そのロードショウは結論から言えば経営陣は「役不足」で事業計画は詰めが甘く楽観的見通しを目一杯詰め込んだ印象でした。

先ず(駄目だな)と思ったのはIPOロードショウのプレゼンテーションで2回もプロモーション・ビデオを上映した点です。

普通、ロードショウでビデオを投資家に見せる企業は何か隠すべき弱みがある企業です。

1回ならず2回もビデオを見せた会社は私が知る限りテスラが初めてです。(もっともこれは主幹事であるゴールドマンの担当者が適切なアドバイスをしなかったせいだと思います。)

また財務的な数字の面では極めて漠然とした概念ばかりが語られ、具体性に乏しかったです。


テスラ

(出典:テスラIPOロードショウ)

これまでにテスラは通算830台(2009年現在)のロードスターを販売しました。ロードスターの単価は10.15万ドルです。

現在までに予約待ちのウエイティング・リストはほぼ消化し、今後の売り上げに関するビジビリティ(=数字が読めること)はありません。

次の主力製品としてはモデルSというセダンを計画中です。モデルSは2012年から販売される予定で価格設定は4.99万ドルを見込んでいます。

モデルSは一回の充電(45分)で300マイルの走行距離を想定しています。またバッテリーをスワップする場合はその所要時間は1分だそうです。0から60Mphへは6秒という加速だそうです。

モデルSの売り上げ見込みは2万台が想定されています。

量産に際してはトヨタから買い受けた旧ニューミ(NUMMI=トヨタとGMのJV→今年閉鎖された)の工場を使用します。

乗用車以外の収入源としては電機自動車のパワートレインのノウハウをダイムラーとフレートライン(バンの会社)に提供することで売上の足しにします。

また、「たぶんトヨタともパワートレインの技術提供契約を結ぶ」と語っていました。(これは正式契約していないと思うのでロードショウで未確定の商談について語るのはルール違反だと思います。)

テスラのビジネス・モデルの特徴としては一般のカー・ディーラーを使わず、自社のショールームを展開し販売、アフターサービスをやるという点です。

これは「しばしば利害相反のあるメーカーとディーラーとの関係を是正したいから」という風に説明されていましたが、本音としてはバッテリーなどのサービスにどうしても店舗が必要なのだと思います。

また事業資本の内訳を見るとDOE(エネルギー省)の低利ローンが4.65億ドルあり、これが最も重要な資金源となっています。これにトヨタからの出資5000万ドル、IPOから得る調達資金1.35億ドルなどを加えたものが当座の運転資金となります。

現在のグロスマージンは19%で、長期のビジネス・モデルでのグロスマージンは25%を想定しています。想定営業マージンは12から16%です。

また損益分岐点は普通の自動車のビジネスより低くなるという説明でしたが、具体的な数字の提示はありませんでした。

【その他の条件】
今回発行株数:1110万株
うち新株:1000万株
うち既存株主からの売出し:110万株
初値設定:14から16ドル
値決め:6月28日の週
ロックアップ:180日
ティッカー:TSLA