堀江貴文さんがまた僕の書いたものに突っかかってきている ので反論したいと思います。

先ずイーロン・マスクをいじめているのは僕だけのような書き方をしていますが、グーグルでイーロン・マスクのニュースを検索してみて下さい。彼を揶揄する記事はごそっと出てきます。

僕の記事の中でも「マスクの事がNYタイムズなどで話題になっているから取り上げた」とちゃんと断ってあります。

「懲りてない」と言いますが、マスクのライフスタイルに関してはこのようにいろんなメディアが筆誅しているのです。


ただ日本人の多くはその事実を知らないし、誰も書こうとしないから僕が書いたまでです。

日本のマスコミは都合のいい部分だけ(たとえばトヨタがテスラに出資したとか)、表面的な部分だけは報道します。

だけどテスラがIPOされて投資できる対象となったあかつきには、この会社の良い点だけでなく悪い点を知っておくことも大事だと思ったのです。

堀江さんはベンチャーを立ち上げる人の立場から意見されており、その意見は貴重だしその言葉には自分で会社を立ち上げた人の言葉ならではの重みがあると思います。

それを断った上で投資家の知る権利はまた別の問題であり、一般投資家の利害は創業株主の利害とは必ずしも一致しません

「俺はこれだけいろいろ発明しているし世の中に貢献しているのだから、ちょっと金遣いが荒くたって大目に見てくれよ」というのは創業者の心情としてはとても理解できるし、決して悪くないと思います。自分のカネでどう稼ごうとそれは本人の勝手であり、他人がつべこべ文句を言う筋合いのものではありません。

ただ堀江さんが勘違いしているのは次の箇所です。

企業が株式を公開し、一般の投資家のお金を預かった瞬間に、経営者には新しい責任というものが生まれるということです。

つまり株主のお金は自分のカネとは別であり、他人のお金はたいせつに扱う義務があるということです。さらに一般株主のために企業価値を極大化するという責務を負うのです。

そのためには経営者自身が別に「悪くない」と思っていても結果として企業価値を毀損するような行為(例えば自家用ジェットを乗り回すとか)は慎む義務を負うのです。

その部分でイーロン・マスクという人が適任かどうかは「?マーク」がつくと僕は主張しているわけで、別に彼の過去の功績を軽く見ているとか、そういうことはひとことも言っていません。

(なおマスクがペイパル以外の会社を興している事は当然、知っています。またペイパルが彼一人の努力で出来た企業ではないこと、つまり共同創業者がいたことも知っています。ペイパルが上場企業だったときには毎月のようにパロアルトの本社に訪問してましたから。)

僕はシリコンバレーのIPO案件に沢山関与したのでこれは自信を持って言えますが、IPOで調達したカネは自分の会社で自由になるカネだと勘違いしている経営者がいっぱい居ます。そういう勘違いをアメリカではOPM症候群(Other people’s money syndrome)と言います。「他人のカネはオレのカネ」というわけです。

でも「ゴーイング・パブリック(Going public)」、つまり株式を公開するということはもうそういう傍若無人な振る舞いを出来なくなる事を意味するのです。

さらに踏み込んで言えば全てのベンチャーが株式を公開しなければいけない筋合いは無いし、ベンチャーの経営者が株式の公開云々の前に先ず努力しないといけないのは本業のキャッシュフローから上手く会社を回せるようにすることです。

キャッシュフローがガンガン出せる会社なら、別に株式を公開する必要なんてぜんぜん無いのです。

テスラのIPOを僕が嘲笑したのは資金繰りがカツカツでどうしても「つなぎ」としてIPOし、一般投資家のカネを集める必要があるからです。そのへんの苦しい事情がみえみえだという事です。

苦しい台所事情というのはテスラという会社のレベルでもそうですし、イーロン・マスク個人の家計のレベルでもそうです。それが証拠に今回のIPOでマスクは自分の持ち株の一部(70万株)を処分(目論見書175P)しています。

普通、ちゃんとした経営者ならIPOのときに自分が一部「足抜き」するということははずかしくてやらないものです。