若し日本でも日銀による日本国債の引き受けが始まれば、それが我々の国民生活に与える影響はどのようなものになるのでしょうか?

僕はこの問題を考えてみるために実際にそれが実行されたイギリスで起こった事を調べてみました。

結論としては英国におけるQE(量的緩和政策)やインフレ・ターゲティングは次のような結果を生んだと思います:

1. 確かに経済が大恐慌に陥ることは回避できた
2. でもその効果は経済の隅々にまでは行き渡らず、特定業種のみが恩恵を受けた
3. さらに所得階層で言えばリッチ層だけが恩恵を受けた
4. 資産を余り持っていない人、とりわけ株をやっていない人は「負け組」になった
まず英国の量的緩和政策の実施が大恐慌の回避に役立ったことは明白です。そうでなければ今ごろFTSE100指数は去年の3月に比べて+51%も騰がっていないと思います。

しかしイングランド銀行がHM Treasury(英国大蔵省)の出すギルト債をガンガン買い込むという行為には、賛否両論沸き起こっています。

確かに銀行の資金調達コストは下がりました。

しかし消費者にとって住宅ローン金利やクレジット・カード金利などは余り下がりませんでした。下のグラフは英国のシンクタンク、センター・フォーラムの資料です。(以下全て同じ出典)
英国の個人の借入れのコスト

結果として銀行の住宅ローンの貸付マージン(黒色の部分)は拡大しています。
英国の銀行の住宅ローン利鞘

一方、融資自体が増えたか?という問題については、余り改善は見られません。
先ず個人への貸付。増えていません。
英国の個人への貸付の成長率

次に企業への貸付。
英国の企業への貸付


結果として量的緩和政策は英国政府から金融機関に対する「ミルク補給」の道具としては上手く作動し、銀行はかなり体力を取り戻しました。

銀行が倒れ、それが株式市場の混乱を招くという不安が無くなったこと、さらにじゃぶじゃぶの余剰資金が株式市場に流れ込んだことから株は最初に書いたように去年の3月の安値より50%も騰がりました。

その結果、株式投資を活発にやっている裕福層は主に株(グレー部分)の上昇から資産を増やしました。その一方で株式投資を余りやっていない庶民の資産は余り増えませんでした。
英国の所得階層別資産増加


つまり貧富の差は拡大し、不公平は拡大したのです!

なお英国の住宅価格は日本のバブル崩壊後のようにズルズルと下がるのではなく、意外に高止まりしてしまっています。
英国の住宅価格


僕は日本には住んでいないので日銀による国債引き受けの議論がどう進展しているのかは皆目わかりません。

でもイギリスで起こったことを見れば、大体、国民ひとりひとりがどうやって生活防衛をすべきかという方法論は想像がつきます:

1.日銀による国債買い入れのニュースが出たら、株を買うべし
2.その場合、銀行が恩恵を蒙るわけだから、銀行株が良い


PS:あ、それから日銀による国債引き受けをやらない場合ですけど、既に量的緩和をガンガンに実施している英国や米国の株を買う事で無策な日本政府のウップンを晴らすという方法も、当然、真剣に検討して下さい。