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【若しオアシスを去らねばならない日が来たら?】

若しオアシスを去らねばならない日が来たら、そのときになって「さあ、これから何処へ行こう?」と途方に暮れていては遅いです。

 

その日が来ることに備えて、日頃から次の一手を考えておく必要があります。

私の考えでは有望なマーケットを選定するためには次の6つの基準をあてはめると良いと思います。

 

1.成長があるか

2.金利環境が良いか

3.通貨は健全か

4.投資のしやすさ(流動性)

5.取引コスト

6.株価評価が適正か

 

【成長があるか】

先ず成長があるか?という問題について考えます。

 

例えばBRICsを例に取ると向こう数年間の巡航速度のGDP成長率はインドの場合9%、ブラジルの場合6%、中国の場合10%程度ではないかと思われます。

 

これは少し楽観的過ぎる予想かも知れません。でも細かい議論はともかく、これらの国が日本より遥かに急速に成長していることだけは異論の余地は無いと思います。(ロシアだけは天然ガスや石油などの地下資源に依存する度合いが極めて大きいので、巡航速度のGDP云々という議論そのものが余り意味を持ちません。従って、ここではチョッと議論から外します。でも投資対象としてロシアがダメだということではありません。)

 

2003年以降、新興国の経済成長の速度は先進国よりも高くなっています。その理由は①生産ノウハウへのアクセス、②市場へのアクセス、③資本へのアクセスが確保されたからです。

 

長い間、新興国の経済は先進国のそれに比べて遅れており、その結果として先進国との賃金格差が極めて大きくなりました。このことは先進国の企業にとって国内でモノを作るより、新興国に生産拠点を移した方が遥かに安く製品を組み上げることが出来ることを意味します。今や海外生産は先進国企業にとって選択肢の一つではなく、ビジネスの前提にすらなっています。

 

新興国はこうした先進国の企業の進出によって生産ノウハウへのアクセスを確保したのです。商品のデザインや組み立てのノウハウは工場移転を通じてどんどん新興国へ伝播しました。また先進国における流通・小売市場の構造変化も新興国にとって有利に働きました。

 

その構造変化とはウォルマートに代表される大規模店舗の発展です。ウォルマートは通常、最も安い業者からしか仕入れません。逆に安く、しかも大量に商品を供給できる業者に対しては積極的に指導し、ウォルマートのニーズに合った商品を納品する術を教え込むのです。この結果、ウォルマートにさえ出入りすることが許されれば、市場へのアクセスの問題は一切、心配しなくて良くなったわけです。

 

最後に後進国が最も苦しむものは資本へのアクセスです。最初は先立つ資本が無いためにモノづくりは先進国の企業が新興国へ進出することによって実施される場合が多かったです。しかし現地の従業員が経験を積むと、自分で独立して工場を興し、海外の企業の仕事を請け負い始めます。そのうち資本を蓄積すると事業を拡張したり、多角化したり、投資資本を他の起業家に融通したりするようになります。

 

全体としての資本の蓄積が進むと国内の資本市場も整備されてきます。するとIPO(新規株式発行)などの市場も整備されてくるし、海外の投資家の関心も集めるようになります。資金調達の形態は融資中心から株式のIPOなどに移ります。また企業による直接投資は相対的に影が薄くなり、国際機関投資家のポートフォリオ投資が幅を効かせるようになります。これらのすべてのことは資本へのアクセスの問題を克服することにつながるのです。資本へのアクセスが確保できた時点で新興国の競争優位は動かぬものとなります