要約
上場後初の決算発表は予想以上だった
このところ粗悪な3D映画ばかりがリリースされている
観客は「3D疲れ」の様相を呈してきている
『トロン・レガシー』で挽回できるかが問題


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3Dブームの火付け役になったリアルディー(Real D、ティッカー:RLD)が7月にIPOされたことは以前紹介しました

同社は20%を超えるプレミアムで上場初値が付いた後、このところ人気が剥げつつあります。

そこで良い機会だと思ったのでIPOしてこのかた、同社の周辺に何が起きているのかを整理します。


先ず8月2日にIPO後初の決算発表がありました。第1四半期(6月期)の決算は売上高6452万ドル、純利益985万ドル、EPS9¢でした。これは引受幹事団のアナリストの社内予想(=まだIPOされて間もないのでリサーチ・カバレッジを開始していない証券会社が多いため)より幾分多い数字だったと思います。

ちょっと話が脱線しますがIPOをしたばかりの若い会社にとって最初の決算発表は極めて重要です。

最初の決算発表でいきなりズッコケる会社には見込みはありません。そんな会社の株はすぐ売って下さい。

なぜこれを断言できるかというと「最初の決算はゼッタイしくじらないよう、IPOロードショウでのガイダンスは低目にお願いします」ということは主幹事のバンカーが発行企業のCEOやCFOに何度も念を押す事柄だからです。

それでもIPOで高い値段で株を売ろうとして強気のガイダンスを出してしまう近視眼的な経営者は居るものです。つまり最初の決算でズッコケる会社の経営者は、後々の事までじっくり考えた上で行動していないわけで、深慮に欠ける経営者なのです。

脱線ついでに言えばIPOして数年以内の企業が2回連続してアナリスト・コンセンサスより悪い決算を出した場合、その株は売って下さい。当分の間(=つまり数年間)、そういう会社は忘れて良いです。
なぜなら2回連続してガイダンスを下回ったということは、会社の経営者が自分で設定した目標に相次いで達成できなかったことを意味し、その場合:

1. その若い企業をめぐる経営環境が急速に変化している(=競争激化など)
2. 経営者の資質に問題がある

のどちらかである場合が殆どだからです。

そういう苦境は1回や2回の四半期決算では立ち直れません。だから態勢の立て直しをしているうちに半年や1年くらいはすぐ経ってしまうのです。

しかも一度投資家の信認を失うと、3回くらい四半期決算でポジティブ・サプライズを連続しないと投資家は新しい目でその企業を見てくれません。一度失った信頼を修復するのは、そのくらい難しいのです。

だから:

IPO後初の四半期決算はゼッタイにズッコケないこと
若い会社が2回連続して決算を取りこぼしたら、その企業は敬遠すること

の2つは成長株投資で最も大事なルールなのです。

さて、脱線が長くなりましたが、リアルディーの話に戻ると、同社の最初の決算発表は上に述べたような観点からは「合格」でした。

リアルディーは既に過去2年間、キャッシュフロー・ポジティブだし、今期のEBITマージンは11%でした。だからよくある若い会社のようにどんどんキャッシュを燃焼しているとか、そういう危うさはリアルディーにはありません。

ただ同社の売上高のうち、ライセンシング・フィーは3Dを導入する映画館の数(=3Dスクリーン数)や3D映画のリリース数などによって決まってきます。

従ってその四半期中に3D映画が余りデビューしない場合は業績が悪化するのです。

また3D映画は2D映画より割高に入館料が設定されています。封切映画への客の入りが悪い場合は、「価格設定が高すぎるのではないか?」とか「観客が3Dに飽きてきたのではないか?」などの不安が出ます。

それは映画館の経営者にとって「3Dの導入は様子を見た方がいいな」という導入を躊躇させることにつながる恐れがあります。

現在、リアルディーの3Dシステムは全部で7500のスクリーンに採用されています。さらに4000のスクリーンの契約が進行中です。

7~9月期には全部で8つの3D映画がリリースされる予定です。

リアルディーの米国内でのマーケットシェアはライバルのIMAX社が封切り映画を上映しているときは75%、IMAXが上映していないときは85%です。

リアルディーの国内・海外比率はほぼ50:50です。

さて、このところリアルディーの株価が軟調に推移しているのは最近リリースされる3Dタイトルには駄作が多く、消費者にソッポを向かれるのではないか?という懸念が出ているからです。

その点、12月に封切が予定されている『トロン・レガシー』は過去最高記録を塗り替えた『アバター』に匹敵する話題作です。

相場は常に先回りするものですから、これから12月の『トロン・レガシー』の封切りに先立って、リアルディーが買い場を提供する可能性もあるかも知れません。