電子書籍の価格設定は未だ流動的な部分が多く、投資コミュニティにも良く理解されていません。

今日のニューヨーク・タイムズにこれに関する大変興味深い記事が出ていました。

早い話、従来のハードカバーの本の出版とアップルのeBookによる出版、そしてアマゾン・ドットコムのKindleによる出版のそれぞれのケースでの費用構造を分析しているのです。

先ずそれぞれの小売価格は:

ハードカバー(従来の出版) $26
アップルeBook $12.99
アマゾンKindle $9.99

です。

次に各方式における費用構成は下のグラフのようになっています。
出版のソロバン



なおアップルとアマゾンの場合、著者印税は二種類の計算方法(大手と中小の出版社によって異なるそうです)の「中値」を取りました。また出版社粗利は人件費、固定費などを差し引く前の数字です。

ハードカバーの小売り粗利はバーンズ&ノーブルやボーダーズなどの書店の取り分です。アマゾンがそのサイトでハードカバー本を売った場合の取り分も当然、ここから出ます。

なおアメリカでは新刊本はのっけからバーゲンでディスカウントして売られるケースが殆どで、その意味では$26という数字は「ありえない」と言っても過言ではありません。

■ ■ ■

このグラフを見て僕が感じることですが、著者の立場からすればハードカバーの印税が最も有利だということがわかります。そしてアマゾンが最も魅力がありません。

次に出版社の立場からすればアップルのeBookはハードカバー以上に魅力的であると言えます。また、この場合もアマゾンが一番魅力がありません。

もちろん消費者の立場からすれば$9.99という値段は最も魅力的です。

つまりこれらのことからアマゾンは主に消費者寄りの価格戦略を取ることで電子書籍の普及に挑戦し、後発のアップルは主に出版社や著者に有利な条件を提示することでコンテンツの獲得を狙っているという風に理解出来るでしょう。