現地時間3月21日(日曜日)の午後にいよいよ医療保険改革法案が下院で投票に付されます。
この法案への支持を呼びかけるためオバマ大統領はアジア歴訪を中止し、ラストスパートをかけています。必要票数の216票に到達できるかどうかは、いまのところ判然としません。

そこで3月18日に最終案の示された医療保険改革法案(「ヘルスケア&教育アフォーダビリティ法」)の骨子をカンタンにまとめておきます:

【個人への影響】
米国民と合法的居住民全員に医療保険加入を義務付ける。医療保険に加入していない個人には所得の2.5%の課徴金を課す。但し、経済的困窮、宗教上の理由、インディオ、医療保険を喪失して3ヶ月以内の者、不法滞在者などは例外とする。


【企業への影響】
従業員50人以上の企業で医療保険を提供しない企業には従業員一人当たり2000ドルの課徴金を課す。

【政府の医療保険】
政府は非営利の公的医療保険プランを設立し一般大衆に提供する。

【保険の選択】
中小企業はコストを検討したうえ、有利と思えば上記の公的医療保険プランを採用できる。自営業者も同様。既に会社に雇われている個人は現在提供されている医療保険を継続できる。

【メディケア、メディケイド制度の変更】
メディケイドを65歳以下で、年間所得が2.93万ドル以下の家族へも適用拡大する。

【既存の民間の提供する医療保険へのインパクト】
既往症のある個人を医療保険でカバーできるように全国的基金を設置する。医療保険提供会社は臨床コスト、サービス・コストなどの内訳報告書を提出し、必要なら消費者に割戻金(リベート)を出す。事務の簡素化ならびに費用の軽減のため、標準化したペーパーワークの手順を確立する。
初期個人負担分(deductibles)に関し、個人は2000ドル、家族は4000ドルの上限を設定する
保険会社が医療保険掛け金を余り値上げしないように連邦政府が監視機関を設立する。保険会社は申請があってから90日以内にカバレッジを開始しなければいけない。すでに保険に入っている個人や保険を提供している企業については今回の法律の規定から適応除外とする。但し、既存のプランでも26歳までの若者は「扶養家族」のカテゴリーとして家族プランでカバーすることを義務付ける。なお、既存の保険契約で生涯上限コスト規定のあるものは、その規定を廃止する。また既存の保険で既往症のある個人への保険提供の拒否条項があるものに関しては、これを拒否できないこととする。
【コスト】
一昨日CBO(中央予算局)が発表した試算によると新しいヘルスプランは向こう10年で9400億ドルのコストがかかるそうです。


さて、この法案が若し下院を通過しなかった場合はナンシー・ペロシ下院議長の威信は大きく傷つくでしょうし、オバマ大統領も早々に「レーム・ダック化」する危険性があります。

反対に医療保険改革法案が成立すればオバマ政権は勢いを取り戻し、返す刀で新金融規制法案などへの取り組みも活発化すると考えられます。なお直近のヘルスケア関連株の動きをみると医療保険改革法案が成立するリスクは株価に織り込まれていない気がします。若し同法案が成立したらそれらの銘柄は急落するだろうし、新金融規制法案に対する懸念も再燃することからメガバンクの株も売られると思います。