金融危機で深い傷を負ったシティは米国政府が尻拭いすることで窮地を脱しました。

その後、シティは200億ドルを政府に返済しましたが、未だ残りの250億ドルを今後返済する必要があります。また米国政府はシティの27%株主になっています。

機関投資家の多くは米国政府がシティの株式を大量に保有しているのでフィデューシアリー・デューティー(=最終受益者に対する責任)が果たせないとしてシティの株を敬遠しています。

3月半ばにロックアップが切れれば米国政府がシティの株式を処分するという読みを持つ投資家も多く、彼らは先回りしてシティの株をショートしています。

最近、クレジットカード・ビジネスに対する行政指導は強化されました。また不良資産の評価に対する不透明感も依然として根強く残っています。

結果としてシティ株は株価純資産倍率で0.64倍に放置されています。
C
それではシティは駄目な要素ばかりなのでしょうか?

僕はそうは思いません。

先ずクレジット・カード業界全体の焦付きはどうやら峠を越えつつあるように見えます。残念ながらシティのクレジットカード・ビジネスは未だ焦付きが増加していますが、いずれ他社に追従する形でこれは峠を越えると思われます。

シティはトレーディングのリスクをバッサリ落とし、バランスシートを大幅に圧縮しました。

ティア・ワン・キャピタル・レシオは11.7%で自己資本比率は問題ありません。

シティのグローバル・バンキングのフランチャイズはやっぱり魅力的だし、切り売り出来る資産は沢山あります。実際、プライメリカ部門、ヘッジファンド部門などは売却の商談が既に始まっています。

先日、英国プルデンシャルがAIGのAIA部門に買収提案したとき、その提示価格のアグレッシブさに世界の金融関係者は「はっ」と息を呑みましたが、シティがいろいろな部門を売り物に出し、オークションが始まれば思わぬ高い値段で買われてゆくことも十分考えられます。

つまり今のシティはひとつのメガバンクとしてより、バラバラにした方が価値が高いのです。

いまシティには4億株もの空売りが乗っています。つまりファンダメンタルズを度外視した、シティ株をオモチャにする空売り筋が乗っているのです。

米国政府もシティのCEOのヴィクラム・パンディットも「シティはどんどん資産を切り売りして、小さくなるべきだ」という点で意見の一致を見ている以上、資産売却は粛々と行われるでしょう。その場合、余りに「売り安心」になっているのは逆を突かれる可能性も高いと思います。