ユーロ圏第2四半期GDP成長率が前年同期比+1.7%と発表されました。これはコンセンサスの+1.4%を上回る良い数字です。

実際、現在のユーロ圏は過去4年間で最も速い速度で成長しているのです。(=あくまでも四半期の瞬間風速ベース)

これは何を意味するのでしょうか?


先ずEU全体のGDP成長率が2%を超えてくるとPIIGS問題は消えて無くなります。なぜならこれらの国の抱えている本質的な問題は債務の絶対額が大きすぎることではなく(=それを言えば日本の方がはるかに大きいです)経済成長のロードマップが描けなくなると税収の伸び、ひいては債務の返済がおぼつかなくなるからです。

そのような状態から抜け出すためには「ドイツがお得意の輸出マシーンをトップギアに入れて、強行突破するしかない」というのが僕のかねてからの持論でした。

ドイツがGDP成長率で2.5%くらいを達成できれば、ユーロ問題は解決するのではなく、解消(=つまり問題そのものが消えてなくなる)するというのが僕の主張です。

これまでのドイツ政府の2010年のGDP成長予想は1.5%ですが今回の第2四半期(=速報値では前年同期比+3.7%が出ています!)を見れば通年で2.0%くらいを達成するのは夢ではなくなったのです。

今回のユーロ圏のGDP成長率の数字が良かったのはドイツに助けられた部分が大きいし、それじゃ何故ドイツの成長率が良かったかと言えばこれはひとえに輸出セクターがギャンギャンにハイ・パフォーマンスだったからということに尽きます。

つまり昔からのパターンを愚直に踏襲しただけであって、奇をてらったことは一切、やってないのです。

もちろん、輸出好調にするための前提条件としてユーロは安く誘導されなければいけません。

ロレアル、ルイヴィトン、シーメンス、BMW、その他の欧州の優良企業が一斉に輸出の数字を上方修正した時点で、この「ユーロ・トークダウン戦法」が成功したことは明白でした。

「強国の通貨は強くなければいけない」というのは国際金融や輸出入業務を実際に経験していない人が勝手に捏造したセオリーであって、経済の現場では中央銀行間のシビアな駆け引きが連日繰り広げられています。

例えばギリシャ問題が最高潮に達した時、ドイツが「銀行株のショート禁止」を発表したのはあからさまなユーロ安誘導策であることは説明しました(=他にヘッジする方法がないから)し、今回のFOMCのステートメントの中に「欧州圏のリスクは去った」とFRBが唐突に言及しているのはドル安誘導(というより嫌がらせに近い)です。

さて、6月以降、ユーロはずっと高かったので上に紹介したようなユーロ安効果のかなりの部分は剥げ落ちつつあります。企業によってはBMWのように春先のユーロ安の局面でかなりレートをロックインしたところもありますが、そうでないところもあります。すると今の欧州の輸出のペースが維持できるかどうかは未だ安心できないのです。

成長という側面だけからみれば、ハッキリ言って今のユーロは高すぎます。だからもう一度、トーク・ダウンが出てもおかしくないのではないでしょうか?