ベトナムの株式市場はジェットコースターのようなマーケットです。

ですから上手くタイミングを掴むと短期で儲かるし、相場を見誤るととんでもない失敗をします。

このように早乗り、早降りすべき市場なので臨機応変にトレードできる方法で参加することをお勧めします。

具体的にはベトナムまで行って現地の証券会社に口座をひらくという方法は、僕はお勧めしません。(実際、その方法が良いかどうか自分で現地に行って確かめましたが、「こりゃ、アカン」とおもいました。)

むしろ今はETFを使ってトレードしています。
僕はアメリカに住んでいるのでいちばん手軽に買えるのはマーケット・ベクターズ・ベトナムETF(ティッカー:VNM)です。

最近、日本からでもベトナムにトレードできるETFが登場しました。

Db x-トラッカーズFTSEベトナムETF(03087)

という商品です。上場は香港で僕の知る限りでは楽天証券で扱いがあります。(他にも扱っているところがあれば教えて下さい。)

【アジア諸国より南米と共通点の多いベトナム】
ベトナム経済のファンダメンタルズはアジアの新興国より昔のラテンアメリカ諸国との類似点が多いです。

普通、アジアの新興国は大体ガッチリとした輸出基盤が確立しており、貿易収支は黒字で、通貨は放っておけば強くなりがちです。

これに対してベトナムは輸出基盤がぜい弱で、主な輸出品目である靴、コーヒー、お米などは為替がドン高になるとイチコロで競争力を失います(=その場合、普通、シェアを伸ばすのはタイランドです)。

このように少しでも為替がドン高に振れると輸出が振るわなくなるので外貨準備もお粗末です。

面白いものでかつてアメリカの投資家がメキシコ市場に熱を上げたように、アジアの投資家はベトナム市場が大好きです。

そういう海外からの株式や不動産に投資する投機マネーが流入するとベトナム経済は経済そのものの底が浅い(lack of market depth)ためすぐインフレ気味になります。

するとベトナム人は逆にドンを嫌い、ドルやゴールドを退蔵しようとするのです。

これは昔、アメリカ人が一生懸命ペソやレアルを求める一方で、回転ドアのようにラテンの現地の人のお金が海外に資本逃避したのと酷似しています。

現在、ベトナムの財政赤字はGDPの10%程度であり、景気刺激のための財政支出は政府金融機関を経由して撒布されているのですが、大半は不動産投機や株式市場に向かっています。これはインフレを助長する要因です。

因みに1月のインフレは7.6%になっており、政府のターゲットを大幅に超えてしまっています。

ベトナム政府は「もうこれ以上ドンを支えきれない」と判断し、去年の11月と今年の2月に2回にわたってドンを切り下げました。

ドンを切り下げると輸入品の価格が高騰するのでインフレが一層ひどくなります。普通、ベトナムでは家電製品、自動車、お菓子、乳製品が値上がりの対象になります。

現在はインフレ率に対して金利が安すぎるのでベトナム市民はドンを持とうとしません。なぜならドンの価値が目減りするからです。実際、グレー市場でのドンの為替相場はもうかれこれ1年以上も公式レートの下限を割り込んだ水準に落ちています。

さらにインフレで「賃上げして呉れ」という要求が出て、その結果、労働争議も増えています。

若しある時点で突発的に外国の投資家のベトナムに対するコンフィデンス(自信)が損なわれ、資金引き揚げが始まった場合、外貨準備は払底すると思います。

その場合、外国人投資家の本国への資金引き揚げが制限されるなどの緊急措置が取られるケースも想定しておかねばなりません。実際、昔はリパトリエーションに対するペナルティーとして税金が課せられたことがあります。

また突然、配当やキャピタル・ゲインに対する課税や留保(withholding)措置が取られる可能性もあると思います。

僕が現地に送金せず、専らETFでベトナム株をトレードする理由はそこにあるのです。

なおdb x-トラッカーズのエクスペンス・レシオが0.85%とアメリカなどで上場されている有名なETF(例SPY)に比べて割高なのは現地の株式手数料や為替手数料、その他、ファンドを維持運営するためのオペレーティング・コストがそもそもぜんぜん違うわけですからこれは高くて当然です。
(現地に口座を開いて株式を取引するコストと比較してみて下さい。)