iStock_000005406634Smallいまある仕事をちゃんとやりながら、それと同時に「完全に会社どっぷり」の生活からどう抜け出すか?また、その限られた時間の中で自分の財産のリスク分散をどう実現するか?という話を前回までにしました。

さらに高齢化社会ではひと足先に資産形成を始めた層(いまの60歳から80歳くらいの人々)とポスト団塊ジュニア層(28歳から35歳)では財産作りを始める環境に大きな違いがあり、ただ漫然と昔流のやり方をやっていても成功しないという事も指摘しました。

さて、ここからが今日の話ですが、それではただ漫然と昔流のやり方を実行するというのは具体的にはどういう方法でしょうか?

私はこれを「十分な分散無き長期投資」だと名付けます。


よく「株をやるなら、長期で持て」という格言が持ち出されますが、僕は基本的にこの考えに賛成です。ただ2つの条件が付きます。

1. その長期保有対象がダメな対象でないこと
2. リスク分散があること

長期投資(=ここでは便宜上、1年以上とします)が効果を発揮するのは「売買のタイミングをしくじったとき、そのタイミングの下手さをある程度カバーすることができる」場合です。

でもそもそも投資対象が病に罹っている場合にはどれだけ売買のタイミングの下手さをカバーしてもその投資はいっこうに「開花」しません。

もちろんはじめから(これはたぶんダメな投資対象だろう)と思うモノに投資する人は居ないわけで、投資するときには(これがいいだろう)と思って投資するわけです。でも人間の知りうる事には限界があるし、予期せぬ事態が起こる可能性は常にあります。

リスク分散をするのはそのためです。

前回の話に戻ると海外旅行をするとき、スリに遭ったり、お財布を落とした時に完全にお手上げ状態にならないように、お金を2箇所くらいに分散する例を挙げました。

これは「何がおこるかわからない」から予防のためにやることです。

よく「成功する投資家は分散などしない。一点集中投資で勝負だ!」という議論をする人が居ます。なるほどネットなどで見るとそういう集中投資の成功者の話などが出てくるときがありますが、それは単純に失敗者の話は取り上げられないからに過ぎません。

一点集中投資の成功者(これは単に幸運だった人と言いかえられます)の話ばかりが目に入り、その陰に隠れている無数の失敗者の話が出てこないことを難しい投資の用語では生存者バイアス(survivorship bias)と言います。つまりサバイバルした人の数を数えるのは簡単だけど、失敗者の数を正確な統計にするのは困難だということです。

海外旅行でお金を2箇所に分散した場合、殆どのケースで(なあんだ、取り越し苦労だったな)という事になると思います。これを「骨折り損だった」と思う人はたぶんリスク分散の価値を理解できないだろうし、投資には向かないと思うのでこのシリーズを読み進める意味は無いと思います。これからも自分の強運だけに頼って生きて下さい。

もちろん一点集中投資の成功者が何度も成功する場合もあります。これはその人が本当に素晴らしい才能を持っているケースであり、称賛に値するケースです。つまり一点集中投資の場合、一度だけ成功するのではなく、そういう成功を何度も繰り返しているのであれば、それはそれで良いということです。このような評価尺度を成功の再現可能性(Success repeatability)と言います。

一般に成功の再現可能性を保証するためには高度に手順化された「投資過程(investment process)」を持つことが必要です。そのためには高度な財務分析能力があるに越したことはありません。でも、それが無い人でも(これは成功するパターンだな)というのが直感的に嗅ぎ分けられる高い能力を持っている場合は存在します。後者の人は経験や勘に頼って何度も成功を再現しているのであって、これはこれで素晴らしいことです。

ただそういう経験や勘は誰にでも備わるものではありません。

「ポスト団塊ジュニアのネストエッグ戦略」では、そういう特殊な才能を持っていない人でも「それなりに」成功する方法を考えてゆきます。だからここで論じられる方法論を用いたからと言って目の覚めるような素晴らしいリターンは得られません。(まあボチボチだったな)程度の成果を目指しているわけです。

そういうと(なんだ、つまらん話だな)と思う読者も居るでしょう。でも現実問題として大部分の皆さんは会社勤めなどで時間が無いし、特別な財務の知識も無いし、英文のニュースや財務諸表を読破する能力も無いし、胆力の必要な投資に関する長年の勘や経験も無いわけです。

ないないづくしである以上、「まあボチボチの成果」の線を狙うというのは極めて当然です。そうでなくホームランを狙うのは妄想的(delusional)な態度でしかないのです。

話を締めます。

アセット・アロケーションはつまんないです。まともにアセット・アロケーションをすれば、それは取り越し苦労だと感じられるし、リターンだって「まあボチボチだな」程度しか出ません。でもポスト団塊ジュニア層は「ないないづくし世代」なのです。だから妄想は止めて出来ることからはじめるしか無いのではないでしょうか?

過去の記事:
ポスト団塊ジュニアのネストエッグ戦略 ヤング世代のささやかな抵抗のために
ポスト団塊ジュニアのネストエッグ戦略 隷属からの脱出


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