FTアルファヴィルのグウェン・ロビンソンによると人民元の切り上げが間近に迫っているのでは?という観測が再び出ているのだそうです。

今回、その憶測を呼んだ直接の原因は全人代で中国政府が:

人民元がドルにペグされているのは「暫定的な」状態である

という現状認識を打ち出したからです。

中国政府が人民元の切り上げを検討している理由はインフレ圧力が蓄積しているからです。

ロイターのコンセンサスによると中国の2月のCPIは2.3%、PPIは5.2%になると予想されています。

FTアルファヴィルの別の記者、イザベラ・カミンスカはヴァリアント・パーセプション社の調査レポートを引用して、インフレの原因はM2の増加が原因だと指摘しています。
中国M2
なるほど上のグラフを見ると今回のM2の増加率は以前のサイクルより大きいので、CPIも今後かなり上振れするリスクがあるように見えます。

これに対して中国政府はリザーブ・リクワイアメント・レシオ(準備率)の引き上げで対応していますが、「まだまだ手ぬるい」というのがヴァリアント・パーセプションの評価です。
中国リザーブ・リクワイヤメント


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さて、日本の投資家はほぼ全員、「人民元の切り上げは中国株にとってプラスだ。なぜならかつて日本もバブル時代はそれを経験したから」という意見で一致を見ています。

僕が証券界に入った時には「トリプル・メリット」ということが盛んに唱えられていました。

「トリプル・メリット」とは円高、低金利、原油安です。

なるほどこの3つの要素が重なり合ったからこそ日本株のバブルが至現したというのは紛れもない事実なのかも知れません。

でもそれが今日の中国にそっくりそのまま当てはまるかどうかと言えば、僕としては判断つきかねる部分が多すぎます。

一番目の「円高」の箇所に「人民元高」が代入されるのはわかるとして、いつまでも低金利が中国で継続されるかどうかに関しては僕は自信アリマセン。

なぜなら、そもそも今回ドルとのペグをやめると中国が言い出したのは貿易や外圧という視点では全然無くて(=それが原因なら中国は頑強に抵抗するでしょう)むしろインフレ懸念という国内問題が関係しているからです。

さらに原油安に関しては80年代当時はオイルショックのバブルが弾けた後で、原油相場が79年頃の高値に戻る確率はほぼゼロでした。

でも今はそもそも「原油安」と言っていいのかどうかも判然としないし、何かの拍子に原油がどんどん高くなるリスクもかなりあると思います。

つまり当時の日本のバブルを構成した3つの要素が今日の中国にピッタリ当てはまっているとは言い難いのです。

それなのに「人民元切り上げ=外国からドハッとお金が中国に飛び込む」と頭から決めてかかるのは早計だと思います。