今週、ブリュッセルでギリシャ支援をめぐる欧州連合(EU)の会議が開かれます。しかしその会議を前に欧米のメディアでは再びギリシャ政府の「会計疑惑」の話題が取り上げられています。

日曜日のニューヨーク・タイムズが伝えるところによるとギリシャは2001年にEUへの加盟が認められた際に財政赤字削減などの面でEUの条件を満たしていなかったにもかかわらず加盟が許されました。

その後、増税するなり財政を切り詰めるなりして均衡財政にもってゆくべきところをゴールドマン・サックスのアレンジで「金融エンジニアリング」の仕組みを使い、債務を次の世代へ「先送り」するディールを幾つも締結したのです。

これらのディールではギリシャは投資銀行からキャッシュで「前金」を貰う代わりに将来長期に渡る支払いに合意するわけです。こうして本来政府の懐に入って来るはずだった空港使用税や宝くじ事業からの収益を「先食い」してしまったのです。


これらの契約はしばしば政府会計の帳簿外(off the books)で処理され、また返済義務のある債務(loan)も資産売却(sale)として虚偽に計上されています。

欧州連合(EU)のお目付け役としてちゃんと各国が財政規律を守っているかどうかをチェックするユーロスタット(EU統計局)は昔からこうしたギリシャの証券化のディールに批判的でした。

こうした「飛ばし」問題に加えてギリシャの統計局(NSS: National Statistical Service)の数字の信憑性も問題にされています。

例えばギリシャでは去年の10月にそれまでの新民主主義党に代わってギリシャ社会主義運動((PASOK)が政権に就きましたが、新政権はいきなりギリシャの財政赤字がそれまで言われていたGDPの3.7%台ではなく、12.7%だと発表して世界の金融界にショックを与えました。

また2月2日には財務省の諮問委員会である統計監査委員会(committee on the reliability of statistics)が400億ドルの隠れた国家債務を「発見」したと発表し、投資家をあきれさせています。

今年740億ドルを借り換えようとしている国が新たに400億ドルの借金を「発見」したわけですから、投資家が不安になるのもムリはありません。

ギリシャの統計局は「数字は会計監査院(GAO)から渡されたもの」として自分たちは不正会計の濡れ衣を着せられていると抗議しました。

ギリシャのGAOは昔から政権と密接に連携しており、その独立性と業務遂行能力については疑問の声が上がっています。

結果として一体、ギリシャ政府の正確な負債総額は幾らなのだ?という素朴な疑問を投資家の誰もが抱き始めているのです。

ドイツによるギリシャの債務の保証は、そういう「目隠し状態」で合意されなければいけない羽目に陥っているのです。

ドイツ国民の理解を得ようとするとたいへんですね、これは。