って下さい。

預かり証の意味がわからなければ、たとえば帝国ホテルの宴会場で冬にコートを預かるコートチェックだと思って下さい。あなたが着ていたコートを脱いで「これ、おねがいします」と言えば、コートチェックの担当の女性が、「はい、これ預かり証になりますので、紛失しないで下さい。後で提示してください」というアレです。

コートの預かり証を誰かに渡したら、その預かり証をコートチェックの女性に提示した人が、あなたのコートを受け取って帰ってしまうことにもなります。

実はADRの発想とETFの発想は、極めて近いです。

その違いといえばADRはひと銘柄の外国株をベースに預かり証を発行するのに対し、ETFはひとまとまりの証券(=例えばS&P500指数)をベースに預かり証を発行する点です。

アメリカの投資家にとって例えば日本株を東証で買うよりADRをアメリカで買った方が便利な理由としては:

1. 地元の取引所NYSEなどでカンタンに買えること
2. ドル建てで、他の米国株と全く同じ方法で受渡されること
3. 他の銘柄との比較検討がカンタンになること
4. 外国に信託など券面を保管する準備をする手間が省けること
5. 配当もちゃんと入るし委任状・投票の案内も来ること

になります。

シティグループはこの「ビットコインのADR」をデジタル・アセット・レシート(DAR)と呼んでいるそうです。

ICOジャーナルが引用した関係者のコメントは:

(DARは)有価証券という理解になる。そこでは既存の信託銀行、受渡の慣行などがそっくりそのまま利用される。だからこれは(CBOEやCMEに上場されている)NDF(ノン・デリバラブル先渡し契約=つまり差金決済)ではない。機関投資家の多くは店頭デリバティブの商品区分に入ってしまうNDFには投資できない。ADRは普通株式と同じなのでファンドの定款上の制約は無い。


というものです。

世界には2300銘柄のDR(預託証券)が存在します。ADRを最初に考案したのはJPモルガンで、銘柄は英国の老舗百貨店セルフリッジズでした。1927年のことです。

日本ではSONYが1961年に日本企業としては初めてニューヨーク証券取引所にADRを出しました。その時の幹事はスミスバーニー証券と野村証券です。スミスバーニー証券は現在シティグループに吸収されています。

なおADRには「レベル1」、「レベル2」、「レベル3」、「ルール144A」などいろいろな種類があり、一般投資家を巻き込む度合いによって規制の厳格さが異なります。

ニューヨーク証券取引所やナスダックでトレードできるADRは「レベル2」と「レベル3」のみです。

また新規の資金調達は「レベル3」と「ルール144A」のみに許されています。ビットコインの場合、新しいビットコインの発行というのはありえないので、そこから憶測すれば「レベル1」ないしは「レベル2」ADRという意匠にて設計されることになると思います。

なお既存の証券法の枠組みではシティグループの考案するDARがフィットしない部分もある気がします。なぜならADRを出すならイシュアーはF-20と呼ばれる年次報告書を提出する必要があり、ビットコインには当然、それは存在し得ないからです。

ただ「レベル1」ADRならOTC(店頭取引)であり、かなり簡素化された手続きで発行できます

実は「ビットコインETFか? それともビットコインADRか?」という議論は、突き詰めて言えば「レベル1ADR」の法規制上の柔軟性に目を付けた試みなのではないか? と僕は思っています。



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Market Hack FOCUS LIST 2018年9月9日

FOCUS LIST

Market Hack FOCUS LISTには変更はありません。

アトラシアン(TEAM)決算は問題ありませんでした。Slackとの提携も好感されています。

team

プルーラルサイト(PS)決算も良かったです。株価は堅調です。

ps

オクタ(OKTA)決算も問題ありませんでした。

okta

ズィースケーラー(ZS)完ぺきな決算を発表しています。問題なし。

zs

ドキュサイン(DOCU)決算も危なげない安定の内容でした。問題なし。

docu


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仮想通貨が底入れするには先ずICO詐欺の摘発が必要 

仮想通貨がダダ下がりです。

それもそのはず、いまようやく「ICOって、ほとんどのケースが詐欺だったんでねえの?」というマトモな気づきが投資家に芽生え始め(ちょっとまて、お金、返してよ!)という動きになりはじめているからです。

真面目にやっているICOのプロモーター(=そういう人も、いるには居ます。大半が詐欺だけど)からすれば、お尻に火がついているわけで、早くサービスインしないと詐欺コインと一緒にされてしまう。

するとエンジニアリング・チームのケツ叩いて開発を急ぐわけです。そのためには開発費用をケチってられない。だから調達したETHを売る。

ETHが下がるとR&D予算のそろばんが狂う。だから厳密に予算を立てた連中は慌ててETHを売る。

ついでに開発などする気はサラサラなく、カネ掴んでトンズラすることだけを考えていた連中も、慌ててETHを売る(笑)

そういう感じで、いまみんながイーサリアムを投げている。

これって、話がちがうよね?

この損、どーしてくれるの?

ちょっとプロモーター相手取って訴訟起こそうか?

そう思ってコンタクト先を調べようとしたら、そもそもプロモーターがどこへいるのかすらわからない(笑)

つまり完全犯罪だ。www


おまけにICOは騙された奴が勝手にお金を送金したわけだから、証券法で取り締まれるかどうかすらわからない。

このままじゃ、泣き寝入りだぁぁぁぁ

仮想通貨クラスタのバカタレどもは「おれたちはリバタリアンだ。だから世間のルールでおれたちを縛るな!」とか幼稚園児みたいなコトをぬかしている。

投資家保護の法律ってのはね、アンタラみたいなリテラシーの低すぎる人たちのためにあるんよ。

ところでイケダハヤトは一時期「ICO、ICO!」と連呼していたけどアフィリで儲けたのかな? うまくやったな、アイツ(笑)

みんなでハヤトをボコろうぜ!


リップルの法務担当役員ブリンリ・リアが辞任

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リップルの法務担当役員ブリンリ・リアが辞任しました。彼女はリップルに2年半在籍しました。

リップルは現在、幾つかの集団訴訟に遭っています。「有価証券の登録をせずにトークンを販売した」というのがその訴訟理由です。

これらの一連の訴訟に備えるため、同社は6月にメアリー・ジョー・ホワイト前米国証券取引委員長を顧問として迎えました。

メアリー・ジョー・ホワイトは「重鎮」のひとりなので、ブリンリ・リアとしては影が薄くなることは避けられなかったと思います。

そこらへんが今日の辞任に関係しているのかどうかは、わかりません。

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