iStock_000005406634Small要約
ポートフォリオのムラを抑制できればリターンは上がる


暫く時間が空きましたがシリーズを続けます。
このシリーズではみなさんのいまの仕事を続けながら、少なくとも投資の面でどう「隷属」から抜け出すかを考えてゆきます。

これまでの話をまとめるとアセット・アロケーションはつまらない話題だし、(取り越し苦労だな)と感じるし、投資リターンだって(まあボチボチだな)程度のリターンしか期待できないという話をしました。


でも皆さんの投資資金が(これを失ってしまっては取り返しがつかない)という性格のものであれば、アセット・アロケーションを入念に行うことが実はいちばん有効な方法なのです。

もちろん「ホームランか、空振り三振か」という投資アプローチもあるし、それはそれで面白いと僕は思います。でもそのアプローチは失敗が出来るだけの余裕資金や投資に或る程度の時間を割くことのできる人に向いている方法であり、万人向きではないのです。

なお、分散を利かせてもパフォーマンスそのもの(利食いの大きさ)は増えません。一定のリターン同士の2つのポートフォリオを比べた場合、分散を利かせてあるポートフォリオの方がリターンの質が高いというだけです。

それではそのリターンの質とは何か?ということですが、それは比較的リスクを冒さずに、同じだけの成果を挙げることができたという意味です。

また時間の無い人ほど分散をこころがける必要があります。なぜなら時間が無いということは細かく個別の企業の内容を精査する時間が無いわけですから、「魚雷に当たる」リスクを避けないといけないからです。

もちろん一生懸命調べ尽くしても魚雷に当たるときは当たります。でもぜんぜん調べずに買えばリスクはもっと大きくなるのです。

さて、ここまでがいままでの話のまとめです。

次に今日の話に入ります。

値動きの荒っぽい投資対象と、おとなしい投資対象ではどちらが良いのか?という話を少しします。

いま下の4つのポートフォリオを比べてみましょう。目隠しでポートフォリオの中身が知らされていない4つのファンドを示されたと仮定します:

【ポートフォリオA】
1年目 +5%
2年目 +5%

【ポートフォリオB】
1年目 +10%
2年目 +0%

【ポートフォリオC】
1年目 +15%
2年目 -5%

【ポートフォリオD】
1年目 +20%
2年目 -10%

これらのポートフォリオを比べると、たぶん【ポートフォリオD】にはかなり値動きの荒い銘柄が組み入れられていると予想されます。例えば香港のGEMに上場されている銘柄などから成り立っているポートフォリオなのかも知れません。

一方、【ポートフォリオA】はどうでしょう?
たぶんアメリカ株のアルトリア(ティッカー:MO)やプロクター&ギャンブル(PG)など、退屈であくびが出そうな銘柄群から成るファンドなのかも知れません。

断っておきますがこれは「だからどちらが良い」という価値観を押し付ける説明ではありません。あくまでもボラティリティ(個別株のブレの激しさ)がポートフォリオにどういうインパクトを与えるかの説明です。

さて、AからDのポートフォリオを見るとどれも単純平均パフォーマンスは+5%です。しかし実際にこれらのファンドを2年間継続して運用したとして、そのリターンはそれぞれ違います。それを説明するにはこれらのポートフォリオがすべて1万ドルの元金でスタートしたと仮定すればわかりやすいでしょう。

【ポートフォリオA】
1年目 $10500
2年目 $11025

【ポートフォリオB】
1年目 $11000
2年目 $11000

【ポートフォリオC】
1年目 $11500
2年目 $10925

【ポートフォリオD】
1年目 $12000
2年目 $10800

さあ、どうでしょう?
2年目の終了時のおのおののファンドの純資産を比べて下さい。これを見るとAがいちばん大きく、Dがいちばん小さいことがわかります。

2年目の運用成果の純資産を元本の$10000と比較し、それぞれの複利リターンを示せば:

【ポートフォリオA】
複利リターン 年率5.0%

【ポートフォリオB】
複利リターン 年率4.9%

【ポートフォリオC】
複利リターン 年率4.5%

【ポートフォリオD】
複利リターン 年率3.9%

とかなり差が出るのです。

つまりポートフォリオの上昇可能性を落とさずにそのポートフォリオのボラティリティ(ムラ=荒っぽさ)を抑えることが出来れば、より良いリターンを狙える可能性が高まるわけです。


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