ここまで考えてくるとグローバル・マクロというのは結構、上級編の投資ストラテジーだということがおわかりいただけると思います。そんな難しいトレードを個人投資家が真似して上手くゆくのか?という素朴な疑問が出ます。

確かにグローバル・マクロ・マネージャー達のバトルは我々がカンタンに関われる類の生易しいものではありません。

ただ個人投資家にはグローバル・マクロ・ヘッジファンドより圧倒的に有利な点があります。それはトレードする資本が小さいので小回りが利くという点です。

有名なグローバル・マクロのヘッジファンドは数十億ドルもの資金を運用しています。しかも投資リターンを上げるために10倍から数十倍ものレバレッジを利用することがあります。すると莫大な資金を投入できる投資対象でないと駄目だし、一日でカンタンに出たり入ったりできないのです。

つまりスーパータンカーみたいなものです。

するとそれらの巨大ファンドがどう動いているかということはウォール街じゅうに察知されてしまうし、そういう手の内がバレている中でトレードを成功させないといけないのです。

ヘッジファンドがそういう風にポジションを建てる事をインプリメンテーションといいます。

インプリメンテーションは細心の注意を払って実行されます。でも手口がバレないことは稀です。

だから例えばジョージ・ソロスなどの場合でも別に自分がどう考えているか、自分がどういう投資戦略をしているかはそれほど包み隠ししません

他の有名なヘッジファンド・マネージャーの例でいえばジョン・ポールセンはサブプライム問題が発生したとき大儲けした人ですが、今はゴールドを買っています。エンロンの崩壊を予測したジム・チェイノスは中国経済の減速を予言しています。またリーマンの破綻を予言したデビッド・アインホーンは日本国債をショートしています。

このように大体、有名な人がやっていることは新聞などにも書いてあるし、それほど苦労しなくて知ることができるのです。



それではなぜ一般投資家はそういう有名人のトレードを模倣することから利益を得ることができないのでしょうか?

それはどうしてかといえば彼らのそういう相場観は世間的に言って常識から外れているし、容易に受け入れがたい発想ないしは価値観だからです

だからこそみすみす有名なヘッジファンド・マネージャーが或る特定の相場観に基づいて動いていることを知りながら、それに合流できないのです。

つまり耳を澄ましてそういう卓越したグローバル・マクロのマネージャーの言っていることを聞くことが大事だし、自分の先入観を疑って、まったく正反対の視点から物事を考え直してみることも必要なのです。

そしてなぜかれらがそう考えているのかの理由を或る程度理解するように努めて下さい。

一回破綻がくればそこから提灯をつけることは簡単に出来ます。