(ウォルト・モスバーグもそろそろお払い箱にされるべきだな)

これがウォール・ストリート・ジャーナルのハイテク新製品の批評を担当しているコラムニスト、ウォルト・モスバーグのiPadレビューを読んで、僕が真っ先に感じたことです。

モスバーグはアメリカの新製品の評論家としては最も名前の通った人のひとりです。今回のiPadに関する彼のレビューもとても話題になりました。なぜなら「game changer(ゲームの流れを変える)」という言葉が使われているからです。

しかし、、、

モスバーグの指摘には(こいつ本当にわかっているのかな?)と首を傾げたくなる記述も随所にあります。

例えば、、、

「iPadにはキーボードが無い、USBポートが無い、、、若し人々がiPadを単なる持ち運びができるもうひとつのデバイスだという風に認識したのなら、その製品としての魅力は限定的だろう」

と書かれているのです。

僕の家の場合、4人家族で既に8台のノートパソコンが溢れています。でもこんな家庭は別に珍しくもない筈です。

するとこれ以上、キーボードがついていて、どこでも仕事が出来る生産性ツールなんて必要ないし、とっくの昔にover satulation(=普及しすぎ)になっているのです。

むしろ機能性を限定し、使用目的を限定したデバイスの方が良いわけです。

新しいテクノロジーが登場すると、最初は「あれもできる、これもできる」という多機能性が追及されます。

でも商品が洗練され、消費者が洗練されてくるともうあれこれ新しいbells and whistlesをくわえる事では商品の差別化にはならないし、需要を喚起することは出来なくなるのです。

余分なものをバッサリ削ぎ落し、必要なものだけに特化したdisruptive(破壊的)な商品が登場するチャンスが到来するのは、そういう瞬間なのです。

例えばSONYのウォークマンは音楽再生装置なのにスピーカーが無いという意味で革新的な発想であり、game changingだったのです。

つまりすでに世の中に出回っている商品に(なにが付け足せるか)という発想は凡人の発想であり、大体、成功しないビジネスマンの考える事です。

そうではなく、今皆が使っている商品の機能性のうち、何が邪魔か?という発想が出来る人は真に創造力(クリエイティビティー)があるし、バッサリ不要なものを削ぎ落した製品やサービスには訴求力があります。

これは別に僕が言い始めた事ではなく、「Innovator's dilemma」でクリスチャンセンが主張していることです。

くどいようですがアップルにとってiPadにUSBポートを付けることなど朝飯前に簡単なことです。いや、もっと正確な言い方をすれば気をつけていないと日頃の習慣から無意識にUSBポートをデザインのなかに組み込むという過ちを犯してしまうのです。

何が切り捨てられたのか?

そしてそれはなぜ不要なのか?


そういう事をじっくり考えられない評者はリビューアーとしては失格です。