海運業に特化したIR会社、キャピタルリンクが先週の木曜日に投資家のためにウェビナーを開催しました。このセミナーでは最近のBDI(バルチック・ドライ指数)の低迷、ならびに需給関係や今後の見通しなどについてドライバルク市場の大手企業の経営陣が集結し、パネル・ディスカッションを行いました。出演したのは:
バビス・マザラキス、COO エクセル・マリタイム
マイケル・ボドウログロー、CEO パラゴン・シッピング
アキス・ツイリガキス、CEO スター・バルク・キャリアーズ
ジョセフ・ロイス、CEO TBS
マイケル・ウェバー、アナリスト ウエルズファーゴ証券
です。以下はそのパネル・ディスカッションを聞き取ったメモです:
バビス・マザラキス、COO エクセル・マリタイム
マイケル・ボドウログロー、CEO パラゴン・シッピング
アキス・ツイリガキス、CEO スター・バルク・キャリアーズ
ジョセフ・ロイス、CEO TBS
マイケル・ウェバー、アナリスト ウエルズファーゴ証券
です。以下はそのパネル・ディスカッションを聞き取ったメモです:
バルチック・ドライ指数は5月以来50%以上下落した。値幅的にも酷い下げだったが、35日連続安という容赦ない下げが印象に残った。先ずこのへんから議論を始めたい。
今回の下げはいろいろな要因が複合的に折り重なったのが原因だ。先ず中国が鉄鉱石の輸入にブレーキをかけた。これによって今まで港湾役務の遅滞から沖待ちになっていた船の待ち時間が短くなった。これは逆に言えばそれだけ稼働できる船の供給が増えたことを意味する。
中国が鉄鉱石の輸入にブレーキをかけた理由のひとつは鉄鉱石の値決めの方法がこれまでの年間契約から四半期契約に変わったことが大きいと思う。
中国は高値で鉄鉱石に手を出したくないと考えている。また今年の価格交渉に先立って在庫の積み増しも十分に手当てしてあったのでわざと注文をストップし、言わばポーカー・ゲームの駆け引きが始まったのだ。
加えて季節要因も無視できない。例年、夏場は発電所向け石炭は需要が減る。
統計を引用すると中国の鉄鉱石輸入は今年の上半期、前年同期比で-7%だった。しかし6月だけで見ると-15%にもなっている。
中国政府が建設活動を意図的に抑えていることも影響している。
これらの要因はいずれも一時的なものだと考えられる。
鉄鉱石や石炭は重量当たり単価が安いので大量に運んだ方が有利だ。そのためもっぱら大型のケープサイズのばら積み船が利用される。しかしH型鋼やプロジェクト・カーゴなどの製品を運ぶばら積み船はハンディサイズなど小形の船が利用されるケースが多い。こちらの市場はプロジェクト・カーゴが動いているので案外、強い。
傭船契約に目を転じるとスポット市場は急落しているが長期チャーターへの影響は限定的だ。実際、3から5年のチャーターへの関心は高い。従って長期契約のレートは15%しか下がっていない。これは市場参加者の多くが現在のBDIの下落をテンポラリーなものだと考えている証拠である。
中国の鉄鉱石と石炭の需要については、2010年の世界の海上鉄鉱石輸送需要の実に7割が中国からもたらされた。また製鉄用石炭の海上輸送の15%が中国である。加えて発電所向け石炭の海上輸送の8%が中国となっている。
この発電所向け石炭の8%という数字は一見小さいように見えるが、実は大事な数字である。なぜなら中国はこれまで近隣諸国に発電所向け石炭を輸出してきた。ところが最近はこれを輸出しなくなり、逆に輸入するようになった。これは近隣諸国の立場からすると近場の供給者である中国からの発電所向け石炭の供給が途絶えてしまったので、遠いところから輸入しなければいけなくなることを意味する。だから船腹の需要には8%以上のインパクトがある。インドも最近は発電所向け石炭を輸入しはじめている。
鉄鉱石の契約形態に関してはゆくゆく鉄鉱石は殆どスポット契約になると予想される。これはボラティリティーが上昇することを意味する。
今回の契約交渉に先立って、中国は通常の40日から75日へと鉄鉱石の在庫積み増しを実施した。現在はこの過剰在庫を消費している状況である。
当分、この在庫を食い潰すことで新規の発注を絞り込むことが考えられるが、ある時点でストックが払底する。従ってあと2ヶ月くらい市況は低迷し、第4四半期までには力強く反発すると考えるのが自然ではないか?
