メイクマイトリップ(ティッカー:MMYT)はインドのネット旅行代理店です。中国株ADRにシートリップ(ティッカー:CTRP)という銘柄がありますが、あれのインド版だと言えばイメージしやすいかと思います。

今日、そのメイクマイトリップがナスダックにIPOデビューしました。寄り付きからいきなり+91.8%と盛大に値を飛ばし、バケーション・シーズンで閑散としたアメリカ市場の参加者をアッといわせました。結局大引けは+79.4%で引けています。アメリカのIPOとしては過去3年でいちばん大きな初日の値上がり幅だと思います。


ディールのターム
今回発行株数: 500万株
値決め価格: 14ドル
調達金額: 7000万ドル
ディール後発行済み株式数: 3413万株
8月13日のOPEN株価:$26.85
8月13日のCLOSE株価:$25.12
引け値での時価総額:8.57億ドル
幹事:モルガンスタンレー、オッペンハイマー、パシフィック・クレスト

メイクマイトリップは3月決算の会社で2010年会計年度はこの3月に〆られています。このFY2010の売上高は8356万ドルです。従ってPSR(Price to Sales Ratio=時価総額÷売上高)は10倍となります。

このPSRで10倍という数字自体、既に極めて割高ですが、メイクマイトリップの売上高のうちホテル・パッケージツアー売上高はグロス・ベースで売上に計上されています。実際のホテル代やパッケージツアー代は右から左にホテルやツアー業者へ渡されるものですからこれを売上に算入すると見かけ上、売上高が多い気がします。

しかし実際にはそれらのパススルーのコストを差し引くと本当のメイクマイトリップの売上高はグロス売上高の15.9%にしか過ぎません。(なお航空券に関してはメイクマイトリップへの手数料とエアチケット代金は別々になっており、二重計上はありません。)

このような要因を取り除いた「真水」の売上高はFY2008年が1651万ドル、FY2009年が2499万ドル、2010年が4028万ドルとなります。このベースで2010年の売上高での現在のPSRを計算すると21倍ということになります。

なおメイクマイトリップは未だ営業ベースでは1年も黒字を出していません。2010年のEPSは-35¢です。

この他の懸念点としては同社はコールセンターをアウトソースしており、サービスの質に関するコントロールを持っていないこと、航空券のコミッション(エアチケットの7.6%程度)は航空会社の一存で変更できることなどが挙げられます。

メイクマイトリップの現在のインド市場における市場占有率は48%で第二位のヤトラの24%を大きく引き離しています。

さて、お世辞にも中身が良いとは言えないメイクマイトリップが今日、目の覚めるような華々しいデビューを果たした理由ですが、これはそもそも今回の発行株数が極めて少なかった点がかなり関係していると思います。

500万株のIPOであったにもかかわらず、今日の出来高はちょうど100万株に過ぎません。メイクマイトリップはナスダック銘柄ですからマーケット・メーカーの買い向かい・売り向かいがダブルカウントされています。すると実需の出来高は約50万株と考えて良いです。

つまり異常にフリッパーが少ないディールだったということ。

これは主幹事モルガンスタンレーのブックビルディング能力が極めて高い証拠です。

それから今日、メイクマイトリップが華々しいデビューを果たしたことでIPOに対する投資家の関心が高まる可能性があります。

そこで気になるのは同じく募集額が少ないスカイプのIPOです。このディールが動き出すのはレーバー・デイの後だとは思いますが、目が離せないと思います。