先日、Twitterを見ていたら「これからNHKスペシャルでテレビ・新聞の未来に関する番組がながれるけど、その裏番組がUstreamで流される」というつぶやきがありました。

そこでさっそくリンクをクリックしたら、なるほど、居る居る。デジタル・メディア時代の旗手が勢ぞろい。みんな缶ビールを「プシュッ」とあけながら本番を待っている、、、

オモテの方の番組が実際に始まっても裏番組のメンバーは別に熱い議論をたたかわせるわけでもなく、おつまみをポリポリ食べる音とか、裏方の女性(画面には映っていなかったけど)が眠そうに何度もあくびする音とか、そんな無意味な光景だけがダラダラ流れました。

その徹頭徹尾何も起こらないユルさには『ゴドーを待ちながら』を観劇しているような感覚をおぼえました。

(ふうん、おつまみをポリポリ食べている光景に7000人も視聴者がつくのか、、、)


Ustreamを利用したイベントや、実況中継は今後どんどん増える予感がします。実際、金融情報サイト、モーニングスターは今度「ネット時代の日本の投資信託を語る」というタイトルでUstreamとTwitterを駆使してネット上での対談を行います。

上のNHKスペシャルのときもそうですが、視聴者はテレビではオモテの番組をつけて、ネットではUstreamで裏番組を映し、しかもiPhoneでコメントのタイムラインを追うと言う聖徳太子モードだった人が多かったようで、これはもうデジタル・メディア版セックス依存症的なすごい帯域幅の浪費(?)が起こっているわけです。

で、僕は株の人間なので、何事も株に結びつけて考えてしまう悪いクセがあるのですが、ダダ漏れ関連銘柄は今年のテーマだと思っています。

具体的には:

アルカテル・ルーセント(ALU)
アドトラン(ADTN)
テルラブス(TLAB)
カリックス(CALX)

などに注目しています。

これらはいずれもネットワーク機器のジャンルに属する銘柄です。

ネットワーク機器への設備投資はここ10年くらい「なるべく後回しにする」という態度を事業会社も通信業者も持ってきました。だから景気全体の回復よりもこの業界の回復は遅れるというのがコンセンサスの考え方になっています。

僕はその考え方に反対です。

なぜなら先ず業界全体の営業マージンのトレンドや売上高のトレンドを見た場合、思ったほど落ち込みが無いからです。実際、営業マージンのボトムは金融危機が始まる前の2007年(14.9%)であり、今では逆にマージンは拡大(18%)しています。一方、売上高のボトムは2008年でした。

これらのネットワーク機器企業のだいじなお客さんであるキャリアー(=通信会社)ですが、ボロボロのイメージとはウラハラにキャッシュフローは極めて安定的に推移しており、設備投資余力はあります。

またオバマ政権は所謂、ブロードバンド振興政策を実施しており、これから「ばらまき公共工事」の恩恵を受ける企業が多いです。(上に列挙した銘柄の大半はその享受者です)

さて、上の銘柄の中で僕が特に注目している株はアルカテル・ルーセント(ALU)です。

自分でそう言いながら、僕は自分自身にチョッと驚いています。なぜならアルカテル・ルーセントというのは長らく「駄目会社の見本」みたいな企業で僕の大嫌いなタイプの会社だったからです。

ルーセントはもともとAT&Tからのスピンオフで、通信業界のエンジニアなら誰でも知っている、由緒正しい「ベル研」を継承した母体です。

そういう血筋の良さからルーセントの従業員は人一倍気位が高いです。社風は官僚的で変化に対する対応はのろいです。

ニュージャージーのルーセント(昔のベル研のキャンパス)に行くたびに、そのラビリンス(迷宮)のようなオフィスの時代遅れさには呆れました。(僕が普段、シリコンバレーの企業の開放的なオフィスに慣れているせいかもしれないけど)

そんなわけで、僕にとって「買いたくない株」の筆頭がアルカテル・ルーセントだったのです。

でも最近はだいぶ様子が変わってきていると感じます。

先ずアルカテル・ルーセントは長年のひどい財務パフォーマンスにもかかわらず、ちゃんと研究開発費だけは売上高の15%程度(!)遣っており、最新鋭の製品への努力を怠っていません。

実際、3Gの後に来る、LTEでは他社を圧倒する新製品群を出しています。

でもそういう素晴らしいプロダクト・アナウンスメントがあっても、ウォール街はぜんぜん同社に関心を払っておらず、カンファレンス・コールへの参加者の少なさは本当に気の毒なくらい。

昔、ドットコム・バブル時代は投資家の関心は極めて高く、株式市場から資金を調達するのにも全然困りませんでした。でもどんどん増えるキャパシティに対して帯域幅の消費の伸びは遅く、(何かキラー・アプリが出て呉れないかしら?)と神風が吹くのを心待ちにしたものです。

今はキラー・アプリは出まくりです。一億総ダダ漏れ時代ですから。

これらの銘柄をむしばんでいるのはウォール街の無知と無関心です。