ピアソンは1844年に創業された出版社で、教育出版の大手です。さらにペンギン・ブックスやフィナンシャル・タイムズ(FT)を所有しています。

同社のビジネスのうち3分の1は公的教育に関連しているため、欧米の政府の財政赤字の拡大とそれによる教育予算の削減などに影響を受けやすいです。

しかも書籍(ペンギン・ブックス、DKブックスなど)や新聞(FT)のビジネスはいまデジタル革命の波の中に呑まれています。

これらのことから経営環境は極めて不確実性に満ちているのですが、今日発表された上半期決算では売上高+9%、営業利益倍増など、素晴らしい内容でした。

同社の業績が好調なのはデジタル革命を積極的に支持し、変革をアグレッシブに先取りしたことが原因です。

下の動画は同社の教育関連コンテンツのデモのひとつです。



ピアソンは長期戦略にフィットしない部門はどんどん売却し、その代わりにデジタル・コンテンツを中心に20社近くをここ数年で買収しました。

それらの買収したビジネスは平均して12%のリターンを上げています。

新聞不況が言われる中、FTの広告成長は着実に戻ってきています。またFTのコンテンツ・セールスも上昇しています。FTは今後広告への依存を減らし、サブスクリプション・モデルへの移行を一層推し進める計画です。

FTのオンライン・サブスクライバーは去年同期比で+30%成長しており、現在14.9万人のオンライン・ペイド・サブスクライバーが居ます。これは「良いコンテンツには人々はお金を払う」ということが実証されている例だと言えるでしょう。

さらにオンライン・ペイド・サブスクライバー当たりの収入が前年同期比+50%の伸びている点も注目されます。これは購読者数が少なくても、金融関係者のようにリッチな顧客により多くのコンテンツを利用させることで顧客当たり売上高を増やすというビジネス・モデルが可能であることの証しだと思います。

フィナンシャル・タイムズはiPad向けアプリのダウンロード数25万、iPhone向けアプリのダウンロード数40万など、新しいデバイスを経由してのコンテンツのデリバリーにもたいへん成功しています。