ジム・チェイノス

ジム・チェイノスはアメリカのショート専門のヘッジファンド、キンコス・アソシエーツの代表です。

上のポスターは1月28日にオックスフォード大学のセント・ヒルダ・カレッジで彼が中国について喋るスピーチの宣伝です。「チャイナ・シンドローム」という題からも分かるとおり、彼は中国に対して弱気です。

このチェイノスの新しい意見についてニューヨーク・タイムズが大きな記事を掲載しました。(上の画像はそこから拝借しました。)

ジム・チェイノスは中国の専門家ではありません。

実際、彼が中国について勉強しはじめたのは去年の夏からです。昔からの中国ウォッチャーであるジム・ロジャーズはNYタイムズの記事中、「10年前にはChinaという単語を綴ることも出来なかったようなしろうとが、突然、中国の専門家になるというのは笑えるよね」と痛烈な皮肉を浴びせています。

僕はこの記事を読んでなんとなく既視感にとらわれました。

というのもチェイノスはドットコム・バブルの批判者のひとりであり、エンロンの崩壊を言い当てた人でもあるからです。当時、チェイノスがTVに出てくると、「またあのしろうとが的外れなことをほざいている」とトレーディング・ルーム中の笑い物になったものです。

ところがエンロン、タイコ、ワールドコムとJPモルガンが貸し込んでいた取引先が次々に深刻な問題に陥り、株価がボロボロになるともう誰もチェイノスを馬鹿にしなくなったのです。皆、蒼ざめた顔で無言でCNBCを凝視するばかり、、、

僕はかならずしもジム・チェイノスの意見(=つまり中国のバブルは崩壊する)に賛成ではありません。またチェイノスがポジションを建ててから、そのシナリオが実現するまでにはかなりの月日が流れる場合が多かったように思います。

だから明日、すぐにどうのこうのということでは無いし、チェイノス本人だってすぐ彼のシナリオが実現するとは思っていないでしょう。

でも「過剰設備の問題を、もっと生産力を増やすことで乗り切ることは出来ない」という彼の主張は真理を突いている気がします。

たぶんチェイノスの批判を最も真摯に受け止め、フル・スピードで問題解決に邁進しているのは中国政府そのものだと思います。

すでに中国政府はアホな「追加刺激策」とか、そういうチャラチャラした事は一切口にしなくなって久しいし、厳格な融資規制に乗り出しているし、売りオペで流動性の吸い上げを行っています。つまり中国政府こそがアンチ・バブルの旗手なのです。

そういう素早い政府の対応を見るにつけ、中国に対しては安心感を覚える今日この頃です。


PS:政策対応が適切だということと株が騰がるということは別問題。