バーレは自社でばら積み船を購入している。
ブラジルだけでなく西アフリカでも巨大なプロジェクトが進行中だ。
一方、供給の方を見ると中国は新しい零細な造船所へのファイナンスを止めてしまった。巨大な造船所だけは生かしておく方針のように見受けられる。ダンピングは抑える方針のようだ。現在、世界で稼働しているばら積み船の52%に相当する受注残がある。これは当然、悪いことだ。しかしその一方でオーダーのキャンセルも出た。2009年には受注残のうち30%がスリッページ(遅延)した。2010年は15%がスリッページした。
欧米の銀行は新造船への融資に慎重になっている。そこでファイナンスがつかなくなったり、キャンセルになった注文の一部を中国の金融機関が肩代わりするケースが出ている。その場合でも全ての案件にファイナンスを付けるのではなく、零細な造船所は切り捨てられ、優良でスケールの大きい造船所が優先的にファイナンスを得ている。
今回の下げはいろいろな要因が複合的に折り重なったのが原因だ。先ず中国が鉄鉱石の輸入にブレーキをかけた。これによって今まで港湾役務の遅滞から沖待ちになっていた船の待ち時間が短くなった。これは逆に言えばそれだけ稼働できる船の供給が増えたことを意味する。
中国が鉄鉱石の輸入にブレーキをかけた理由のひとつは鉄鉱石の値決めの方法がこれまでの年間契約から四半期契約に変わったことが大きいと思う。
中国は高値で鉄鉱石に手を出したくないと考えている。また今年の価格交渉に先立って在庫の積み増しも十分に手当てしてあったのでわざと注文をストップし、言わばポーカー・ゲームの駆け引きが始まったのだ。
加えて季節要因も無視できない。例年、夏場は発電所向け石炭は需要が減る。
統計を引用すると中国の鉄鉱石輸入は今年の上半期、前年同期比で-7%だった。しかし6月だけで見ると-15%にもなっている。
中国政府が建設活動を意図的に抑えていることも影響している。
これらの要因はいずれも一時的なものだと考えられる。
鉄鉱石や石炭は重量当たり単価が安いので大量に運んだ方が有利だ。そのためもっぱら大型のケープサイズのばら積み船が利用される。しかしH型鋼やプロジェクト・カーゴなどの製品を運ぶばら積み船はハンディサイズなど小形の船が利用されるケースが多い。こちらの市場はプロジェクト・カーゴが動いているので案外、強い。
傭船契約に目を転じるとスポット市場は急落しているが長期チャーターへの影響は限定的だ。実際、3から5年のチャーターへの関心は高い。従って長期契約のレートは15%しか下がっていない。これは市場参加者の多くが現在のBDIの下落をテンポラリーなものだと考えている証拠である。
中国の鉄鉱石と石炭の需要については、2010年の世界の海上鉄鉱石輸送需要の実に7割が中国からもたらされた。また製鉄用石炭の海上輸送の15%が中国である。加えて発電所向け石炭の海上輸送の8%が中国となっている。
この発電所向け石炭の8%という数字は一見小さいように見えるが、実は大事な数字である。なぜなら中国はこれまで近隣諸国に発電所向け石炭を輸出してきた。ところが最近はこれを輸出しなくなり、逆に輸入するようになった。これは近隣諸国の立場からすると近場の供給者である中国からの発電所向け石炭の供給が途絶えてしまったので、遠いところから輸入しなければいけなくなることを意味する。だから船腹の需要には8%以上のインパクトがある。インドも最近は発電所向け石炭を輸入しはじめている。
鉄鉱石の契約形態に関してはゆくゆく鉄鉱石は殆どスポット契約になると予想される。これはボラティリティーが上昇することを意味する。
今回の契約交渉に先立って、中国は通常の40日から75日へと鉄鉱石の在庫積み増しを実施した。現在はこの過剰在庫を消費している状況である。
当分、この在庫を食い潰すことで新規の発注を絞り込むことが考えられるが、ある時点でストックが払底する。従ってあと2ヶ月くらい市況は低迷し、第4四半期までには力強く反発すると考えるのが自然ではないか?
バーレは自社でばら積み船を購入している。
ブラジルだけでなく西アフリカでも巨大なプロジェクトが進行中だ。
一方、供給の方を見ると中国は新しい零細な造船所へのファイナンスを止めてしまった。巨大な造船所だけは生かしておく方針のように見受けられる。ダンピングは抑える方針のようだ。現在、世界で稼働しているばら積み船の52%に相当する受注残がある。これは当然、悪いことだ。しかしその一方でオーダーのキャンセルも出た。2009年には受注残のうち30%がスリッページ(遅延)した。2010年は15%がスリッページした。
欧米の銀行は新造船への融資に慎重になっている。そこでファイナンスがつかなくなったり、キャンセルになった注文の一部を中国の金融機関が肩代わりするケースが出ている。その場合でも全ての案件にファイナンスを付けるのではなく、零細な造船所は切り捨てられ、優良でスケールの大きい造船所が優先的にファイナンスを得ている。







広瀬隆雄(Hirose Takao)
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