sophistication僕の現在の投資ストラテジーは所謂、リスク・トレードと呼ばれる投資対象をゼロにするということです。

もちろん、何を持って「リスク・トレードだ」とみなすかは、その時々によって定義が変わって来ると思います。でも現在のところ、ゴールド、原油、工業コモディティー、新興国株式などが典型的なリスク・トレードであるとというのが欧米の機関投資家の一致した認識です。

なぜこれらのリスク・トレードの投資対象は駄目なのでしょうか?

その理由はこれらの資産がいずれも各国政府の緩和的金融政策や通貨の競争的減価(competitive devaluation)を想定し、それに対する自衛手段を提供していたので人気化したという性格を帯びていたからです。

しかし緩和的金融政策やわざと自国の通貨を安くするような経済政策はここへきて突然、時代遅れファッションになっています。

いや、むしろソブリン(国家)債務のリスクに世界の投資家はピリピリしはじめているというのが現状ではないでしょうか?

例えばギリシャの格付けのダウングレードなどはその例ですし、今日はイギリスの政府も「投資銀行のボーナスには50%の課税をし、国家負債は圧縮する」と債券市場に媚を売る発言をしています。

ギリシャは経済規模にするとカリフォルニアの4分の1程度であり、その国の債券格付けが下がったところで大したことは無いという意見もあります。

でもBBB-以下になると国債をECBに担保として持ち込むことが出来なくなるのでEUメンバーとしてのメリットをフルに享受できなくなります。

またギリシャに起こった事はいずれアイルランド、スペインなどの国々にも起こりうるという懸念があるわけです。

この突然、降って湧いたような「ソブリン・アレルギー」は考えてみれば当然の帰結です。

去年、金融危機が襲った時、各国の政府はすぐ支出を拡大し、金融を緩和しました。これは大恐慌の教訓であり、正しい処方です。

でもそれは例えて言えば戦場で敵弾に当たり負傷した兵士にモルヒネを注射するのと同じで、いつまでもモルヒネを続けるわけにはゆかないのです。アヘンの気持ち良さに慣れて世界中の政府がこれに手を出し、金融市場はあたかもアヘン窟の様相を呈しています。

なぜバーナンキFRB議長の再任の承認が難航しているか?のひとつの理由がここにあります。つまりバーナンキ議長は「モルヒネ継続派」なのです。

同じ事は中国のマクロ経済政策に対しても言えます。中国株の投資家は中央工作会議で何か新しい景気刺激策が打ち出されるのを期待したようですけど、特段、新しいことは出ませんでした。これは中国政府の判断が正しいと思います。なぜなら今の中国でモルヒネを打ち続けると中毒になってしまうからです。

ドルがダラダラ安を続けるという確信が無くなれば、ドル・キャリーのトレードを維持するのは難しいです。そのことはドル・キャリーの対象とされてきた原油やゴールドの反落を意味し、それらのコモディティーの価格下がれば、新興国の株式はもっと下がります。

つまり今はそういう悪循環でいろいろな投資対象が処分されているわけです。

まだまだ調整は始まったばかりです。