ホンダのトランスミッション(変速機)工場でのストライキが話題になっています。

ニューヨーク・タイムズの解説では変速機の工場は生産ラインが長く高度に自動化されているためひとつの工場を作るにも10億ドル程度の先行投資を必要とする、最もお金のかかる工場なのだそうです。

そのような変速機工場で生産されたトランスミッションは普通、他の複数の組立工場に出荷されるため、変速機工場でストがあると他の工場も全部止まってしまうのは当然なのだそうです。

このため自動車メーカーは変速機の工場の立地選択にあたっては最も労使問題がおこりそうでない、政治的に安定した土地を注意深く選定します。

しかし今回はそういう肝心かなめの工場が見事にストップしてしまいました。

しかも普通中国では労働争議に関する報道は厳密に報道管制されており、ストライキの情景が「ダダ漏れ」になることは稀です。


ところがホンダにおけるストライキは:

And perhaps most remarkably, Chinese authorities are letting the strike happen – in a very public way. (特筆すべきは中国の当局がこのストライキが起こるままに黙認しており、しかもデカデカと報道されているという点である)

とニューヨーク・タイムズもその異例さに驚いています。

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中国では最近物価が高騰しており低所得者の暮らしは苦しくなっています。また不動産バブルでマイホームの夢は遠のくばかり。

そんな事で工員さんたちの不満はだんだん鬱積しているのかも知れません。

もちろんホンダだけが労使問題を抱えているわけではなく、先週はアップルの下請をしているフォックスコン(台湾企業)でも相次ぐ従業員の飛び降り自殺問題で経営陣が台湾から急遽工場を訪れ、記者会見を開くという事件がありました。

だからこの問題は特定の企業の問題というよりもマクロ経済のイシュー(争点)として捉えるべきだと思います。

賃金上昇圧力は食品価格の高騰や原油の値上がりなどの様々なインフレの中でも最も厄介なインフレです。なぜなら賃金インフレのエクスぺクテーション(期待)はスティッキー(粘着質=つまり一度それが発生すると抑え込みにくい)だからです。