デマンド・メディアという会社がアメリカで話題になっています。

この会社は発想の転換というか、いままでのマスコミの仕事の進め方をまるっきり逆さにした方法でコンテンツを作っています。


【背景】
アメリカ人はより多くの時間をインターネットに使うようになっています。2004年の時点では平均的アメリカ人は1週間に5.5時間インターネットを使っていましたが、2009年の調査ではオンラインしている時間が12時間に増えました。

この結果、消費者はテレビなどで新しいニュースや流行を知るのではなく、先ずネットで自分の興味をそそる情報を発見することが日常化しています。

検索エンジンに入力されたクエリー数も2006年末の390億クエリー/月から2009年末には1310億クエリー/月へと急増しています。

また、グーグルなどで検索をかける場合も単語ひとつで検索するのではなく、3つ以上の単語を掛け合わせて、文章として検索するユーザーの数が激増しており、今では総検索数の54%が3つ以上の単語を同時に入力する検索となっています。

このことは何を意味するのでしょうか?

それはその時々でどのような情報を消費者が求めているか、そのニーズがリアルタイムで把握できることを意味します。

しかしそういう極めて具体的かつ特定の「読者の知りたいニーズ」に対して、自分が探しているのにピッタリの記事が過去に書かれているとは限りません。

【検索入力から逆算してウケる記事のめぼしをつける】
デマンド・メディアという会社はそういう消費者の「知りたいニーズ」を独自のアルゴリズムで刻一刻と察知し、それを1万人から成るフリーランスのライターやビデオ・コンテンツのプロデューサーに制作依頼し、「こういう記事があれば、読まれること間違いなし」というものに限って記事を書くことを促すわけです。

そしてそのようにしてフリーランス記者によって書かれた記事を自分のメディア(eHowなど)ならびにサード・パーティーのサイトに配信し、主にアドセンスなどによってマネタイズします。このような方法で1日に5700もの記事を製作、配信しているのです。

「そんなやり方で、商売になるのか?」という疑問が湧きますが、S-1をみると2009年の売上高は1.98億ドルであり、かなり立派な数字だと思います。現在のところ未だ営業赤字です。グロスマージンは43%程度です。

同社の創業者は元マイスペースのCEOを務めたリチャード・ローゼンブラットです。

【日本にもある?こういうサイト】
デマンド・メディアと同じビジネス・モデルかどうかは別として、所謂、How toサイトは既に日本でも幾つか存在します。それらを紹介しているブログ記事が目にとまったので紹介しておきます。

[Howtoサイト]nanapiの競合たちと、その戦略のまとめ