サントリーとキリンの経営統合交渉の決裂が話題になっています。

日本の感覚で言えばどちらも尊敬されている企業であり、良く知られたブランドです。だから日本の中では「良くやっている会社」という評価ができると思います。

サントリーもキリンも海外の企業を買収し、国際化路線を歩んでいます。彼らの海外における最近のM&Aの経験が、経営トップの考え方にどう影響を与えたのかは興味深い問題です。

経営統合を真剣に話し合ったということは、何か危機感なり、独立企業として国際戦略を進める上での不都合なりを感じたに違いありません。

そこで両社の経営者を合併交渉に駆り立てた背景について少し考えてみたいと思います。

まず思い浮かぶのがスケールの問題です。日本ではサントリーもキリンも大企業ですが、近年世界のビール会社はM&Aでスケール・アップしています。しかもアムベブの場合もSABミラーの場合も新興国企業と先進国企業の「ハイブリッド」になっています。
時価総額


世界の文脈では日本のビール会社は中途半端な規模になってしまっているということがわかります。

次に営業マージンをみるとかなり格差が開いていることがわかります。
営業マージン


いま日本のビール市場は高齢化などの影響でほとんど成長がありません。成長の無い市場で熾烈なシェア争いをしている以上、利幅が薄いのは当然です。


しかし世界を見渡せば新興国を中心に成長している地域はゴロゴロあります。下のグラフはSAMミラー1社のデータ・ポイント(EBITDA成長率)であり、これが必ずしも世界の状況を正確に反映しているとは言えないと思いますが、大体、世界の地域がどんな成長をしているのかの感覚を掴む事は出来ます。
SAB成長率


ラテンアメリカや日本を除くアジアなどはやはり桁違いに成長していることがわかります。

どうせ海外でM&Aをやるからには強いブランド、健全なオペレーションを買収したいものです。でもそういう案件はどんどん少なくなっているし、海外企業とのM&A競争においても日本勢が提示出来る条件は収益力やスケールの差からどんどん不利になってゆくと思います。

だからこそスピードが大事なのではないでしょうか?