最初に結論を述べます。

 結論


ユーロは今年1年を通じて軟調な展開を予想しています。それは裏返せばドルが強いことを意味するので、ドルと逆相関にあるゴールドや石油は冴えないと考えています。

 

コモディティーがダメなときはBRICsなどの新興国株式も冴えないと思います。

だから米国株や欧州株や日本株の方が面白いと感じます。とりわけユーロ安は欧州の輸出企業を大いに助けると思います。ですからニュースとしてはヨーロッパから聞こえてくるニュースは悪くなるけど、株式市場のパフォーマンスはこれと裏腹に欧州株式市場はOK、そういう展開を想定しています。

 

なぜ私がそう考えるか説明します。

 

負債


2003年から始まった景気拡大局面では世界の企業や個人が沢山の負債を抱え込みました。この傾向は2008年まで続きました。

 

しかし、サブプライム問題に端を発した金融恐慌で政府が銀行を支援したり公共部門の支出をドカンを増やすなど、景気下支えの役目を果たさざるを得なくなりました。

 

各国政府の積極的な関与で1930年型の大恐慌は防ぐことが出来ました。

 

しかし去年の12月くらいから新しい問題が生じ始めました。それはそろそろ政府が借金を背負い込むことも限界に近付きつつあるという認識が投資家に芽生えたということです。

 

政府の負債をどう圧縮してゆくのか?これが2010年の各国の直面する課題です。

 

とりわけ政府の中で、強い国と弱い国との格差が顕著になっています。ここで興味深い点は、昔は政府の信用が問題になるときは新興国から綻びが生ずることが常でした。

 

ところが今回は先進国のなかで、とりわけ慢性的に経済が停滞している国がだいぶ危ない状態になっているということです。つまりこれまでの先入観とはかなり違う、立場の逆転がおこっているのです。

 

いま経済成長と財政の健全さという尺度できわめて大雑把な分類をしてやると新興国の方が先進国より高い経済成長を遂げています。経常収支もプラスになっている新興国が多いです。また財政的にも新興国の方が先進国より保守的な財政政策をとっています。だからここは2010年のトラブルの震源地にはならないのです。

 

成長と財政のマトリクス


一方、アメリカは物凄い勢いで財政出動した関係で財政赤字はGDPの13%程度まで膨らみました。きわめて醜悪な内容です。しかし危機が襲ってきたとき、まっしぐらに金融を緩和し、ドカンと政府部門の支出を増やしたので、メリハリの利いた経済の誘導が出来ました。その関係で2011年には先進国の中では最も高いGDP成長率に躍り出る可能性が強いです。

 

この反面、去年の不況の際も欧州中央銀行は量的緩和政策などの思い切った処方はなるべく控え、節度のある政策に終始しました。その結果、2011年にかけてのリカバリーという点では米国には劣ると思います。

 

また十分に緩和策をとってギリシャやスペインを救わなかったことで、今になってこれらの落ちこぼれの国とドイツやフランスなどのEU内での優等生の国との格差が物凄く広がりつつあります。

 

具体的には欧州の中でもポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペインといった国々の財政事情が世界の投資家から心配されています。これらの国に共通するのはいずれも成熟国であり、経済成長のシナリオが描きにくいという点です。