僕は相場を張る時、「れれっ、なにこれ?」という感覚をたいせつにするよう心がけています。

金曜日の雇用統計をみたとき、「ん?!”#$%&」という印象を覚えました。

僕だけでなく、これを読んでくださっている皆さんの多くもそういう感覚を持たれたことと思います。

そこで先ず雇用統計の数字自体が「まぐれ」なのか、丹念に細目をチェックしたけど、こまかいところまで見ても「水も漏らさぬ」良い数字で一致した方向でした。

(するってえと、考えを根本的に修正しないといけないのは投資家の方だということか、、、)

まだ鈍器で殴られたようなショックが余韻を引く中、兎に角、マーケットの声に耳を傾けることにしました。

金曜日の立ち会いではゴールドや工業コモディティーの株の急落が目立ちました。エネルギーも駄目です。新興国株式もインドは比較的値持ちが良かったけれど、後は枕を並べて討ち死にしています。

反対に米国株の中では航空、レジャー、銀行、ハイテクなどがしっかりでした。

そこでBRICsの持ち株を全部処分しました。ブラジルの航空会社のタム(TAM)だけは全面安の中、新値につっかけていたので残しました。(僕は新値を取っている銘柄は売るのを思いとどまるというルールを自分に課しています。)

ゴールドの関係は実は数日前に全部処分していたので無傷でした。これはまぐれあたりです。

ポートフォリオの軸足をアメリカ、それもハイテクや航空、レジャーなどに移したいと考えています。既に半導体には数日前からアグレッシブなポジションを築き始めています。ポートフォリオの核に据えているのはマーベル(MRVL)ですが、テキサス・インスツルメンツ(TXN)も良いように思うし、JDSU(JDSU)やコー二ング(GLW)にも惹かれます。

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僕が(戦術的に撤退する)と決めたら、すぐに行動を起こしてしまう理由は次のようなものです。

先ずナポレオンがロシアに攻め込んで、モスクワ目がけてどんどん進軍しているとき、ちょっとした拍子に(ちぇっ!深追いしすぎたかな?)と悟る瞬間があったと思うのです。

でもそう思ったときにはもう敵陣奥深く入り込んでいるし、簡単には兵をまとめて引くことは出来ません。

機関投資家の運用もこれと同じで、ファンドが大きくなればなるほど、一日でコロッと考えを変え、ポートフォリオを全部入れ替えることは出来ないのです。どんなに(深入りしてしまったな)という悔恨の情が強くても、ポートフォリオの改変は数日間から数週間に渡ってしか実行できないのです。

その点、「君子豹変」できるのは個人投資家の特権です。

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さて、今回問題になるのは何をもって投資家に「チェっ、深入りしすぎたな」と思わせているかという点です。

結論的には「雇用はとうぶん改善しない」という先入観が打ち砕かれた点が重要です。

なぜなら「雇用が駄目なうちはどんなに経済の他の箇所に底入れのシグナルが出ていても、FRBは超緩和的政策を変更しない」という風に皆が決めてかかっていたからです。

借金して、じゃんじゃん流動性を市場に提供する政策は、故意のドル安政策でもあります。

それが雇用が戻ったということになると超緩和的政策は続けられなくなるのです。

投資家の立場から考えるとドルに先安観がある間はなるべくドルと逆相関の動きをする投資対象にお金を避難したいと思うわけです。

ゴールドはドルに逆相関する代表的なコモディティですし、銅などの工業コモディティー、原油なども同じです。

またドル安を利用する投資戦法としては海外株投資というやり方もあります。そこでブラジル株、ロシア株、オーストラリア株などの資源国へ投資したり、ドル安=人民元安でメリットを享受する中国株へと投資するという手法がポピュラーでした。

これらの発想は全部、一度根本的に見直しを強いられるでしょう。