世界のマーケットは軟調に推移しています。このところの投資家の懸念はギリシャ危機やアメリカの財政赤字など、主に国家のバランスシートに対して向けられています。

投資家が国の財政内容にばかり気を取られている理由はリーマン・ショック以降、企業の経営者のマインドが冷え込んだので景気にカツを入れようとするとどうしても政府頼みにならざるを得なくなり、各国が財政出動した結果、親方日の丸やアンクル・サムの懐事情が限界にきているからです。

もう無い袖は振れない、、、

そういう状態です。無理して住宅ローンを組んだ消費者は今、持ち家の価値が下落して苦しんでいるし、新しい家が売れないので大工さんや不動産ブローカーの仕事もヒマです。

それではアメリカ全体が破綻の瀬戸際に立っているのでしょうか?

それはそうではありません。涼しい顔してsitting pretty、つまりこの苦境を苦も無くやりすごしている連中がいるのです。それもワンサと。


それは米国の大企業です。

彼らの多くはドットコム・バブルが弾けたときに痛い目に遭いました。そのときの教訓でバランスシートから負債を一掃し、リストラでスリム化し、最近のような不景気でも概ねキャッシュフローはウハウハで、サンキュー・ベラマッチャ状態です。

僕は1988年からアメリカに来てアメリカ株の財務内容とかを見てますけど:

1. いままでにこれほどバランスシートが鉄壁だったことは無い
2. バリュエーションが割安だったことはない
3. 米国経済が仮に良くならなくても業績的には余り心配ない
4. 債券の利回りと比べて株式配当がこれほど美味しかったことはない

という風にトータルで見てこれほど強かったことは過去にありません。

今週末の『バロンズ』に載った米国の大型株のバリュエーションの一覧表を見るとこのへんの様子がよくわかります。
バロンズ


「国が駄目なのに、、、なぜ企業のレベルではOKなの?」

と合点が行かない人も多いと思います。そのひとつの説明はきわめて保守的な企業経営だろうし、もうひとつの説明はグローバライゼーションだと思います。もちろんグローバライゼーションにはマイナスの面もあります。今ならユーロが安くなったので、欧州売上比率の高い企業のEPS予想がどんどん下がっている事がその例です。

7月14日あたりから始まる決算シーズンではユーロ安がかなり話題になると思います。その半面、ユーロが反転すれば今度は逆にユーロ安の悪影響を織り込み過ぎるという揺り返しも十分考えられるのです。

アメリカのマクロ経済のニュースと欧州のマクロ経済のニュースを比較すると、今はアメリカの方が圧倒的に悪いです。それはどうしてかというとアメリカの方が一足早く景気刺激策を打ち出して、その諸々のプログラムが今、終了しているからです。

これは良いことです。

なぜなら痛みを伴うことをわかって居ながら、今、アメリカはそれらのプログラムを「終わりにしようぜ」と言えるくらい景気の腰の強さに自信を持っているからです。

比較感でアメリカの方が突然悪くなっているので、ドル安に振れているし、ユーロの下落は止まりました。

これは今、主に対ユーロの為替を考慮することで引き下げられている米国企業のEPS予想の下落がゆくゆく止まることを意味するのです。