トルコは現在、OECD諸国の中で最も速くGDPが成長している国です。2010年第1四半期のGDP成長率は+11.7%、第2四半期の予想は+9%です。

好調な経済を背景に税収もどんどん増えており、トルコ政府の収支は改善基調にあります。このため予定されていたIMFからのローンも「もう必要ない」ということで取りやめになりました。因みに国家負債のGDP比率は49%程度です。

トルコは昔から高インフレに悩まされてきましたが、現在のインフレ率は過去40年間の最低で7.5%程度です。

こうした改善を受けて格付け機関は相次いでトルコの見通しを引き上げています。

トルコの株式市場は年初来+14%と好調です。それでも現在のPERは11倍であり割高感はありません。

イスタンブール・ナショナル100指数は4月に59600辺りで頭打ちとなりましたが最近この上値抵抗線をブレイクアウトし60000超えを達成しています。現在は59866で地固め中です。
トルコ

(出典:ブルームバーグ)


このように強気材料の多いトルコですがいつくかの懸念もあります。

先ずトルコ・リラの上昇です。昔からリラが上昇すると輸出競争力が落ち、輸出が鈍化するとともに輸入品の価格が下がるのでそれが輸入品の消費を刺激し、輸入が一気に加速するという傾向がトルコにはあります。

今回もその徴候が出始めています。上半期の輸出は+13.4%のペースで伸びてきたのですが7月はいきなり+6%に鈍化しました。これはユーロ危機で欧州からの需要が減退したこととトルコ・リラの上昇による競争力の低下が原因です。

トルコの経常赤字はGDPの5%であり、輸出のペースが鈍化するとこれはすぐに一層悪化します。

いまトルコに期待されていることは一刻も早く景気刺激策を撤回し、過熱気味の消費にブレーキをかけることです。
トルコの株式市場は6割が外人によって保有されており、彼らは同国のマクロ経済見通しが暗転した場合にはすぐに持ち株を処分します。

もうひとつのリスク要因は9月12日に予定されている戒厳令に関する憲法規定の改正を巡る国民投票(レファレンダム)です。

この改憲国民投票は軍部の政治への影響力を抑えるためだと言われています。

以前の記事にも書きましたが、トルコの軍部はケマル・アタチュルクの伝統を頑なに受け継いでおり、世俗主義かつ開明的です。 しかし最近のトルコはイスラム的なものへの回帰の動きが出てきています。トルコはその流れの中でシリアなどとの関係を深めつつあります。これは或る意味、トルコの長年の願望であったEUへの加盟が退けられ、その反動で中東への傾斜が強まったという風に解釈できるのかも知れません。