ギリシャの「飛ばし」に対して欧州連合(EU)は「その実態を開示しなさい」と厳しく迫っています。

しかしこの追求は早くも腰砕けの様相を呈してきています。

それはなぜでしょうか?

実は事実究明を迫るEU各国も叩けば埃が出る身だからです。

今回、ギリシャが債務を過小報告するために使ったのは簿外取引(オフバランスシート取引)と呼ばれる手法です。

ところが広義での簿外債務は別にギリシャに限らなくてもEUの多くの国が抱えているのです。


その典型的な例が年金の積み立て不足(unfunded pension liabilities)です。

また医療制度や社会福祉プログラムの実施にあたっても「今はなんとか上手く回っているけれど、、、これから高齢化が進むと国の医療負担はどんどん増える」という危機感を持っている国は多いのです。

こういう未来の支出を全部合計して、お金がどれだけ足らなくなるか?ということを測るひとつの尺度がFI(Fiscal Imbalance=不足金)という概念です。

FI

もし莫大な年金の積み立て不足までもハッキリ開示しないといけないのなら、きまりのわるい思いをする国は続出します。

欧州各国は人口動態的にこれから高齢化社会を迎える国が多いです。

だから積み立て不足の問題はこれから本格化します。

その一方でEUに加盟したことによって安定化協定(Stability Pact)によって大きな財政赤字を計上できない事情になっているのです。

そこで各国は色んな言い逃れをしてこの実質的な簿外債務をちゃんとEUに報告せずに済ませているのです。

いや、正確に言えばEUには政府のこうした隠れた債務をちゃんと会計的に捕捉し、開示するための統一基準が無いのです。

「おいおい、寝た子を起こすようなことにならないかい?」

そういう各国の財務相の声が聞こえてきそうですね。