シスコ(ティッカーCSCO)が新製品を発表しました。

【基幹ルーター】
その新製品とはキャリアー(=通信会社)のネットワークの基幹を構成するコア・ルーター、CRS-3です。シスコが基幹ルーターを更新するのは5年ぶりです。
Takeaways


CRS-3は322テラバイトの処理速度を持っており、これは現在の主力製品、CRS-1の3倍です。

322テラバイトの処理速度はアメリカの国会図書館(Library of Congress)の全ての蔵書を1分でダウンロードできる速度です。

別の喩え方をすれば中国の国民の全員が同時に別々のビデオ・コールに参加できるキャパシティです。

また過去に人類が作った全ての映画を4分でダウンロードできる速度という言い方も出来ます。

世界のインターネットの基幹をなす、所謂、「IPコア」がどういうサービスを想定しているかによってインターネットの世界観が決まってしまいます。その意味ではシスコがCRS-1を設計したときに想定したのはボイス(音声)を運ぶネットワークという発想でした。

現在のシスコの世界観は「すべてがビデオになる」というものです。

別の言い方をすればインターネットがこれまでのメッセージングのプラットフォームではなく、メディア・エクスペリエンスの媒体となるというものです。

ビジネスの現場ではビデオを中心としたコラボレーションが生産性を向上するという考え方を持っています。そしてこれが医療の現場や官公庁や教育機関や企業の能率を向上する秘密兵器だと考えています。

シスコは単なるネットワークの配管工としてではなく、サービス全体を提供するパートナー企業になりたいと考えています。

具体的にはサービスのロールアウトまでのスピードを速くすること、ネットワークがちゃんとスケールすること、ネットワークのフレキシビリティなどに常に気をつけるということです。

最近、グーグルが超高速のインターネット・サービスの実験ネットワークを構築すると発表しましたが、グーグルがやっていることは既に世界に存在するインフラストラクチャを無視して、更地の状態から理想のネットワークを構築すれば、どうなる?という試みであり、白紙の状態から始められるのなら誰も苦労しません

でもそれは長年通信サービスを提供してきたAT&Tなどの企業を見下げた態度に他なりません。

現実としては企業はすでにある経営資源や顧客との関係の上に成り立っているのです。

だからシスコは通信会社をはじめとした顧客企業の既存の資産や経営資源をどうやって生かしながらパワフルなサービスをすることを可能にするかを考えているのです。

そこでNPS(ネットワーク・ポジショニング・システム)という、ネットワーク内のどこのリソースを活用すればいちばん確実にサービスを提供できるか診断するシステムを考え出しました。これによりネットワークのオプティマイゼーション(最適化)を図ろうと考えています。

またシスコはユーザーのワイヤレスの端末でも、いつでも、どこでも普通にビデオが楽しめるというのが当たり前の世の中になるというビジョンを持っています。

【顧客のフィードバック AT&Tの場合】
AT&Tのバックボーンではインターネット・トラフィックは年間40%成長しています。とりわけビデオは80%成長しています。さらにモバイルのトラフィックは過去3年で5000倍も増えました。

AT&Tはアメリカ国内での全てのモバイル・ビデオの半分を処理しています。

そこで40ギガではもう駄目で、100ギガのテクノロジーがゼッタイ必要になっています。シスコのCRS-3を使って、現在、商業ベースで稼働している生きたネットワークを使用して100ギガの実地テストが終了しました。