世界最大の債券の投資信託会社、PIMCOのCEO、モハメド・エルエリアンは最近、次のように発言しています。

Sharp risk-on/risk-off swings in markets are to be expected given the reality of today’s macro context.
現在のマクロ経済の文脈からして市場がリスク・オンからリスク・オフへと急転回するような局面は当然起こるものだと心の準備をしておかねばならない。

(モハメド・エルエリアン)



投資家のリスクに対する姿勢がどうなっているかを見るのに都合のよい原資産はVIX指数だと思います。VIX指数はシカゴ・ボード・オプション・エクスチェンジ(CBOE)で取引されている金融商品で、向こう30日のボラティリティー、つまりマーケットのブレに対する投資家の期待、つまりエクスぺクテーションを表しています。

S&P500インデックス・オプションのいろいろなバラエティー、その中にはコールも、プットも含むのですけどそれらから合成されています。俗に恐怖指数と呼ばれています。
VIX

(出典:ストックチャーツ)
VIX指数は昨日+13.5%跳ねています。これは投資家がリスクから身を引いている(=リスク・オフ)ことを示唆しています。

なぜ投資家が全てのトレードを止め、退避行動に移っているかと言えば、FRBが後手にまわっているという認識が俄かに投資家全般に広がっているからです。

FRBが後手に回ると言う状況は、言わば馬車がそれを引っ張る馬よりも前に出てしまったような状態であり、制御が出来なくなった状況と言えます。

慌てて全ての投資対象から投資家が降りようとしているのはそのためです。

投資家がお金をホームマーケット(母国市場)に戻すときは外国通貨を売って自国の通貨を買うことになります。昨日はアメリカの投資家が新興国や欧州株などを売ってお金を本国へ戻す、典型的な退避行動が見られました。
USD

(出典:ストックチャーツ)
本来ならアメリカの経済が低迷しているのだからドル安でなければおかしいのに、ドルが買われた理由はこれです。

別の言い方をすれば昨日のドル高はリパトリエーション(=資金引き揚げ)が引き起こしたものであり、「悪いドル高」なのです。

なおドル安と他のリスク資産との関係を示した図を掲げておきます。

基調としてドル安の時はアメリカの投資家のリスク姿勢(risk appetite)は高まり(=risk on)やすいです。
リスクオン

それがドル高に転ずると今度はリスク姿勢は低く(risk off)なります。
リスクオフ


なお青字で示したのは俗にリスク・トレードの対象であると考えられる資産です。