最近、FTアルファヴィル、ゼロヘッジ、ウォール・ストリート・ジャーナルの各メディアにイールドカーブに関する議論が立て続けに出ています。

イールドカーブ(利回り曲線)分析は景気が将来強くなるか弱くなるかを占うひとつの手法です。

長期債は金利の変化で大きなキャピタル・ゲインやキャピタル・ロスが出やすい(=別の言葉で言えばデュレーションの短い債券より価格変動が大きい)です。

このため、長期金利が低すぎる(=景気が悪いという認識が過度に広まっている)場合はキャピタル・ロスを避けたい投資家が長期債を売り(=長期金利はその場合上昇)ます。

逆に長期金利が高すぎる(=景気が良いという認識が過度に広まっている)場合は人気薄になっている長期債を買うことでキャピタル・ゲインを狙う(=長期金利はその場合低下)投資家が出ます。

このようにしてプロットされた実際の取引価格(この場合は金利で表されています)の集合体は合理的に行動している投資家全般の期待を表しているわけです。

下はゼロヘッジに掲載された1990年代以降のイールドカーブの立体図です。
イールドカーブ

(出典:ZeroHedge)


このイールドカーブを見た僕の印象としては「うーん、よくわからん」という気持ちです。

なぜよくわからないかというとこのところのFRBの「実質ゼロ金利」政策でイールドカーブのショートエンド(=短期→画面の手前側)はべったりと床に張り付いてしまっているという点が先ず指摘できます。

これはFRBがFFレートなどを操作することで市場に対してFRBの考えを市場にシグナルすることが全くできなくなっていることを示唆しています。

だからこそ先日のFOMCでも住宅ローン抵当証券の償還からくるキャッシュを財務省証券の購入に充当するとか、そういうまどろっこしい手法で市場にシグナルせざるを得なくなっているわけです。

しかしFRBがそのように財務省証券の買い手になると市場参加者はFRBからの買い需要(=BID)が背後に控えていることを想定し、「買い安心」が定着してしまうのです。

長期債への買い需要がこのように政府により構造化(structuralized)し、制度化(institutionalized)されるとマーケットのシグナルとしての利用価値は減るのではないでしょうか?

実際、上のゼロヘッジのイールドカーブの立体グラフに戻ると、最近はどんどんカーブ全体の上下動が小さくなり、のっぺりした平面を形成しています。心電図に喩えて言うと心拍が止まってしまった人のグラフみたいになっているわけです。